105

 二月二日、世界時十八時半に、空が暗くなり始めた。

 世界時十九時、月は巨蟹宮五度五十四分三十七秒、北緯三度五十二分四十七秒にあった。そして月齢は十点四日であった。赤井彗星 は、双児宮二十八度十五分四十五秒、北緯二度三十六分一秒にあった。それは獅子宮二十四度十七分四十三秒、南緯〇度三十七分四十四秒にあるしし座タウ星を中心として、真北から西に四十三度十五分三秒ずれた方向に四十六分四十一秒離れた場所に、彗星の尾の折れ目があった。そして双児宮十四度四十四分十三秒、南緯一度三十二分二十四秒にあるふたご座36番星を中心として、真北から東に六十四度五十四分五十四秒ずれた方向に〇度十分五十八秒離れた場所に、彗星の尾の先端があった。

 世界時二十時、月は巨蟹宮六度十八分五十八秒、北緯三度五十八分十九秒にあり、月齢は十点四日であった。そして赤井彗星は巨蟹宮一度二十五分十九秒、北緯二度五十九分十四秒にあった。

 世界時二十一時、月は巨蟹宮六度四十二分三十秒、北緯四度二分四十四秒にあり、月齢は十点五日であった。そして赤井彗星は巨蟹宮二度五十六分四十三秒、北緯三度二十五分九秒にあった。

 世界時二十二時、月は巨蟹宮七度五分五九秒、北緯四度五分四七秒にあり、月齢は十点五日であった。そして赤井彗星は巨蟹宮五度五十五分四十二秒、北緯三度五十四分〇秒にあった。

 世界時二十二時二十三分四十秒に、彗星 は月の裏側に隠れた。その時月は巨蟹宮七度十五分二十三秒、北緯四度六分三十六秒にあり、月齢は十点五日であった。そして赤井彗星は巨蟹宮七度十五分二十六秒、北緯四度六分十四秒にあった。彗星の尾の折れ目は、しし座タウ星を中心として、真北から西に四十九度三分二十九秒西にずれた方向に一度五十九分離れた場所にあった。そして彗星の尾の先端は、ふたご座36番星を中心として、真北から東に九度十四分十八秒ずれた方向に、一度九分五十八秒離れた場所にあった。その後突然、月が炎に包まれた。そして彗星は再び現れなかった。

 翌朝、二月三日、雲が無いのに雨が降り始めた。誰もその雨の原因がわからなかった。その時、月には染みが出来ていて、彗星はどこにも見当たらなかった。