マトゥサラ

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トバルはライフルの手入れをしていた。その時猫が、調理場でステーキ を焼いていた。トバルはそこに来ると、猫の首根っこをつまんで窓から捨てた。そして彼自身も窓から跳び降りた。猫は彼を蹴飛ばした。トバルは走っている電車の上に落ちた。そして彼は大金…

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マトゥサラとバトラーチェは歩いていた。その時トバルが二人の近くにいた。マトゥサラは彼の近くに来て、そのまま通り過ぎた。彼女はトバルが自分と血の繋がりがあるのだろうかと考えた。なぜなら彼が父親に似ていたからである。彼女の父親は金髪であるが、…

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八月二十一日、マトゥサラ とバトラーチェはガザに来た。その時、兵士達が二脚砲台を使う訓練をしていた。バトラーチェが「何だよあのガザCもどきは!?」と叫んだ。するとマトゥサラくすくす笑うと「あれは歩行砲台よ。でこぼこした土地では人型に変形して歩…

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八月二十二日、マトゥサラとバトラーチェはラビ・ウサ に会うために、北に向かった。ラビ・ウサはマトゥサラの恩師であった。彼は人間には似ておらず、二本足で立った大兎のようであった。マトゥサラとバトラーチェはエリコに来た。二人は石版 を見た。マト…

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八月二十五日、マトゥサラとバトラーチェはバビロニアに来た。マトゥサラは地図でホテルを探して「ホテル・バベルは遠いわ。空を飛べたなら」と言った。そして空に向かって「ロプロース!」と叫んだ。するとバトラーチェがぎょっとして彼女を見た。マトゥサラ…

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その時そこに、ヒヨコの顔をした男 がいた。その名はラヴ・ヒナであった。彼はマトゥサラを見ると彼女に「相変わらず無茶苦茶やるなあ。逆様にぶら下がれば見慣れた星空が見えるとでも思ったのか。オカマ野郎」と言った。ラヴ・ヒナは人間には似ておらず、ヒ…

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八月二十六日、マトゥサラとバトラーチェはホテル・バベルを出て、北へ向かった。そして二人は、湖のそばにある、バラージという町に来た。その湖の水は、海水よりも塩辛いが、死海ほどには辛くなかった。二人は荒れ果てた神殿に入った。すると、顔をそぎ取…

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二人は町を出た。マトゥサラとバトラーチェは自動販売機の前に来た。沢山の、珍しいジュースがあった。それらはモカ納豆、キリマンジャロ納豆、ジョージア納豆、ブルーマウンテン納豆、サントス納豆などであった。マトゥサラは缶を開けて飲んだ。そして吐き…

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やがてバトラーチェは、マトゥサラによく似た人影を見つけた。その人影は男と一緒にいた。その男は襲撃者には似ていなかった。バトラーチェは、その男は誰だろうかと思って、忍び足で近づいた。しかし、その人影はマトゥサラではなかった。彼女は一人の少女…

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その頃マトゥサラは、横倒しになった車を押していた。そして車が元通りになると、乗り込んで運転し始めた。その時マトゥサラは、何故襲撃者が自分を殺そうとしているのかと、彼が父親の隠し子なのだろいかという事を考えていた。彼女は母方の祖父の跡を継い…

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その頃バトラーチェは森で、多くの昆虫、羽虫、ミミズ、毛虫、蝶や夜蛾、そして跳ねる物達を存分に食べていた。そして彼は「カエルはカタツムリだけで生きるものではない」と言って笑った。 その頃マトゥサラは森で、あらゆる種類の果物を、思う存分に食べて…

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八月二十七日、マトゥサラとバトラーチェはコーカサスに来た。二人は教会に泊まった。そこに、赤い鎧を着た騎士 が来た。するとマトゥサラは思わず「ゲルググだわ」と叫んだ。するとその騎士は「お嬢さん。間違えないで頂きたい。私はゲオルグだ」と言って、…

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しばらくして、バトラーチェは中を覗いた。その時、裸身のマトゥサラが一人の男と共にいた。彼女はバトラーチェに気付くと「あなた見ていたの!」と叫んだ。すると男が「彼は我らを見てないよ。被造物が我々を見てなお生きている事は出来ない」と言った。する…

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私はエノスである。私は真実を求めていた。そして世界暦三百二十五に、主なる神から私にメッセージが下った。主なる神は私に答えて下さった。そして私はこの書物を書いた。 初めは、宇宙は空であった。空虚だけがあり、デミウルゴスだけがそこにいた。彼が初…

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地球の中心部は雷で出来ている。それは大いなる業火と呼ばれている。そしてその周りを水が覆っている。それは深淵と呼ばれている。そしてその周りを地殻が覆っている。それは大地と呼ばれている。そして空は空気、雲、そして火で出来ている。それは大地の上…

