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 八月二十七日、マトゥサラとバトラーチェはコーカサスに来た。二人は教会に泊まった。そこに、赤い鎧を着た騎士 が来た。するとマトゥサラは思わず「ゲルググだわ」と叫んだ。するとその騎士は「お嬢さん。間違えないで頂きたい。私はゲオルグだ」と言って、兜を取った。その時マトゥサラは彼の顔を見て棒立ちになり、それからへなへなと崩れ落ちて笑い始めた。
 その頃、ゲオルグは大蛇と戦っていた。マトゥサラはそれを聞くと、聖人が大蛇ごときに勝てないはずはないのでは、と思った。そこで彼女はその蛇を見に行った。その頃、トバルが車でコーカサスに来た。彼は車を降りると、望遠鏡でマトゥサラを見ながらマイクロフォンのスイッチを入れた。その時、彼の車のシャルロット は、牛のように草を食べていた。マトゥサラは大蛇を見るて「バトラーチェ・・・、いや違うわ」と言って、周りを見回した。その時バトラーチェは隠れていた。マトゥサラは、その蛇がカエルよりも人間に近いと思った。いや、もしかしたら神なのかも知れない。だとしたら何故元の姿に戻れないのか。もしやプロメテウスではないのか。そこで彼女はその蛇に「どうか私を隠れ家に案内してくれませんか」と言った。すると蛇は這い始めた。マトゥサラは「バトラーチェ! 行くわよ。あれは蛇じゃないわよ」と言って、蛇の後に続いた。そして彼女達は、洞窟の前に来た。その時マトゥサラはバトラーチェに「ここで待っていてね。絶対に覗いちゃ駄目よ」と言って、蛇と共に洞窟に入って行った。バトラーチェは一人取り残された。