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 ある日、オリオンはステローペを旅行に誘った。その時、彼女は「ぼくアーティーと一緒がいいから、あの子も誘って」と言った。そこでオリオンはアーティミドアに電話をかけた。

 翌日、アーティミドアはホテルを出てバスに乗った。そのバスは、渋滞で立ち往生した。アーティミドアは、持っていた本を全部読み終わると、バスを降りて歩き始めた。そして、ヒキガエルが集団で信号無視をしている場所に着いた。ヒキガエルの大群が道路を横断していたので、車達は止まっていた。アーティミドアは、ヒキガエルを観察した。彼らは跳ばないで、地面を這っていた。そして、姿に似合わない可愛い声で鳴いて いた。アーティミドアは、ヒキガエルの鳴き声を楽譜に書くと、ヒキガエルの大群の上を飛び越えて、再び歩き始めた。しばらくしてステローペも、自転車に乗ってその場所に来た。彼女は自転車を抱えると、ヒキガエルの大群の上を跳び越えて、再び自転車に乗って走り出した。そして彼女は待ち合わせ場所に来ると、自転車をレンタルショップに返した。そして、すでに到着していたアーティミドアを見つけた。アーティミドアはステローペを見つけると、ため息混じりに「オリオンは私のものよ」と呟いた。しかしステローペはアーティミドアの独り言に気付かずに駆け寄ると「オリオンはまだ来てないのか」と言った。アーティミドアは「あの人まだ来てないわ。あなたを嫌いになったのかも」と言った。ステローペは苦笑して「あいつ車に乗ってんだから、ヒキガエルの渋滞に巻き込まれてるんだろ」と言った。するとアーティミドアは思わず笑った。ステローペは「あのカエル達は約束の地を通り過ぎてバビロニアに向かってるな」と言った。するとアーティミドアは驚いたような顔で「どういう意味なのそれ」と言った。するとステローペは吹き出してから「アラビア語アレクサンドリアはイスカンダリアだよね。ティベリアはイスラエルの町で、バビロンはバビロニアの首都だよ」と言った。するとアーティミドアは「私のホテルとオリオンの家はこっち側だわ。そしてあなたの住宅は向こう側だわ。するとあのカエル達はイスラエル人って事?」と言って笑うと、紙を出してステローペに見せた。ステローペはその紙を取って見た。その紙にはヒキガエルの鳴き声が楽譜にして書かれていて、その裏側にヒキガエルの絵も描かれていた。ステローペは「これってヒキガエルと鳴き声だね。今の季節はやつら集団で池に卵を産みに行くんだ。卵は透明な紐に入ってるんだぜ」と言って、ヒキガエルのタマゴの絵を描いた。その時二人の前で、一台の車が止まった。そしてオリオンが車から下りて来た。するとアーティミドアがオリオンに駆け寄って、腕を彼の腕に絡めた。オリオンはアーティミドアを無視してステローペの方に歩いて来て、彼女に「渋滞がひどかったんで、他の道を通って来たんだ」と言った。アーティミドアはオリオンに「今ヒキガエルが集団で信号無視をしているわ。あっちの方向!」と言って指を指した。オリオンは苦笑して「カエルは信号守らないよ」と言った。オリオンはステローペに手を差し出した。するとステローペは「アーティをほっとく気なの?」と言って、横を向いた。そして三人は車に乗って出発した。