カエル大戦 3 チカ編

1

 セレニタが家に帰って来た時、銀髪の少女がいた。彼女は一つの八線星形、二つの六線星形、四つの五線星形の、合計七つの髪飾りを付けていた。彼女はチカ・エリセアと呼ばれていた。マリアは「この子はあなたが居ない間に星から落ちてきたのよ」と言った。セレニタはチカと共に野に行った。彼女は崖の上にある花を指差して「私あの花が好き」と言った。するとセレニタは崖を登り始めた。そして上まで来ると、なぜかチカはすでにその場所に居た。その時セレニタは花を我先に取ろうとしたが、彼女が彼の手を掴んで「花はどうしてこんな所で咲いてるの。ここに居たいからここに咲いてるのかしら。取らないでね」と言った。そして彼女は跳び降りようとした。その時セレニタは「待って! ぼくが下で支える!」と言って崖を降り始めたが、チカは跳び降りて見事に着地した。セレニタは驚いて「あの子は天使なのか」と叫んでその拍子に落ちた。

1 解説

 チカ・エリセアとはスペイン語で「天界の娘」という意味です。宇宙戦艦ヤマトのヒロインがストレートの金髪のロングヘアーなので、冗談で水色でウエーブのかかった短い髪の女の子を描きました。海外のアニメ雑誌で、アニメキャラの水色の髪の毛がsilvery hairと書かれていたので、英訳する際銀髪と書きました。

2

 子犬が来た時、セレニタは慌てて木に登った。しかしチカはその子犬を抱いて撫でていた。セレニタはそれを見て「まるで猛獣使いだな」と呟いた。セレニタは鳥の巣を見つけるとチカを呼んだ。彼女も木の上に来た。そしてセレニタ彼は「この卵はゆでると旨いぞ」と言った。その時チカが悲鳴をあげた。セレニタが振り向いたら、一羽の鳥が彼女に襲いかかっていた。そこでセレニタは枝を一本折って、鳥と彼女の間に割って入った。すると彼ら二人分の重みで足下の枝が折れて、彼らは落ちた。そこに鳥が襲いかかって来た。セレニタは鳥と戦おうとしたが、チカが彼の腕を掴んで走り始めた。しばらく走ると鳥はついて来なくなった。セレニタは「あんな鳥敵じゃないのに何で逃げなくちゃいけないんだ!」と叫んだ。するとチカは「あの鳥はお母さんでしょ。お母さんが居なくなったら誰が卵を抱くの」と言った。

3

 マリアはチカに「セレニタの誕生日は6月25日なの。あなたの誕生日は?」と言った。チカは「私6月18日生まれよ」と言った。するとマリアは「来年祝ってあげるわ」と言った。

その夜、チカはひどくうなされてたのでセレニタは「どうしたの」と言った。するとチカは「私が生まれた星が闇に包まれたので、住める星を探してたの。でもこの前カウルクァッペが私たちの宇宙船を襲ってね、天井がお父さんの上に崩れ落ちてたの」と言った。セレニタは「そのカウルクェー…、カウルクワオアー…、カウル何とかって言うのは何なんだよ」と言った。チカは「地球の言葉で何と言うのかしら…。それから私の足下でも床が裂けて落ちて、その後どうなったか憶えてないの」と言った。セレニタは「今度そのカウル何とかってのが来たらぼくがぶっ倒してやる」と言った。

3 解説

 西暦1178年6月、月面で爆発が起きました。その日付は、本によって25日だったり18日だったりします。これらの日付をセレニタとチカの誕生日にしました。カウルクァッペというのはドイツ語で「オタマジャクシ」という意味です。学校の図書室にカエルの本があったんですが、カエルとオタマジャクシの、様々な言葉での呼び方が載ってました。

