2011-01-01から1年間の記事一覧

短編

猟師がライフルを発射した。すると一匹の狼が死んだ。それから猟師はその狼を彼の家に運んで行った。狼にはラウヴァードという名の子供がいた。ラウヴァードは「ぼくはお父さんの敵を討ちたい。ぼくを人間の姿に変えて下さい」と月に願った。するとラウヴァ…

53

土星の導楕円の半径はおよそ四百八十七ヘミガイオン四千三エウピプトン一点七九〇九四エピタキュンセーほどである。土星の外部重心の公転周期はおよそ一万七百六十日〇時間二十七分四十四秒ほどである。土星の導楕円の離心率はおよそ〇点〇五二六三二七ほど…

54

星達は星素で出来ている。銀河は星の群で出来ている。そして星雲は火で出来ている。全ての星達は、太陽と同じく空気に覆われている。太陽や恒星の大気はコロナと呼ばれている。星素は精を含んで純度が下がると共に、色を青から白、黄色、橙を経て赤になり、…

55

その時一人の男が空に横たわっていた。そして一人の女も地に横たわっていた。男は女の手を取り、地に降り立ち、女もまた男の手を取り、立ち上がった。彼らはウラノスとガイアであった。ガイアは多くの被造物を欲しがり、全ての海の生物を創った。それらは魚…

56

ゼウスとポセイドンは、テテュスのもとで成長した。そして二人はクロノスを倒しに来た。その時アトラスとコイオスとイアぺトスがクロノス側に付き、プロメテウスがゼウス側についた。そしてオケアノスは戦いに加わらなかった。アトラスは山を持ち上げると、…

57

ゼウスはメティスを娶った。彼女はアベルを産んだが、非常な難産であった。そして彼女は死んだ。そしてゼウスはヘラを娶った。なぜなら彼女はメティスに瓜二つだったからである。しかし彼女には子が産まれなかった。ゼウスはレトによってアポロンとアルテミ…

58

ゼウスは「我々に似せて、人間を造ろう」と言った。するとプロメテウスは大地から土を採ると、彼自身の血で捏ねて、人を形作った。アベルが人の鼻から命の息を吹き込んだので、人は生きるものとなった。そしてそれはデメテルの中に入れられた後、月満ちて産…

59

ある日神々はパーティーを開いた。その時エピメテウスはプロメテウスの入れ知恵で、当たりくじを引いた。それからゼウスは彼に、火の使用を禁じた。しかしプロメテウスは逆らって、火を彼に与えた。ゼウスは「そんなに人が可愛いのか。しかしアベルの命の息…

60

ある日プロメテウスはエピメテウスにアンブロシアを与えようとした。なぜなら人の命は短いからであった。その時ゼウスがそれを見つけると、アンブロシアを与える前にプロメテウスを、アルテミスの秘術で大蛇に変えた。その時彼の鷲はゼウスに取り上げられて…

61

アダムはエバを知った。すると彼女は息子を身籠もって産んだ。彼女は息子を産むと「私は主の助けによって人を産んだわ」と言って、息子をカインと名付けた。それは「私は産んだ」という意味である。カインは世界暦三十九年七月十二日の二十時十九分三十八秒…

62

カインが産まれた時、全ての神々は喜んだ。そして彼の弟はアベルという名であった。アベルは羊飼いになり、カインは農家になった。ある時、神の子アベルは地上に来た。その時カインは収穫の一部を彼に捧げた。人の子アベルは羊の初子を殺して最上の部分を捧…

63

ゼウスは全ての神々に「我々は、人のために働かなくてはならない」と言った。するとアベルが「我々神は、火から産まれたが、人は土から産まれたのだ。なぜ我々が人のために働かなくてはいけないのか!」と言った。するとゼウスは「君はわしの息子だから地には…

64

アダムは世界暦百三十一年十二月十日十一時四十分五十二秒に、エバによってセツを産んだ。その時月は巨蟹宮十五度五十九分五十八秒にあり、水星は人馬宮二十三度二十五分二十四秒にあり、金星は双魚宮二度二十一分三十四秒にあり、太陽は磨羯宮十五度五十九…

65

人の子達は世界中に広がった。その頃、人々は神々と共に幸せに暮らしていた。ある日ゼウスはセメレという名の、人の娘を見た。そして「あの娘の目はメティスの目に似ている」と言うと、天界から跳び降りて、彼女と関係を持った。ヘラはその事を知ると、天界…

66

しかしその頃、人の悪事が地に満ちていた。その時、巨人達が地で力を増していた。彼等の体は青銅の鎧のようであり、その心臓に魂は無く、代わりに玉座があった。そして彼等は背中から、塔に繋がる尾を生やしていた。人がその心臓に座ると、その巨人を動かせ…

