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 一月七日、マトゥサラは、一般人の服を着て、バトラーチェに「車に変身して」と言った。するとバトラーチェは車になり、マトゥサラは乗り込んだ。そしてホテル・タイガース・アイに行った。すると、一台の白い車が近づいて来て、バトラーチェが変身した車にすり寄って来た。するとバトラーチェは元の姿に戻って「おらは車じゃないぞ」と言った。同時にマトゥサラは、いきなり空中に座っていて、落ちた。すると白い車は驚いて逃げて行って、隠れた。そこにトバルが来ると、「すまない。こいつは俺の、シャルロットという車だ。洗練されたデザインの車を見るたびに、すり寄る癖があるんだ」と言った。するとその白い車は近づいて来て、彼にすり寄った。マトゥサラはトバルのためにクッキーを焼いた。バトラーチェきむっとして、トバルにちょっかいを出した。彼は怪物に変身して襲いかかろうとした。するとマトゥサラが彼を外につまみ出して、トバルにクッキーを渡した。その時、元に戻ったバトラーチェがクッキーをひったくって、全部口に放り込んで、食べ過ぎて倒れた。マトゥサラはそれを見て、死にそうなほど笑った。そしてマトゥサラとトバルはリビングルームに行った。マトゥサラはトバルの腕に、彼女の腕をからめて「エバはアダムから取り出されたのよね。それじゃあ鶏は、最初の雌鶏から最初の雄鶏が取り出されたのかしら」と言って、そのまま眠ってしまった。トバルは彼女から離れようとした。その時マトゥサラがスペイン語で何かを叫ぶと、また寝入った。トバルはスペイン語をいくらか知っていた。そのスペイン語が「お父さん! 私を一人にしないで!」つという意味らしいと気がつくと、彼女抱きかかえて、車に乗せた。すると、その白い車がピンク色になって、めちゃくちゃに走り始めて、宙返りをしたり、踊ったり、転がったりし始めた。

 一月八日の朝、トバルはグロッキーであり、マトゥサラは料理を作ると家に帰った。トバルの額の刺青は、マトゥサラのネックレスと全く同じ形の十字架であった。