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 マトゥサラは、続きを読もうとしたが、その書物は焼け焦げていて、読む事が出来なかった。

 翌朝、十月三十一日、老婆シビュラはバイクに乗って出て行った。そしてバイクで階段を下りて行った。その時マトゥサラは窓から外を見ていて悲鳴をあげた。するとオルフネがそんなマトゥサラを見てくすくすと笑った。その時暴走族が窓の外を通り過ぎた。そして階段を転がり降りた 。するとマトゥサラは大笑いをして「あの人達シビュラの真似をして、転がってるわ」と言った。暴走族は、階段の下まで来ると、何事も無かったように走り始めたので、マトゥサラは驚いた。その時オルフネが「最近はオートバイに乗る人達の間で、階段を転がって下りるのが流行っているのよ。だけどシビュラさんは、転がり下りる勇気が無いのよ」と言った。マトゥサラは「そんな事私も出来ないわ」叫んだ。その時バトラーチェはゴキブリをバターで炒めていた。そこでマトゥサラはそれをやめさせようとしたが、オルフネは笑って彼女をなだめて「人とカエルが無理して同じご飯を食べなくてもいいじゃない」と言った。そしてシビュラが帰って来た。そして彼女は死者の霊達を呼び出し始めた。その時、裸の男が現れて「私は発見した」と叫んで部屋の中を走り周り始めた。その時マトゥサラは笑い転げ、オルフネは両手で顔を覆った。するとシビュラは「間違えたわい」と言って、その裸の男を消した。そしてまた一人の霊を呼び出した。その時、外套を纏った老人が地から上がって来た。老人は「君達は何の用でわしを呼び出したのかね。サムエル記を読んだ事は無いのか。降霊術はいかん」と言って、地の底に沈んで行った。そしてシビュラはまた死者の霊を呼び出した。その時カエサルとブルータスと、その他数人の男が現れた。ブルータスは、数人の男達と共に、ナイフを持ってカエサルに襲いかかった。その時シビュラは彼らを消した。それからまた一人の霊を呼び出した。すると、象に乗った男が現れた。するとマトゥサラとオルフネは「ハンニバルだわ」と叫んで逃げようとした。シビュラはその象に乗った男を消した。そしてシビュラはマトゥサラに「すまないな。しかしこの書物を与えるとしよう」と言って、七十八ページの絵本を渡した。その本の中には、天地創造から、終わりの日までの間の、全ての本が封じられていた。