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 その時クリストフォルスは、彼の部屋で祈っていた。
 「私は私はかつてレプロブスという名であった。私は悪いことばかりしていた。ある日私は良い人になろうと思って、名をクリストフォルスと改めた。キリストを背負う者とてう意味だ。今日試合の直前に、病気で苦しんでる婆さんを見つけて、病院に負ぶって行った。神よ。彼女は助かりますか。」
 それから彼は腕時計を見て「この船まだ出航してない。何故だ?」と言った。その時、船員の一人が入って来て「君がクリストフォルス様ですか。船の錨が海の底に引っ掛かっています」と言った。そこてクリストフォルスは出て行くと、錨を力任せに引き上げた。すると大きな岩が、錨と一緒に上がって来た。船員が「その岩を捨ててくれ!」と言った。そこでクリストフォルスはその岩を投げた。その時、岩は錨ごと飛んで行き、鎖がピンと張った時に、船も引っ張られて飛び 始めた。そして鎖がついた岩と船は、アレクサンドリア沖に落ちた。そして乗客達は降りた。マトゥサラ は猫を一匹抱き上げると「この猫は、ラムセス二世の飼い猫よ。年齢は推定三千三百歳。名前はプリンス・シャーキンなの。エジプトは良い国だわ。エジプト人は猫を殺さないの」と言った。バトラーチェ は「奴らはクレイジーだよ。猫を殺さないので、ペルシア との戦争に負けたんだろ」と言った。マトゥサラはアレクサンドリア図書館に来た。彼女は聖書翻訳家であった。彼女の母方の祖父コメル・サドックも聖書翻訳家であった。コメル・サドックには、娘しか産まれなかった。そのうちの一人が、マトゥサラ・エト・ハンマッブル・マイム・ガル・ハアレス・フロス・イアト・スメス・カドマイオス・ウサフ・イアト・オアウ・ベン・メム・ウタウを産んだ。彼女の夫のガニュメデスが点に昇ったので、彼女はマトゥサラと共にコメル・サドックの家に来た。そしてコメル・サドックがマトゥサラを、ティベリアの学校に送った。
 その時エレアザルという僧侶がそこにいた。彼は、聖書外典・儀典を集めて翻訳しているマトゥサラの先輩であり、聖書をギリシャ語に翻訳した人であった。マトゥサラは彼に「ヒエロニムスもここにいますか」と尋ねた。するとエレアザル「いや、ヒエロニムはエルサレムにおります」と答えた。マトゥサラは「ヤコブは、ヨベル書では八十八歳でヨセフを産んでいるけど、メギラーでは、創世記を元に計算して七十七歳の時と言ってから、九十一歳の時と結論づけているわ。バライタによると、彼はイサクの家を出た後、十四年間エベルの家に住んでから、ラバンの家に来たわ」と言った。エレアザルは「知恵のある蛇が、コーカサスにいるらしい」と言った。マトゥサラはマスカット・デジプトというワインを買った。それは非常に甘かった。その夜、二人はホテル・ガミロン に泊まった。そこの従業員達は、青い肌をしていた。そこはアレクサンドリアの近くであった。

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 八月十七日、マトゥサラとバトラーチェはエジプトに行くために港へ来て、船に乗った。その時マトゥサラは、クリストフォルスに似た男を見て、後を追ったが、見失った。そして彼女は、クリストフォルスはアンタイオスとの試合の時、不在だったので、アンタイオスが不戦勝になったわ。どうしてかしら? と思った。そしてマトゥサラとバトラーチェは船内のレストランに入った。マトゥサラはウエイターに「カエル料理を頼む。日本のアカガエルが一番旨いんだ」と言った。その時バトラーチェが逃げようとしたが、マトゥサラは襟首をつかんで、ウエイターに「冗談よ。人間と蛙の両方が食べられる料理がいいわ」と言った。するとウエイターはその場を去った。するとバトラーチェが「温泉ガエルは不味くて食えんぞ!」と叫んだ。そしてウエイターが、イナゴ料理を持って来た。するとマトゥサラが「うわぉこれバッタ!?」と叫んで、椅子ごと後ずさりした。そしてバトラーチェは大喜びで食べ始めた。ウエイターは「洗礼者ヨハネはイナゴと蜂蜜を召し上がっておられました」と言って、シロップをかけ始めた。するとマトゥサラは気を失って倒れた。