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 翌日、ステローペがアーティミドアのホテルに来た。その時、アーティミドアは、ベッドで寝ていた。ステローペは「具合でも悪いの?」と言った。アーティミドアは「私、ある女の人を好きなんだけど、私が男らしくないから、その人は他の男の人を好きなの。そして私はある男の人も好きだけど、私が男なので、その人はある女の人を好きなの。私は女に生まれたかったわ」と言った。するとステローペは「元気出せよ!」と言って、アーティミドアの左胸を掴んだ。するとアーティミドアは、悲鳴をあげて、ベッドから跳び出した。ステローペは驚いて「一体どうしたんだ」と言った。アーティミドアは「私、鉄製のストローを胸に刺して、ミルクを絞り出そうと思ったの。だけど絞れなくて、ストローも取れなくなったの」と言った。するとステローペは「中身はミルクじゃなくて脂肪組織だよ! 絞り出せるわけないだろ! あんたは十分男らしいから!」と言った。アーティミドアは、泣き出した。ステローペは「病院行こうよ。ぼくが下品なレズで助かったな」と言った。するとアーティミドアは、苦笑すると「何言ってるのよ」と怒鳴ると、笑い出した。そして二人はホテルを出た。アーティミドアは「あなた、あんなに綺麗になってたのに、どうしてまた元に戻ったの」と言った。ステローペは「このほうがぼくには合ってるんだ」と言った。アーティミドアは「デデキントっていう数学者知ってる? フルネームはユリウス・ヴィルヘルム・リヒャルト・デデキントで、1831年10月6日に生まれたの。そして1899年9月4日に新聞に死亡記事が載って、1916年2月12日に死んだんだよ」と言った。するとステローペが「あんた死んじゃ駄目だよ。死んだら殺すからね」と言った。アーティミドアは「変な事言わないでよ! どうやって死んだ人を殺すのよ!」と言って笑った。二人は病院に着いた。ハサン医師が、大きなピンセットのような物で、その鉄製のストローを引き抜いた。