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 マトゥサラは焼き飯を作った。そしてその隣でバトラーチェは焼き虱を作っていた。マトゥサラはバトラーチェを投げ飛ばすと、そのフライパンを外に捨てた。そして彼女は声を荒げてプロメテウスに「お米は人間にとってコシェルだけどカエルにとってはテレファだわ。そしてシラミは人間にとってテレファだけどカエルにとってはコシェルね。私達はもうずっとカタツムリばっかり食べているのよ。人間とカエルの両方にとってのコシェルは他に無いの」と言った。するとプロメテウスは言った。

 「そのコシェルとテレファの使い方は本来の意味とは違っているが、人とカエルの両方が食べられる物は、イナゴとザリガニと・・・。」

 そこまで言った時、マトゥサラは「ザリガニは好きだわ」と歓声をあげた。そして「他にも無いかしら」と言った。

 その時トバルは驚いて「信じられん。神なんていたのか」と言った。そして別の場所では、聖ゲオルグがも驚いて「あの蛇の正体は人間だったのか! 神よ! 私は危うく殺人罪を犯すところであった!」と言った。その時一人の僧侶が彼に「今、リュディアで竜が王女様を生贄として要求している。その人食い竜は真正の獣だ」と言った。そこで聖ゲオルグは馬に乗ってリュディアに行った。彼がこの後に行った事績は、ヤコブ・デ・ヴォラギネの黄金伝説に記されている。

 そしてマトゥサラとバトラーチェはプロメテウスと別れた。プロメテウスは別れる時に「恐れる事は無い。君にはもはや敵はいない。その敵は君の味方だ」と言った。その時トバルは、世界が滅びてしまったら殺しが出来ないと考えていた。彼は「世界は滅ぼさせない」と誓った。こうしてプロメテウスの言葉が成就した。マトゥサラとバトラーチェは家に向かった。