カエル大戦 2 ディフダ編

1

 セレニタはベットの中で目を覚ました。その時一人のベドウィンがベッドの傍らにいた。ベドウィンは「ソラッヤーニー 。気分はどうかな。君はプレイアデス星団から飛行機 に乗って落ちて来たんだ」と言った。ソラッヤーニーとはアラビア語でプレイアデス星団人という意味である。そのベドウィンの名は、ゲイエッド・マーリスといった。そして彼は窓を開けると空を指さして「我々は消えてしまった星から来た。それはりゅうこつ座のエータ星 だ。ある時水の惑星が我々のエータ星系に来て太陽に衝突した。するとエータ星系は湯気で充満して住めなくなった」と言った。カエサルは、セレニタの耳元で「りゅうこつ座のエータ星系には、常温超伝導合金があるらしいぞ」と言った。するとセレニタは、思わず「常温で超伝導は凄い!」と言った。すると、ゲイエッドは「常温超伝導合金は、固いのと、柔らかいのと二種類があるんだ。私には仲間も子供もいないから、是非受け継いでくれないか」と言った。

1 解説

 日本語の漫画では、ベドウィンは単に「プレイアデス人」と言いますけど英訳する際、プレイアデス人をアラビア語で何と言うかを調べました。ゲイエッド・マーリスというのは、ディフダをデザインし直した人の名前をアラビア語にして作りました。ぼくが最初に描いた絵だと、ショルグフの口からディフダの足になる部分の形状が、いい加減なので、変形する玩具が作れないデザインでした。

