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 二月六日、マトゥサラはニュースを見ていた。考古学者が、サントリーニ島で古代遺跡を発見した。その頃、サントリーニは丸い島 であった。その古代遺跡はムーザキにあった。

 翌朝、二月七日に、マトゥサラとバトラーチェとトバルは、ボートでサントリーニ島に向かった。三人がフォレガンドロスに来た時、隕石がバロスに落ちた。それは太陽のようにまぶしく輝き、世界中の大気が震えた。そして全ての雲が消滅して、空全体が、ピンク色のオーロラに包まれた。三人は、三対の、巨大な炎の翼が、水平線から立ち上がるのを見た。そして炎の山が盛り上がって、立ち上がった。六つの翼はその山から生えていた。その山はさらに盛り上がった。それは蹲った炎の巨人でり、そして立ち上がった。マトゥサラは思わず「熾天使だわ」と叫んだ。その巨人は天に吼えた。すると同時に地震が起こった。すると、バケツをひっくり返したように、水が天から降ってきた。マトゥサラは立ち上がって、その巨人を見ようとしたが、その巨人は消えていた。そして大きな波が、三人のボートをひっくり返した。三人はボートに這い上がった。その時、空はピンク色になっていた。その時、バロスは直径五点六キロのクレーターになっていた。そして海水が、そのクレーターに流れ込んでいた。そして、六つの翼の巨人がいた場所から、きのこ雲が上がっていた。しばらくして、巨大な、黄金の燭台 がきのこ雲の中から現れた。その燭台には七本の蝋燭が立っていて、七つの人魂のような火が灯っていた。燭台はムーザキに向かって飛んでいた。マトゥサラ達はサントリーニ島に着いた。三人は、そこでテレビのニュースを見た。ニュースキャスターは「海面が十五メートル上昇した後、現在ゆっくりと下がっております」と言った。燭台はムーザキに来た。その時、多くの兵隊たちが集まって来た。戦車が燭台を撃った。すると、燭台の前に、目に見えない壁があるかのように、弾が燭台の手前で弾かれた。そして、一本の蝋燭から、レーザー光線が出た。そして戦車が爆発した。そして他の戦車達も、片っ端からレーザー光線にやられた。マトゥサラとバトラーチェとトバルがそこに来た。燭台はレーザー光線を撃って、町を廃墟に変えた。トバルがバズーカ砲で燭台を撃ったが、弾丸は皆弾き反された。そして燭台はトバルの方に進み始めた。その時バトラーチェがショルグフに変身して、燭台に向かって飛んだ。燭台はレーザー光線を発射した。ショルグフはそのビームをよけた。が、そのレーザー光線の一つがガスタンクに当たった。ガスタンクが爆発して、ショルグフはその爆発に飲み込まれて墜落した。マトゥサラはバトラーチェを呼んだが、返事はなかった。燭台はマトゥサラとトバルの方に向かった。トバルは逃げようとしたが、マトゥサラは呆然としていた。トバルは彼女を揺すったその時燭台が二人の上に落ちて来た。マトゥサラを背中に負ぶったトバルは走って逃げようとしたが、足元で地面が崩れた。そして二人は地下に落ちて行った。

 マトゥサラは、起き上がると、七つの目を持った巨人を見て、思わず「デミウルゴスだわ」と叫んだ。そして、その場所が、本来の教皇庁だろうと思った。ギガントマキアの後、最初の教皇庁は地下に埋もれたからである。そして彼女は周りを見渡した。すると、三つの頭と沢山の手を持つ巨人などがいた。それらは整備されていて、いつでも動かせる状態であった。プロメテウスの話によると、それらはアダムの失敗作であり、十八番目のアダムがプロメテウスの弟エピメテウスで、それが人の先祖となった。マトゥサラは「私は智天使クラスなので、熾天使には勝てないわ。でも、伝説が本当なら…」と呟き、天使博物館に向かった。そして、ラミエルという名の、光線銃を見つけて「熾天使に勝てるのは熾天使だけ」と言って、地上に出た。そして彼女はトバルにその光線銃を渡した。そしてトバルはその光線銃で燭台を撃った。すると、その銃はレーザー光線を発射した。その時、燭台も同時に、ロウソクの一本からレーザー光線を発射した。すると、二つのビームが、互いの磁力で干渉し合って、ねじれた。ラミエルのビームが、燭台の前の、目に見えない壁を砕いて、蝋燭の一本を吹き飛ばした。同時に、燭台から撃ちた瀬されたビームも、トバルの横の地面を火の海に変えた。燭台は、他の蝋燭からレーザー光線を撃った。その時マトゥサラが、三面鏡を持って、トバルの前に立った。鏡はビームの熱で、少しずつ熔け始めた。その時、トバルの光線銃が充電し終わった。三面鏡が砕けた。同時にトバルはトリガーを引いた。すると、レーザー光線が、燭台を撃ち抜いた。すると、燭台は砕けて、亀裂から血を噴き出して、地面に落ちると燃え上がった。マトゥサラは起き上がって「あの燭台は熾天使だわ」と言って、空を見上げた。その時上空で、魂のように白く光る鳥が、円を描いて飛んでいた。マトゥサラは「あの鳥は神の子ね」と言った。