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 八月十三日、マトゥサラとバトラーチェはケイロンに会うためにテッサリアに来た。その頃、ケンタウロス族がそこに住んでいた。彼等は騎馬民族であったので、外国人は彼等をしばしば半人半馬の姿に描いた。その時、マトゥサラは顔立ちの美しい男が馬に乗ってるのを見て、彼の後を追った。やがてその男は馬を止めると、馬を下りて花屋に入って行った。そしてマトゥサラもそこに来た。その時彼女は、バトラーチェが変身した花冠をつけていた。彼女は彼に「お花好きなんですか」と声をかけた。すると彼は「私は明日結婚式なので、ブーケが必要なんだ」と言った。そこでマトゥサラは、一番いいと思ったブーケを選んだ。すると彼は歓声をあげた。「おお、ヒュロノメが喜ぶぞ。」その時マトゥサラは驚いて「それは誰なの!」と尋ねた。すると彼は「私の婚約者だ。君は私を他の誰かと間違えてませんか。私はキュラロスという者だ」と言った。そして彼は馬に乗ると、走り去った。そしてマトゥサラは一人取り残された。彼女は「彼は私を愛していない・・・」と呟くと、花冠を掴むと地面に叩きつけて、歩き始めた。そしてその花冠がバトラーチェに戻ると、立ち上がって「いてえ何するんだ!」と叫ぶと、マトゥサラの後について行った。
 そして二人はケイロンの家に来た。そこはヘラ神殿の近くの丘の上であった。その時、神殿では結婚式が行われていた。ケンタウロス達は、自分達がヘラの子孫であり、彼女の聖遺体が神殿にあると信じていた。マトゥサラは、ヘラは生きているから、あの聖遺体は誰の物なんだろうかと考えた。その時キュラロスとヒュロノメが、祭司と共に神殿にいた。マトゥサラは、ヒュロノメの花嫁衣装を見て「私もあんな服着てみたいわ」と言った。そして、美しい装飾を施された棺桶が、僧侶達に運ばれて来て、蓋を開けられた。その時マトゥサラは思わず「女神じゃない! どう見ても人間にしか見えない!」と言った。その時ケイロンは彼女に「その通りだ。あの聖遺体は、人の娘のネフェレーだ。私はなぜ女神が死ぬのかと疑問に思って、真実を発見した。我らの先祖イクシオンは、天界に招かれた時に、女神ヘラを口説いたんだ。その時ゼウスは、ヘラとうり二つのネフェレーを待たせておいた。そしてイクシオンがそこに来て彼女をさらって行った。彼は死ぬまで彼女がヘラだと信じていて、幸せに暮らしていた。そして現在、我々の一族もそう信じて平和に暮らしている。今、私がわざわざその平和を乱す必要は無い。真実は私だけの物だ」と言った。そして結婚式がすっかり終わった。その時キュラロスが馬の背に乗ると、ヒュロノメも彼と共に乗り、二人は馬を走らせて行った。八月十三日、マトゥサラとバトラーチェはケイロンに会うためにテッサリアに来た。その頃、ケンタウロス族がそこに住んでいた。彼等は騎馬民族であったので、外国人は彼等をしばしば半人半馬の姿に描いた。その時、マトゥサラは顔立ちの美しい男が馬に乗ってるのを見て、彼の後を追った。やがてその男は馬を止めると、馬を下りて花屋に入って行った。そしてマトゥサラもそこに来た。その時彼女は、バトラーチェが変身した花冠をつけていた。彼女は彼に「お花好きなんですか」と声をかけた。すると彼は「私は明日結婚式なので、ブーケが必要なんだ」と言った。そこでマトゥサラは、一番いいと思ったブーケを選んだ。すると彼は歓声をあげた。「おお、ヒュロノメが喜ぶぞ。」その時マトゥサラは驚いて「それは誰なの!」と尋ねた。すると彼は「私の婚約者だ。君は私を他の誰かと間違えてませんか。私はキュラロスという者だ」と言った。そして彼は馬に乗ると、走り去った。そしてマトゥサラは一人取り残された。彼女は「彼は私を愛していない・・・」と呟くと、花冠を掴むと地面に叩きつけて、歩き始めた。そしてその花冠がバトラーチェに戻ると、立ち上がって「いてえ何するんだ!」と叫ぶと、マトゥサラの後について行った。
 そして二人はケイロンの家に来た。そこはヘラ神殿の近くの丘の上であった。その時、神殿では結婚式が行われていた。ケンタウロス達は、自分達がヘラの子孫であり、彼女の聖遺体が神殿にあると信じていた。マトゥサラは、ヘラは生きているから、あの聖遺体は誰の物なんだろうかと考えた。その時キュラロスとヒュロノメが、祭司と共に神殿にいた。そして、美しい装飾を施された棺桶が、僧侶達に運ばれて来て、蓋を開けられた。その時マトゥサラは思わず「女神じゃない! どう見ても人間にしか見えない!」と言った。その時ケイロンは彼女に「その通りだ。あの聖遺体は、人の娘のネフェレーだ。私はなぜ女神が死ぬのかと疑問に思って、真実を発見した。我らの先祖イクシオンは、天界に招かれた時に、女神ヘラを口説いたんだ。その時ゼウスは、ヘラとうり二つのネフェレーを待たせておいた。そしてイクシオンがそこに来て彼女をさらって行った。彼は死ぬまで彼女がヘラだと信じていて、幸せに暮らしていた。そして現在、我々の一族もそう信じて平和に暮らしている。今、私がわざわざその平和を乱す必要は無い。真実は私だけの物だ」と言った。そして結婚式がすっかり終わった。その時キュラロスが馬の背に乗ると、ヒュロノメも彼と共に乗り、二人は馬を走らせて行った。