2

 その翌日、セレニタは、壊れたレナクァホの前に来て、工具を出しながら「単体だけで飛べた方が良いな」と言った。その時カエサルが「これはエンディミオンが調べてくれたんだが、エルシービーチタン合金は、ハイパーチタン合金よりも丈夫で軽くて値段が安いんだ。それは、チタン87.2パーセントと、鉄4.5パーセントと、モリブデン6.8パーセントと、アルミ1.5ーセントで出来た合金で、ハイパーが一立方センチメートルあたり5.01グラムなのに対して、エルシービーは4.81グラムだ。パラジウムは白金より安くて白金と同じ効果があって、セリウムもイットリウムより安くてイットリウムと同じ効果があるんだ。そしてMG85-Al10-Ca5は燃えないマグネシウム合金で、超々ジュラルミン合金より軽くて丈夫で、メラミックス珪素合金はチタンより軽くてアルミより重いけど鉄の2倍硬いんだ」と言った。セレニタは、新しいロボットの絵を描いた。すると、ゲイエッドが「オタマジャクシの口から、カエル人間の足になる部分が、変形する前と、変形した後では、部品の形が違うじゃないか。それから、変形する前の形は、四つに切った楕円体と、四角柱が、段差も無しに滑らかに繋がってて、実際には作れないよ」と言って、その絵を描き直した。なぜなら、セレニタのデザインだと、一部のパーツの形状が不明瞭であったからである。それはオタマジャクシの口がロボットの足になる部分が、前後に開いて、爪先側が左右二つに割れて、踵側は一枚の板のままであった。するとセレニタは「これじゃあ敵のロボットみたいだよ」と言って、今度は、ロボットの足の裏になる部分が平らになるように気を付けながら、ロボットの踵は、靴裏が傾いて迫り出して、爪先側と同じ高さで同じ角度になる絵を描いた。するとゲイエッドは「それで良いだろう」と言った。それからセレニタは、セリウムパラジウム含有エルシービーチタン合金・クマダイ不燃マグネシウム合金・メラミックス珪素合金クラッド材で、ロボットを作り始めた。骨格は、ラナとほぼ同じ形であったが、胸の骨は、背骨から左右に板が生えて前方に湾曲して、更に胸側に湾曲して胸骨に繋がり、輪を形成しているのを、肩関節窩の前で切って、蝶番で繋いで、胸部の前半分が、肩を軸に回転して、上に跳ね上がるようにして、肩関節窩も、上下を軸にして、腕が胸部の中に回転して納まるようにした。背骨と骨盤は、外れないようにした代りに、腰椎関節が、90度前に倒れるようにした。骨盤は、仙椎の両端と、腸骨の上端の接合部に、可動軸を設けて、腸骨の下端部の外側に股関節を付けて、下端部の内側に、折れ曲がる棒を付けて、折れ曲がる棒は尾柱の下端部に付いていた。変形時には、ロボットになる時には折れ曲がる棒が真っ直ぐになって、骨盤が長方形になり、オタマジャクシ型になる時には折れ曲がる棒が曲がって、骨盤が逆三角形になった。前腕骨は、尺骨と橈骨に分かれていて、肘は変形時に、尺骨と橈骨の間を滑って、上腕骨が、尺骨と橈骨の間に収まるようにした。下腿骨も、脛骨と腓骨に分かれていて、膝は変形時に、脛骨と腓骨の間を滑って、大腿骨が、脛骨と腓骨の間に収まるようにした。そして足の趾の骨は、四本中三本が前を向いて爪先側のパーツに入って、変形時に付け根が前に曲がって、残る一本は後ろを向いて、踵側のパーツに入って、変形する時は、趾の付け根が後ろに曲がって、同時に趾が真っ直ぐに伸びて靴底を押し出すようにした。そのロボットは、ラナとは違って、燃料タンクを設置せずに、トランスミューターが、縮退水-1-1-16を、液体水素と液体酸素に変換してロケットエンジンに送っていた。セレニタは脚部を一本完成させると、変形のテストをした。それは、膝から先が無い人間の膝に、ブーツを繋げたような形であった。変形する時、大腿部が下腿部の中から押し出されて、反対側が前後に開いて、爪先と踵になるが、踵は、靴底部分が、中にある一本の棒に押されて迫り出した。セレニタがその隙間から見える棒を見て「アキレス腱みたいだ」と言うと、カエサルが「鳥の後趾と言った方が正しいかな」と言った。鳥の足は、後趾が後ろを向いてて、内趾と中趾と外趾が前を向いている。頭蓋骨の内側に、バルカン砲と吸気口と排気口が付いたパーツを、左右に一つずつ、鼻の穴の位置に取り付けて、目は軸を可動式にして、頭の中に引っ込められるようにした。そして頭の外装は、左右のパーツを貼り合わせて、溶接して繋いだ。セレニタは、カエサルとゲイエッドがいない間に、Vの字のパーツを作って、額に取り付けようとした。機械を操作しながら、「ぼくのガン・・・」と言った所でカエサルとゲイエッドが戻って来たので、セレニタは操作を誤って、Vの字型のパーツを、後頭部の方に付けてしまった。ゲイエッドは「溶接で繋いだ部分の補強か。良い事だ」と言い、カエサルは「ヌマガエルみたいだな。よく知ってるじゃないか」と言った。ヌマガエルは、両目が、Vの字のような模様で繋がっていた。セレニタはオタマジャクシ型の飛行機を完成させて、ショルグフ と名付けた。ショルグフは、身長12メートル、体重18.5トンの、カエルのロボットに変形 するが、それはラナ・ディフダ と名付けられた。ショルグフは着地する時ディフダに変形し、ラナ・ディフダは離陸する時ショルグフに変形する。着陸時、広い場所では足の生えたオタマジャクシの様な姿のモスタヒル になって、足の裏から車輪を出して滑走し、狭い場所ではラナ・ディフダになって、尻尾から噴射して上昇下降する。ショルグフの下半分が貝の様に開く。それは後部が蝶番で繋がっている。そして下半分は左右に分かれてラナ・ディフダの脚になり、蝶番はラナ・ディフダの腰になる。その時大腿は下腿から押し出され、脚部の先端は蛇の口の様に開いて爪先と踵になる。上半分の内部から二本の棒が、ディフダの肩を軸にして外側に回って腕になる。その時上腕は前腕から押し出される。そしてショルグフの上半分は折れ曲がって胸と背中になる。同時に頭が折れ目から現れて目が飛び出す。頭部の左右の、半月型の板が倒れて、胸部上面の蓋になる。そして尾の付け根が90度回って、尾が三つに折れ曲がって背中の溝に収納される。こうしてショルグフはラナ・ディフダに変形する。その駆動系は、ラナのような、電離ガス・アクチュエーターではなくて、電磁石アクチュエーターであった。そして、変形機構を組み込めるように、省スペースのために、電線は極力使わず、装甲裏面と機械の表面に描かれた基板と、一方向に動く関節を繋ぐフレキシブル・フラット・コードが多く使われていた。セレニタはショルグフを完成させるとそれに乗り込み、ショルグフは離陸した。そしてベドゥイン達は彼らのテントを畳んでラクダに乗った。

 

