62

 その時オリオンがそこへ車に乗って来た。アーティミドアは、オリオンに駆け寄ると「昼間はまるで地獄みたいに暑かったわ。だけど今は涼しくて気分がいいわ」と言った。するとオリオンは「地獄は人の世界の50倍熱いんだよ」と言った。そしてステローペも「常温って摂氏15度で、絶対零度はマイナス273点15度だよ」と言った。するとアーティミドアは「それじゃあ地獄って摂氏1万4千134点35度じゃないの! 悪魔さえも焼け死んじゃうでしょ!」と言って笑った。オリオンは「幽霊も死ぬな」と言った。アーティミドアは死にそうなほど笑っていて、ステローペはオリオンの襟首を掴んで「幽霊がどうやって死ぬの! もう死んじゃってるだろ!」と言った。そして三人は近くの池に行った。その時ウシガエルが鳴いていた。オリオンは「ウシが水の中で鳴いてるぞ」と言った。するとステローペがオリオンの頭を叩いて、アーティミドアに「ウシガエルだよ! こいつアホだから!」と言った。アーティミドアは「ウシガエルなの? 牛とは鳴き声が違うわね」と言った。ステローペは「ウシガエルって大きいんだよ」と言った。するとオリオンが両手を一杯に広げた。そしてステローペがオリオンの頭を叩いて「ゴリアテガエルより大きいじゃないか!」と怒鳴った。そしてアーティミドアに「ウシガエルは15センチくらいだよ」と言った。アーティミドアは「カエルってどんな格好で跳ぶのかしら」と言った。するとオリオンがポケットから手帳を出して、アーティミドアに見せた。手帳には五匹のカエルが描かれていた。そのカエルは、跳ぶ時に、目がアンテナのように飛び出して伸びていた。アーティミドアは、その絵を見て笑った。ステローペはその絵を見ると、オリオンに「何だよこの目は! カエルの目は引っ込むけど飛び出さないだろ!」と言った。それからアーてミドアに「あいつ頭おかしいから」と言った。それからオリオンとアーティミドアは車に乗った。そしてオリオンがライトをつけたら、ニワトリがアラビア語で鳴いた。