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 やがて、トラ縞の猫が現われた。その猫はバイクを押し倒すと、こぼれたガソリンを飲んだ。その時トバルはライフルで猫を撃った。猫は弾丸に弾かれて転がると、その弾丸の来た方向を向いた。そして走って来ると、トバルに跳び掛かった。するとトバルは猫を金属バットで叩き落とした。猫は再び彼に跳び掛かった。トバルは猫の尻尾を掴むと、振り下ろした。するとその猫は尻尾からほどけてコブラになった。トバルはそのコブラを放り投げた。コブラは巻き上がって丸まり、元の猫に戻った。そして猫はトバルに跳び掛かった。トバルはチェーンソーを取り出すと、猫を真っ二つに切った。猫は真っ二つになって動かなくなった。そしてトバルは帰ろうとした。その時、真っ二つになった猫が、双子の猫になってトバルに襲い掛かった。そしてトバルの悲鳴が町中に響きわたり、彼は空高く吹っ飛ばされると近くにあった牛小屋に落ちた。その時、双子猫は社交ダンスをしてから、合体して元の一匹の猫に戻って、歩き始めた。そしてトバルは起き上がると「シャルロットー!」と叫んだ。すると白い車が走って来て、そこで止まった。その車の名はシャルロットであった。トバルはその車に乗り込むと、車を走らせた。猫は肉屋の前に来ると、ニャースの様に二本足で立ち上がり、シャッターを蹴破って中に入った。そして子牛を口にくわえて歩き始めた。猫は道路を歩いていた。その時、ダンボール箱があった。何匹かの子猫が箱に入っていた。猫は二本足で立つと、エプロンを着けて包丁を取り出して、子牛を切って子猫達に与えた。そして彼は、一匹の猫が車に轢かれそうになるのを見た。その時彼は走り始めて車の前に来た。すると彼、野良猫に当たった車がひっくり返った。そして彼は道路を逆走し始めた。猫に当たった車はことごとくひっくり返った。
 トバルはカイロ・タワーの南を通り過ぎていた。そして橋を渡ると道路が混雑していたので、その車、シャルロットを止めた。そしてラジオをつけた。するとラジオが喋り始めた。
 「今日、クラーク・ケントが自殺未遂を謀りました。踏切で列車に飛び込むと、列車が脱線して、多くの乗客が重軽傷を負いました。しかし本人は怪我一つなく、死ぬことは出来ないのかと嘆いております。現在、エル・ニル通りにて、ホテル・フラメンコからマサフ・エル・ジライにかけて大規模な交通事故が発生しており、現在も拡大し続けている模様・・・。」
 トバルは、その場所が事故現場が近いと思って、サングラスを外した。彼は美しい目の色をしていて、黒い十字架の刺青が額にあった。カインの末裔達は全て刺青をしていた。それは神がカインにつけた刻印であった。その時一人の男が、トバルの車の脇を走って通り過ぎた。トバルは何だ!? 、と思って、サングラスをかけた。大勢の人が、車の間を走って通るのが見えた。そのうちの一人が振り返って指を指しながら何かを言った後、また前を向いて走って逃げて行った。そして何台かの車が吹き飛び、虎猫が右から現われてトバルの車の前を通ると、左に行った。トバルは「あの猫だ!」と叫ぶと、間髪を入れずにハンドルを回してアクセルを踏み、猫の後を追った。猫は走りながら、走って来る車達の前に飛び込んでいた。そしてトバルは、ひっくり返って転がる車を避けながら猫を追った。トバルは「我が愛車シャルロットよ。あの猫を捕まえよう」と言って、スイッチを押した。すると、車からパワード・ガン が出た。それは彼のライフルよりも威力がある。そして猫を撃った。猫は吹っ飛んだ後、起き上がってシャルロットに跳びかかった。するとトバルはその猫を避けて、右に曲がった。そして猫がその車を追った。その時トバルは踏切の遮断機が下りるのを見た。そしてフルスピードで列車の前を通り過ぎた。そして猫は列車に跳び込んだ。すると列車が脱線した。トバルは車を走らせ続けていた。か、猫は何事も無く彼の車を追い続けていた。トバルは、スーパータイヤと書かれたスイッチを押した。するとシャルロットのタイヤが金色の光 を放ち始めて、スピードアップした。その速度は時速三千キロであった。猫は二本足で立つと、ランニングシャツとトランクスを来て、鉢巻きを締めて走り始めた。そして車にぴったり続いた。トバルはマリリン・モンローに似た女性が路上にいるのを見て、ハンドルを回して彼女の横を通った。そして猫が彼女の足元を通った。すると彼女のスカートがふわっと広がった。シャルロットはピラミッド・ホテル に昇った。そして猫もそのホテルに昇った。そしてシャルロットは跳び降りると、振り返ってホテルを撃った。するとピラミッド・ホテルが崩れた。トバルは「あの爆発の中では助かるまい」と言って、帰ろうとした。その時、彼の車が持ち上がった。猫が持ち上げていたからである。そして猫はシャルロットを投げ飛ばした。そしてシャルロットはクフ王のピラミッド の上に落ちた。トバルは「クソ猫め! 必ず殺してやる!」と叫んだ。