4

 翌朝、セレニタは起きるとベッドの上に立ち上がり、天に向かって「コケコッコー! コケコッコー! コケコッコー! …」と叫び始めた。チカはまだ眠たかったので、マリアの寝室に行った。セレニタはミルクを買いに行った。その時巨大な燭台が空を飛んでいるのを見ると、家に戻って「ママ! 今大きな燭台が飛んでいたんだよ!」と叫んだ。するとマリアは「この頃よく飛んでいるのよ。もしかして天使の乗り物かしら。 …あらごめん。あなたまだエゼキエル書読んでなかったね。UFOが出て来るのよ」と言った。セレニタが「チカはどうしてる?」と言うと、マリアは「あの子はまだ寝てるわ」と言った。

 その後、セレニタは部屋に行くと、聖書を手に取って「本当かなあ・・・」と言うと読み始めた。

5

 セレニタがテレビを見ていると、頭部が黒と白の、オタマジャクシらしい色に塗られて、体が緑と白の、カエルらしい色に塗られたカエルレアIIが、CMに出て芸をしていた。そのカエルレアIIは、軍でテストされてるカエルレアIIとは、細かい部分が、色々と違っているように見えた。するとカエサルが「ニュースを見ろ」と言ってテレビのチャンネルを変えた。すると、テレビに出ているニュースキャスターが、カエルレアIIを改良したカエルレアIIIが正式に採用されて、RNX(ラナックス)という名前を付けられて、世界各国に輸出され始めた事を話していた。

 ラナックスの操縦席は頭部にあるが、搭乗者の人命優先のために、機体が損傷した時に、頭部を切り離して脱出機とする事が出来て、その脱出機にも、最低限の武装がされていた。そしてテレビには、日本の白と黒に塗られたラナックス、ドバイの白と緑に塗られたラナックス、イタリアの銀と青で塗られたラナックス、イギリスの黄色と青に塗られたラナックスなどが、テレビに映された。

 

 しばらくしてエンディミオンが家の前に来た。マリアがセレニタの部屋に来て「あなたの友達が来てるわよ」と言った。それでセレニタは外に出た。エンディミオンは「周りで人影を見た事があるか?」と言った。するとセレニタは「人は見た事が無いけど、今日の朝大きな燭台が飛んでたよ」と言った。するとエンディミオンは「それは赤い彗星の戦闘機だ。そして君の家にいる少女は赤い彗星の女だ。彼女と周囲をよく観察していろ」と言って帰って行った。

 

5 解説

 冒頭の、ラナックスの話は、2017年の9月に、ジンクスVの真似をして書き足しました。

6

 セレニタは部屋に戻るとカエサルに「あの子は赤い彗星から来たのか」と言った。するとカエサルは「赤い彗星の兵士達は、七つの星が描かれた旗を持っていた。彼女の髪飾りも七つの星だな」と言った。その時チカが部屋に入って来ると、セレニタに「あなた腹話術師だったの? 今そのカエルが喋ってるのかと思ったわ。お姫様がキスをしたら人間になるんじゃないかしら」と言った。するとセレニタはカエサルをすくい上げると熱烈にキスをした。同時にカエサルが風船の様に膨らみ始めた。チカはセレニタを揺すって「やめて! そのカエル死んじゃうでしょ!」と叫んだ。カエサルは落ちると転がりながら元に戻って、セレニタに噛み付いた。そしてチカは大笑いした。

7

 セレニタはチカに「お前の宇宙船は大きなシャンデリアに似てるのか?」と言った。するとチカは「そうよ。飛ぶ時に赤いガスをかぶって彗星の姿になるの」と言った。その時、いつの間にか来ていたエンディミオンが「君は君達がやった侵略行為を知ってるのか。おれ達の故郷は赤い彗星に滅ぼされたのだ!」と言った。チカが驚いて「そんな事知らないわ」と言うと、エンディミオンは「おれはプレイアデスの生き残りだ」と叫んで彼女を叩いた。セレニタが「その子まだ子供だろ」と叫ぶと彼は我に返った。その時チカはすでに逃げ出していた。セレニタは後を追ったが彼女が走る速さは彼よりも速かった。彼女は立ち止まると天に向かって「コンメ! ヒーア・ビン・イッヒ!」と叫んだ。すると巨大な燭台が空に現れて、そのロウソクの火が強烈な光を放った。セレニタは思わず両手で顔を覆い、再び目を開いた時、燭台は彼女を収容して飛び去った。

