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 人の子達は世界中に広がった。その頃、人々は神々と共に幸せに暮らしていた。ある日ゼウスはセメレという名の、人の娘を見た。そして「あの娘の目はメティスの目に似ている」と言うと、天界から跳び降りて、彼女と関係を持った。ヘラはその事を知ると、天界から跳び降りて老婆に変装して「この頃は神の名を騙る悪い男がいるそうだね。本物の神ならその身に雷鳴を纏う事が出来るはずよ」と言った。そこでセメレはゼウスに「雷鳴を纏うように頼んだ。するとゼウスはその身に雷鳴を纏った。すると彼女は一瞬にして焼け死んだ。そこでゼウスは彼女の同胞赤子を取り出してディオニュソスと名付けてテテュスに預けた。ディオニュソスは成長すると、天に昇って、神々の一人になった。

 ある日ゼウスはアルクメネという、人の娘を見た。ゼウスは「彼女の唇がメティスに似ている」と言うと、天から跳び降りた。しかし彼女はアンフィトリュオンの妻だったので、ゼウスはアンフィトリュオンに変装して、彼女と関係を持った。やがてアルクメネは、イフィクレスとアルケイデスを産んだ。イフィクレスが兄で、アンフィトリュオンの子であり、アルケイデスはゼウスの子であった。

 ある日、アルケイデスはヘラの呪いで気が狂って、妻のメガラと、その息子達を殺した。彼は正気に返ると、神託を伺いに行った。するとアポロンが「汝の名をヘラクレスと変えて、エウリュステウスに十二年間仕えよ」と言った。

 ある日アベルは人の娘パラスに恋をした。彼はきれい好きで、人間を嫌っていたので、その時、他の神々は驚いた。しかしパラスは死んだ。

 アポロンは人の娘クリュメネによってファエトンを産んだ。

 その頃、半神達が地上にいた。彼等は神と人の間に産まれた子達であった。彼等は過去の名高い英雄達であった。