67

エノクは世界暦六百八十八年七月二十二日の十九時四十分二秒に、ダネルの娘エドナによって、メトセラを産んだ。その時、月は獅子宮十九度三十分九秒にあり、水星は処女宮十三度四十分十四秒にあり、金星は巨蟹宮七度五十八分三十六秒にあり、太陽は獅子宮十…

68

マトゥサラはエノス書を読み終わると、プロメテウスに「地球中心説と、太陽中心はどっちが正しいのかしら」と言った。プロメテウスは「太陽中心説が正しい。太陽中心説では、地球と惑星達は太陽の周りを回っていて、月は地球の周りを回っているので、地球中…

69

そしてプロメテウスは太陽中心説と、地球中心説の、宇宙の絵を二枚の紙 に描いて、動くように命じた。するとそれらは動き始めた。なぜならそれらは可動インキという、特殊なインクを使って描いたからである。そしてプロメテウスは「君。地球中心説の太陽を、…

70

マトゥサラは「神樣はいつ産まれたの」と尋ねた。プロメテウスは「我々神と、君たち人間は、同じ種族だ。我々ホモ・サピエンスはが進化の過程で産まれたんだ。我々の祖先は超古代文明を築いたが、それは戦争で滅びた。その時大きな爆発が起こって、原始地球…

71

プロメテウスは「オリュンポス王朝は、便利さばかりを追って、原始文明のように自然を破壊し始めた。そこで私は、地球はまた滅びると言ったが、私は蛇に変えられて、地上に落とされた。その後、ギカントマキアが起こって、地球は滅びかけた」と言った。マト…

72

マトゥサラは「コウモリはどうして真っ暗でもぶつからずに飛べるの」と言った。プロメテウスは「コウモリは、超音波を出して、その木霊を聞いて、障害物の位置と距離を知るんだ。超音波は波長が高すぎて、人間には聞こえない。もし、コウモリの超音波が人間…

73

マトゥサラは焼き飯を作った。そしてその隣でバトラーチェは焼き虱を作っていた。マトゥサラはバトラーチェを投げ飛ばすと、そのフライパンを外に捨てた。そして彼女は声を荒げてプロメテウスに「お米は人間にとってコシェルだけどカエルにとってはテレファ…

74

マトゥサラとバトラーチェはスイスに来た。二人は山々の前に来た。マトゥサラが見上げると、カラスが飛んでいた。そこで彼女はカラスに「ブナ・サイラ、ボンジュール、グーテン・ターク、ブオン・ジョルノ」と声をかけた。それはレト・ロマン語とフランス語…

75

マトゥサラとバトラーチェはグルジアを出た。二人はアルメニア、トルコ、ルーマニア、ハンガリー、オーストリア、スイス、そしてフランスを通った。そして二人は山に登った。その時、沢山の落石が落ちて来た。バトラーチェは豹に変身して、マトゥサラを背中…

76

マトゥサラとバトラーチェはイクテュウ・タウンに来た。そこでは聖母マリアがハマチ公園に現れて、洪水の預言をするという噂があった。マトゥサラはサシミ通りにいる時に、その噂を聞いて、ハマチ公園に向かった。しかし彼女が公園に来た時、聖母はいなかっ…

77

その時、トバルはヤクザメント・シティに、新しい武器を買いに来た。彼が酒場にいた時、猫 がピアノで、ショパンのエチュード12番ハ短調を弾いていた。トバルはその猫に気がつくと、つまみ出した。町の主婦が彼に「あなたはトバルですか。三日も前から犬 が…

78

マトゥサラとバトラーチェは休息をとっていた。その時レメクと手下達が二人の前に来た。コックは空中に飛び上がって、沢山の羽根をマトゥサラめがけて撃ち出したが、彼女は飛び退いた。パンダはバトラーチェを殴ろうとしたが、バトラーチェは鳥に変身して飛…

79

マトゥサラとバトラーチェはマドリードに着いた。マトゥサラは聖母の言葉を思い出して、膝の上に乗っている猫に「前の世界は氷で滅びたわ。この世界は水で滅びる予定よ。すると次の世界はお湯で滅びるの、それとも湯気、それとも水爆かしら」と言った。する…

80

翌朝、マトゥサラは狩に行こうとしていた。その時バトラーチェは猫の山の下でうなされていた。彼は夢の中で、猫の海で溺れていて、マトゥサラはボートに乗って、遠くへと離れていっていた。そして猫で出来た津波が向かって来た。そして家中にバトラーチェの…

81

十月二十六日、日食が起こった。金環食が、世界時二十二時四十分に、上カプアス山地で、東の地平線から現れた。そしてそれは世界時二十三時に、プラウ・ウォカム、プラウ・コブロオル、そしてプラウ・トランガンで観測された。そして、世界時で十月二十七日…