91

 十二月三十一日、世界の戦艦展が開かれていた。マトゥサラとバトラーチェは、戦艦展を見に行った。しかしトバルは動物園のオーナーから、ホシ・ピューマという動物を捕まえて欲しいとの依頼があったので、山に行ってテントを張った。その山は、戦艦展の会場から近かった。トバルはテントから出て、猫に似た動物が藪から出て来るのを見た。その動物は、野球のユニフォームを着ていた。その動物は二本足で立ち上がった。その時、動物の目が燃えていた。その目は野兎を見ていた。動物は野兎にボールを投げた。しかしそのボールは当たらなかった。そして野兎は走り出した。すると動物はボールを軽く投げ上げると、バットを振った。バットはボールに当たったが、ボールは野兎には当たらなかった。そして野兎は逃げてしまった。動物は天に吼えると、滝のような涙を流した。その時、トバルはライフルを撃ったが、弾は狙いを外れて、ホシ・ピューマは逃げて行った。

 トバルはテントの中でラジオを聴いていた。その時マルテス・メランプス・ワーグナー という名前の指揮者が、指揮をしていた。彼は人間には似ておらず、テンのような顔であった。オーケストラは、ベートーベンの第九番交響曲を演奏していた。その時マトゥサラとバトラーチェは戦艦展から帰る途中であった。バトラーチェは「戦艦大和とかいう、日本の艦は、波動砲が無いの以外は、宇宙戦艦ヤマトにそっくりだな」と言った。マトゥサラは「そうでしょう。宇宙戦艦ヤマトは日本人が、戦艦大和をモデルにして作った番組よ。大和は日本では英雄の艦よね。アメリカ人が、その番組を放送する時は、ヤマトをアーゴウと訳したのよ。アーゴウは、アメリカ人にとって、英雄の船だとわかりやすい名前だからね」と言った。そして二人は家に着いた。マトゥサラとバトラーチェがテレビを見ていた時、タンスの上にいた、猫のシャアが、ラジオを押して落とした。そのラジオは、デスラーという名前の、白猫の上に落ちた。するとラジオのスイッチが入って、音を出し始めた。その音 は、ベートーベンの第九番交響曲の、第四楽章であった。すると猫達は全員、一斉に逃げた。マトゥサラはラジオを拾うと「壊れていてスイッチを切れないわ」と言うと、コンセントを外した。しかし音は止まらなかった。するとバトラーチェが「内部電源だ始動!」と言った。マトゥサラは「活動限界は五分くらいね。五分たったら止まるから、明日修理に出すわ」と言った。第三百三十一小節で、音楽が止まった。そして再び音楽が始まった時は、変ロ長調になっていた。すると一匹の猫がラジオの前に来て、スピーカーを舐め始めた。バトラーチェはマトゥサラに「あの猫何してんだ」と言った。マトゥサラは「多分子猫と間違えてるんでしょう」と言った。そして、第三百七十五小節からテノール・ソロ が始まった。するとその猫は同時に、はじかれたかのように、逃げた。マトゥサラとバトラーチェは大笑いをした。そしてマトゥサラは猫達に「歌ってみなさいよ」と言った。しかし猫達は、音楽や人間の言葉を理解せず、それぞれ好きな事を続けていた。バトラーチェは「猫に音楽はわからないだろ」と言った。するとマトゥサラは話し始めた。

 テオフィル・ゴーシェは、白猫を飼っていて、ドン・ピエロ・ド・ナヴァルと名付けていた。その猫は非常に音楽が好きであったが、高音のラが嫌いだったの。そして人間の言葉は理解しなかったわ。ダンテは品を読む時に、飼い猫にロウソクを持たせてたわ。ルイ十五世は猫が好きで、飼い猫達はペット役員になったの。マーク・トゥエインは沢山の猫を飼ってて、おかしな名前をつけていたわ。飼い猫の一人のピーターが、痛み止めを飲んで暴れたのよ。ジェレミーベンサムの猫はサー・ジョン・ラングボーンという名前だったの。そして彼はファーザー・ジョン・ラングボーンと呼ばれたわ。一エウピプトンは、五百七十三メートルなの。そして一ペセマトタコスは時速百八十キロよ。だけど猫の一エウピプトンは百九十一分の九エウピプトンで、猫の一ペセマトタコスは三十六分の十九ペセマトタコスよ。猫は二十七メートル落ちた時点で時速九十五キロになって、その後はずっと同じ速さで落ち続けるの。ペセマトタコスは終端速度なのよ。エゼキエル書によると、至聖所の一キュビトは六分の七キュビトよ。だからと言って、実験はしないでね。

 その時、トバルのテントの周りには、沢山の動物と鳥と爬虫類と、その他色々な動く生物が集まって来ていた。そしてマトゥサラがDIOと名付け、トバルと戦っていた猫がタキシードを着て、テントの前に箱を置くと、その箱に飛び乗って、指揮棒で指揮を始めた。そして全ての動物達が二本足で立ち上がった。そして音楽は、第五百四十三小節目になった。すると動物達は歌い 始めた。するとトバルは子供向けのアニメのように、テントごと跳び上がって驚くと、外に飛び出した。そして歌っている動物達を見て驚いた。

 その時マトゥサラは、二本足で立って歌っている猫達の中で、驚いて棒立ちになっていた。その隣でバトラーチェが笑い転げていた。

 その時とトバルは猫を追い回していた。猫は戦艦展の会場に来た。トバルは猫をフライパンで叩き落とした。猫は海に落ちた。トバルは「猫は泳げない」と叫んで小躍りした。

 その時マトゥサラはラジオをクッションで覆って、テレビをつけた。その時マルテス・メランプスメ・ワーグナーがテレビに出た。バトラーチェが「おお! 動物のテンだ!」と言った。するとマトゥサラは「失礼な事言わないで。あの人人間よ」と言った。

 その時トバルは電気屋の前を通り過ぎていた。その時宇宙戦艦ヤマトが放送されていた。彼は何気なく周りを見回した。すると戦艦大和が空を飛んでいた。トバルは「ヤマトか」と叫んだ。猫が戦艦大和を持ち上げて、海からジャンプしていたのだった。そしてトバルの方に艦首を向けると、トバルめがけて投げつけた。トバルは戦艦大和を撃った。すると弾丸は艦首に穴を開けた。そして戦艦大和宇宙戦艦ヤマト そっくりになった。トバルは戦艦めがけて跳んだ。すると猫が彼の前に来た。戦艦は電気屋に突っ込んだ。それからトバルと猫は戦い始めた。