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月の中心部は水で出来ていて、それは天の窓と呼ばれている。そして月の地殻は土で出来ていて、その水を取り囲んでいる。月の半径はおよそ四百六十五エウピプトン九点二二三七七〇三エピタキュンセーほどである。月の軌道半径はおよそ九ヘミガイオン七百九十…

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水星の導楕円の半径はおよそ十九ヘミガイオン八千六百七十八エウピプトン十七点一八九七エピタキュンセーほどである。水星の外部重心の公転周期はおよそ八十七日二十三時間十七分二秒ほどである。水星の導楕円の離心率はおよそ〇点二〇五六四一ほどである。…

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金星の導楕円の半径はおよそ三十六ヘミガイオン一万千四百七エウピプトン〇点三四二四二エピタキュンセーほどである。金星の導楕円の回転周期はおよそ二百二十四日十六時間五十七分四秒ほどである。金星の導楕円の離心率はおよそ〇点〇〇六七七九六ほどであ…

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太陽は十九カラットの星素で出来ていて、地球の周りを回る。太陽の半径はおよそ二千六百四十六ヘミガイオン〇エウピプトン三点四百十六万九千百十五エピタキュンセーほどである。太陽の軌道半径はおよそ五十一ヘミガイオン千八十三エウピプトン十四点九〇九…

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火星の導楕円の半径はおよそ七十七ヘミガイオン九千五百三十六エウピプトン五点八二七六五エピタキュンセーほどである。火星の導楕円の回転周期はおよそ六百八十七日〇時間十四分二十三秒ほどである。火星の導楕円の離心率はおよそ〇点〇九三三〇四四ほどで…

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メティデスの導楕円の半径はおよそ百四十三ヘミガイオン八十エウピプトン九点六八六八二エピタキュンセーほどである。メティデスの外部重心の交点周期はおよそ千七百十一日十三時間五十一分三十五秒ほどである。メティデスの導楕円は真円である。メティデス…

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木星の導楕円の半径はおよそ二百六十五ヘミガイオン八千五百三十三エウピプトン二点一九九四五エピタキュンセーほどである。木星の外部重心の公転周期はおよそ四千三百三十二日十八時間五十五分四秒ほどである。木星の導楕円の離心率はおよそ〇点〇四八四二…

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土星の導楕円の半径はおよそ四百八十七ヘミガイオン四千三エウピプトン一点七九〇九四エピタキュンセーほどである。土星の外部重心の公転周期はおよそ一万七百六十日〇時間二十七分四十四秒ほどである。土星の導楕円の離心率はおよそ〇点〇五二六三二七ほど…

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星達は星素で出来ている。銀河は星の群で出来ている。そして星雲は火で出来ている。全ての星達は、太陽と同じく空気に覆われている。太陽や恒星の大気はコロナと呼ばれている。星素は精を含んで純度が下がると共に、色を青から白、黄色、橙を経て赤になり、…

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その時一人の男が空に横たわっていた。そして一人の女も地に横たわっていた。男は女の手を取り、地に降り立ち、女もまた男の手を取り、立ち上がった。彼らはウラノスとガイアであった。ガイアは多くの被造物を欲しがり、全ての海の生物を創った。それらは魚…

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ゼウスとポセイドンは、テテュスのもとで成長した。そして二人はクロノスを倒しに来た。その時アトラスとコイオスとイアぺトスがクロノス側に付き、プロメテウスがゼウス側についた。そしてオケアノスは戦いに加わらなかった。アトラスは山を持ち上げると、…

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ゼウスはメティスを娶った。彼女はアベルを産んだが、非常な難産であった。そして彼女は死んだ。そしてゼウスはヘラを娶った。なぜなら彼女はメティスに瓜二つだったからである。しかし彼女には子が産まれなかった。ゼウスはレトによってアポロンとアルテミ…

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ゼウスは「我々に似せて、人間を造ろう」と言った。するとプロメテウスは大地から土を採ると、彼自身の血で捏ねて、人を形作った。アベルが人の鼻から命の息を吹き込んだので、人は生きるものとなった。そしてそれはデメテルの中に入れられた後、月満ちて産…

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ある日神々はパーティーを開いた。その時エピメテウスはプロメテウスの入れ知恵で、当たりくじを引いた。それからゼウスは彼に、火の使用を禁じた。しかしプロメテウスは逆らって、火を彼に与えた。ゼウスは「そんなに人が可愛いのか。しかしアベルの命の息…

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ある日プロメテウスはエピメテウスにアンブロシアを与えようとした。なぜなら人の命は短いからであった。その時ゼウスがそれを見つけると、アンブロシアを与える前にプロメテウスを、アルテミスの秘術で大蛇に変えた。その時彼の鷲はゼウスに取り上げられて…