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 翌日、アーティミドアは電車に乗った。それからオリオンもそこに来た。そしてアーティミドアに気がつくと、声をかけて来た。アーティミドアは「車どうしたの」と言った。オリオンは「昨日、岩が沢山飛んでて、そのうち一つが俺の車の上に落ちたんだ」と言った。アーティミドアは驚いて固まってから「ゴリラが山で岩を投げてたのよ」と言った。オリオンは「どんなゴリラだよ!」と言った。アーティミドアは「・・・、そのゴリラ、ブラジャーをつけてたわ」と言った。オリオンは苦笑して「何だよ。何でブラジャーなんかつけてたんだよ」と言った。
 その夜、アーティミドアは雑書を見た。それには赤いビキニ姿のゴリラが印刷されていて、「クィーン・コング現る!」というタイトルが書かれていた。アーティミドアは、苦笑して「クィーン・コングって本当にいたの? 巨人の体重って身長の三乗に比例するけど、筋力は体重の二乗に比例するから、30トン以上の生物は地球上では生きられないわ。だけど恐竜はいたんだよね。その頃の地球の重力は、今より弱かったのかしら」と言った。