7 解説

 今回チカが言った「コンメ! ヒーア・ビン・イッヒ」という言葉はドイツ語で「私はここです。来て下さい」という意味です。学校の先生に書いてもらいました。

8

 燭台は月の裏側に来た。その時、そこでは巨大なシャンデリアが修理中であった。そして燭台はシャンデリアに収容された。一人の老人がチカを迎え入れて「王女様。ご無事でしたか」と言った。チカは「有り難う。大臣」と言った。そして大臣に「私達の記録を見たいわ」と言った。大臣がスイッチを入れると、映画が映し出され始めた。それは赤い彗星の歴史であった。かつて彼らはM91銀河に住んでいた。しかしある時、暗黒星雲が銀河を覆ってしまった。そこでその銀河の住民達はシャンデリアの様な宇宙船を作って乗り込み、シャンデリアは飛び立った。そしてそれは赤いガスに包まれて彗星の様な姿になり、住むのに適した星を探し始めた。

8 解説

 メシエは彗星と紛らわしい天体の表を作りました。これをメシエ・カタログというのですが、M91というのは失われたメシエ天体であり、その位置にはそれらしい天体はありません。

9

 そして赤い彗星はプレセペで、住むのに適した星を見つけた。しかし多くの先住民がすでに住んでいた。そこで艦隊が彗星から飛び出して、惑星を攻撃し始めた。M91銀河軍の宇宙戦艦は、三十四本のロウソクのような形のレーザー砲を装備していて、そのロウソクの火からレーザー光線を発射する。そして艦載機は燭台の形をしていた。惑星の住民は反撃した。その戦争の最中、地下のエネルギー資源に火がつき、全ての火山が噴火して、海は沸騰した。戦争にはM91銀河軍が勝った。しかし海は干上がり、大気は汚染されていて、地面は荒廃していて、惑星はすでに住むのに不適になっていた。そこで赤い彗星は再び住める星を探しに旅立った。以来、プレセペは鬼火のようであった。

10

 そして赤い彗星はプレイアデス星団に来た。可住惑星がアステローペの回りを公転していたが、すでに先住民がいた。先住民は、ツァパルディアと呼ばれる、カエルのロボットと、ローシャンと呼ばれる、オタマジャクシ型の戦闘機を量産していて、それらが、赤い彗星から飛び出して来た燭台と戦った。ツァパルディアは、形式番号MB-77の、上半身型のパーツと、形式番号GC-63の、コクピット・ブロックと、形式番号MG-92の、下半身型のパーツから構成されていた。そしてローシャンの形式番号は、GLA-90であった。後に、セレニタが作ったブストの形式番号がMB-78となり、レナクァホの形式番号がGC-64となり、ガルバニの形式番号がMG-93となり、ディフダの形式番号がGLA-91となった。戦いは、赤い彗星の勝利に終わった。アステローペの王イノゴ・エノック・ガニメデス7世は「私が設計したツァパルディアとローシャンが敗れるとは・・・」と言った。赤い彗星がガスを取り払って、本体のシャンデリアが姿を現した。そしてチカの父である、赤い彗星の王は、イノゴ7世に「ここから立ち去れ。これよりこの惑星は我々の物だ。答える前に我々の力を見よ」と言った。そしてシャンデリアはロウソクの一本から、おうし座ゼータ星の近くの星に向けてレーザー光線を発射した。そしてその星は超新星になった。その星の残骸は現在、蟹星雲と呼ばれている。そしてイノゴ7世は「あなた方にこの星を差し上げましょう。住民を脱出させるので少し待って頂きたい」と言った。そして住民は星から出始めた。そして最後の宇宙船が出た時、シャンデリアは降下し始めた。その時イノゴ7世はただ一人星に残っていた。そしてシャンデリアが地面に近づいた時に、起爆装置のスイッチを入れた。すると星が爆発し、アステローペはその爆発によって二つに分けられた。その時シャンデリアは半壊状態になった。そして修理が済むと、赤いガスに再びくるまって地球に向けて出発した。

