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 一月二十六日、マトゥサラとバトラーチェはテレビを見ていた。その時、アポスタテス教皇と、鏡がテレビに出た。その鏡には、文字 が写っていた。アポスタテス教皇は「この文字を読める者はいるか。読めた者には賞金を出そう」と言った。マトゥサラはテレビの前で「悔い改めよ。洪水が起こるだろう、と書いてるわ」と言った。そしてテレビに占星術師、予言者、手品師、学者、魔法使い達が出た。しかし誰もその文字を読めなかった。一人の男がテレビに出た。名はバカターレスであった。バカターレスは「この文字はこう書いてある。メネ・メネ・テケル・ウ・パルシン 。意味はこうです。数える、数える、量る、そして分ける。数えるとは、神が王国終焉の日までを数えるという事であり、量るとは、王の目方を量って軽いと見なした事であり、分けるとは、王国が分けられてメディアとペルシアに与えられるという事です」と言った。その時、イエス像の腕が動いて、エックスの字を作った。すると天井からバカターレスの頭の上に水がかかった。その時、鏡に写っている文字がまた変わって いた。それは「それはダニエル書の第五章だ。愚か者には水を与える」という意味であった。そして金盥が落ちて来て、バカターレスの頭に当たり、彼は気絶した。マトゥサラはテレビでそれを見て、死にそうなほど笑っていた。イエス像と鏡の文字は、最初の状態に戻っていた。そしてまた一人の男が来た。その男の名はボンクラテスであった。ボンクラテスは「この文字は、風呂に入れという意味だ」と言った。すると、イエス像の腕が動いてエックスの字を作った。するとボンクラテスは「一人では死なん」と言ってアポスタテス教皇に抱きついた。そしてボンクラテスとアポスタテス教皇は一緒に水をかぶった。アポスタテス教皇は内心怒ったが、画面の方を向いて微笑みかけると、ボンクラテスに「宮廷コメディアンにならんか」と言った。その後、その文字を読めるという者は現れなかった。アポスタテス教皇はテレビの画面の方を向いて「レディース・アンド・ジェントルメン。この文字を読める者がいたら、賞金を出そう」と言って、番組は終わった。