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 そしてアーティミドアは、レストランに行った。その時、ピアニストがレストランでピアノを弾いていたが、そのピアノは音程が八分の一程低く調音されていたので、アーティミドアは、くすっと笑った。そして考えた。
 私は中学生の時から、男が嫌だったわ。それなのに、今は男になりたいのかしら。私は彼が好きなの? それとも彼女が好きなの? 女に生まれたかったと、ずっと思っていたわ。それなのに、今は男になりたい訳・・・、どうしてなの? 今も女になりたいわ。胸が大きくなるほど、幸せな気分になって行ったわ。本物の女に生まれたかったわ。私は彼が好きなの? それとも彼女が好きなの? ・・・。
 そして、食べ終わってから、アーティミドアは、オリオンとステローペに電話をかけたが、二人とも留守であった。そして帰宅し始めた。その途中、アーティミドアは、ステローペによく似た人を見つけて声をかけたが、別人であった。