10 解説

 地球から蟹星雲までは7200光年、蟹星雲から原アステローペまでは6858光年、原アステローペから地球までは379光年ですから、この物語を事実とすれば下記のような年表が出来ます。

BCE13005 シャンデリアがレーザー光線を発射する。

BCE 6157 超新星が爆発する。

CE 712  原アステローペで超新星の爆発が見える。そして原アステローペが消失する。

CE 1054  地球で超新星の爆発が見える。

CE 1091  地球で原アステローペの消失が見える。

昔は七つだったプレイアデスの星が六つになったというのは、紀元前から言われていたのでおかしいです。日本語の漫画には、ツァパルディアとローシャンは出ません。マスターグレードのジムが、ガンダム同様のAパーツとBパーツと、コア・ブロック型のコクピット・ブロックから出来てる事を知った時に、書き足しました。ツァパルディア(Çapardía)とは、ヘブライ語の「カエル(tsəfardē`a ツファルデーア)」を、中世スペイン語の文字で音写して作りました。ローシャン(Roxán)は、ヘブライ語の「オタマジャクシ(rō´shānローシャーン)」を、中世スペイン語の文字で音写して作りました。現代スペイン語だと、それぞれZapardía(サパルディア)とRoján(ロハン)になります。MBはMechanic Brassart(機械籠手)の略で、MGはMechanic Greave(機械脛当て)の略で、GCはGreat Cuirass(大きな胴鎧)の略で、GLAはGrowable Limbed Æronef(成長可能な手足のある飛行機)の略です。

11

 チカは記録映画を見終わると「何てひどいのよ! 先住民達が可哀想だわ!」と叫んだ。そして大臣に「私を地球に連れて行って。プレイアデス人の生き残りが一人そこにいるの。もう一度彼に会いたいわ」と言った。その翌日エンディミオンは、チカとM91銀河の大臣を連れて、セレニタの家に来た。そして彼らは天文台に行った。そしてセレニタはチカと共に映画を見た。それは地球の天文学の歴史だった。その時、天文学者アルベルシアノと、カエルのカエサルとM91銀河の大臣と、エンディミオンが話し合っていた。

 大臣は「我々の人口は千億人です」と言った。カエサルは「地球の人口は60億人だな」と言った。そしてエンディミオンは「我々は共存出来ない。なぜなら地球の人口はすでに多過ぎるかも知れないからだ」と言った。そしてアルベルシアノが「私は若い頃にアルベルトから来ました。しかし帰ろうとした時、それは行方不明になってました。それで再び見つけるために天文学者になったんだ」と言った。するとカエサルが「アルベルトは第719番小惑星だな。1911年10月3日にヨハン・パリサが発見したが、すぐに見失った」と言った。

11 解説

 アルベルトという小惑星は、2000年5月1日に、ジェフリー・ラーセンが2000JW8として発見し、ガレス・ウィリアムスが同定しました。

12

 セレニタとチカは映画を見終わった。セレニタが「地球人は月より遠くに行った事が無いな」と言うと、チカが「そのうち行けるわ」と言った。そして彼女は「一つだけお願いがあるの。宇宙人と、喧嘩はしないでね」と言った。

 それからアルベルシアノが大臣に、惑星を持つ恒星のリストを渡した。すると大臣は涙を流して「有り難う。これで我々は救われるでしょう」と言った。

 その夜、チカと大臣が大きな燭台に乗り込み、そして燭台は月の方向に飛び立った。やがて月の裏側から赤い彗星が現れて、星空の彼方に飛び去った。セレニタはエンディミオンに「あの子新しい星見つけられるかな」と言った。するとエンディミオンは言った。「きっと見つけられる。」

12 解説

 3-1話からは、格好をつけてヒロインが出て来る話を描き始めたら、全然面白くなかったので作品が終了してしまいました。その頃、装甲騎兵ボトムズというアニメが始まりましたけど、スコープドックの頭をカエルに変えたロボットのデザインが、上手く行かなかったので、ロボットは出ないです。