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 八月十六日、マトゥサラとバトラーチェとポセイドンはホテルを出た。そして三人はたまたま電気屋の前を通った。その時テレビでニュースが放送されていた。それは遠くの海の嵐のニュースであった。するとポセイドンは「俺の留守中に嵐が起こりやがった。行って鎮めなくては」と言うと、電柱をへし折って投げると、それに跳び乗り、飛んでいる電柱の上に立って、飛び去った。マトゥサラはレツィーナを買った。それは松ヤニの匂いがした。彼女は口に含むなり「何よこれー!」と叫んで、花壇に咲いていたアジサイにかけた。するとアジサイはすみれ色からピンク色になって、へなへなとしおれた。