2 解説

 ディフダとはくじら座のベータ星 の名前であり、アラビア語で「カエル」という意味です。そしてショルグフはアラビア語で「オタマジャクシ」という意味です。星の名前はアラビア語が多いですので、第二部からは作品の舞台をアラブにしました。最初に描いた漫画では、ショルグフはアボラスという名前です。アボラスとはみなみのうお座のデルタ星の名前で、アラビア語でオタマジャクシという意味なんですけど、アラビア文字を読めるようになってから、辞書を見たら、オタマジャクシはابوراسじゃなくてشرغوفだったので、ショルグフに変えました。ラナ・ディフダという、変形するロボットは、超時空要塞マクロスという番組に出てくるバルキリーの顔をカエルに変えて、機首と翼を外して折り畳み式垂直尾翼をつけて、バルキリーだと腿が胸の裏側にくっついて脚部全体が後方を向くのを越しパーツが背中側に付いて、脚部全体が縮んで前方を向くようにしただけです。ラナ・ディフダの肩は背中の裏側にくっついて腕全体が縮んで前方を向きますが、当時はバルキリーの腕も同じ変形の仕方だと思ってました。実際には、バルキリーの肩は胸の裏側にくっついて腕全体が後方を向きます。日本語の漫画では、ショルグフが「アボラス」で、モスタヒルは「ガウォーク」という名前ですが、英訳する際に、アラビア語で「変態している」という意味の単語を調べて、名前をつけ直しました。ラナ・ディフダの身長は、ラナと同じで12メートルですけど、ラナより少し痩せてるので、ぼく自身が目分量で、35トンにしました。操縦席が、12メートルのロボットに入りきらない事が分かった時に、巨大化版では身長21.47メートルで、体重106.7トン、狭室化版では11.74メートルで17.2トンに変えました。だけど、最終的には空間拡張機を操縦席に組み込んで、身長は12メートルで、体重は18.5トンにしました。(第10話参照) また、Zガンダムの装甲材質のガンダリウムγは、ルナ・チタニウムより軽くて丈夫で、原料も安価なので、ディフダの装甲材質も、白金スカンジウム含有ハイパーチタン合金・超々ジュラルミン合金クラッド材より、軽くて安価なセリウムパラジウム含有エルシービーチタン合金・クマダイ不燃マグネシウム合金・メラミックス珪素合金クラッド材にしました。ガンダリウムγは、チタンに珪素マグネシウムを混ぜて作ります。珪素が入ったチタン合金は、耐熱性があって、エンジンなどに使われてますけど、どれも、戦闘ロボットの装甲にするには強度不足です。そしてマグネシウムが入ったチタン合金も、強度が足りないので、戦闘ロボットの装甲には使えません。そこで、ハイパーチタン合金より軽くて丈夫で安価なLCBチタン合金に、白金より安いパラジウムと、イットリウムより安いセリウムを入れて、最強のマグネシウム合金と、最強の珪素合金とのクラッド材にして、お付き合いで、ラナも、本来なら白金イットリウム含有ハイパーチタン合金だけでいいのに、最強のアルミ合金とのクラッド材にしました。ハイパーチタン合金自体に、すでにアルミが入っています。日本語の漫画で、ラナ・ディフダが初登場する場面は、1982年10月に描いてラナ・ディフダの足の形は、セレニタが最初に描いた絵の形のままですけど、本物を作れないので、2013年3月に、描き直されました。そして、描き直した人の名前をアラビア語にして、ゲイエッド・マーリスという名前を作って、ゲイエッドが描き直す場面を書き足しました。ぼく自身は、そのデザインを気に入ってなかったので、2015年11月に、ラファエルガンダムの足をモデルにしたデザインを考えて、セレニタが二度目にデザインする場面を書き足しました。そして、2016年9月に、ぼくが、ガデッサの足をモデルにしたデザインを考えて、ゲイエッドが描いたデザインと差し替えました。

3

 セレニタは町に来た。その町では女性は皆ベールを着ていた。セレニタは笑いながら「この国の女共はオバケの仮装をしてるぞ」と言った。するとカエサルが「この国では女の人はベールを着る決まりなんだよ」と言った。セレニタがドレス姿の女性を見て「あの女は普通の服を着てるぞ」と言うと、カエサルが「彼女はヨーロッパ人の旅行者だ」と言った。セレニタは店の棚に羊の頭が並べられてるのを見ると、店の女主人に「やあ、サロメ! こいつはヨハネかね」と言った。すると女主人は「あたしゃミリアムだよ!」と言った。その時、爆発が起こった。すると洋服屋がセレニタにベールを被せて「テロだよ。奴らは外国人を手当たり次第に殺すんだ。このベールを着て町の外に出ろ」と言った。そしてセレニタはベールを着て逃げ始めた。そして学校の前を通った時、その学校の先生が彼を校内に引っ張り込んだ。セレニタが「ぼく・・、いや私はここの生徒じゃないわ」と言うと、先生は「外にいると殺されるぞ」と言って、校内の部屋の中まで連れて行った。そこにいる生徒達が、セレニタを見て「その子誰?」と言うと、セレニタはとっさに「あたしはハリーマ 」と言った。すると一人の少女が「私ここにいるわ。私がハリーマ。ハリーマ・シャマール よ」と叫んだ。セレニタは「あたしはハリーマ・ハーリド 。この学校の生徒じゃないわ」と言って出ようとしたが、先生は「今外は危ないからここにいなさい」と言った。そして、外では警察がテロリストと戦い始めた。セレニタがベールの中で、ペンダントを掴んでカエサルに「ラナに乗って奴らと戦おうか」と小声で言った。するとカエサルは「駄目だ! 外国人がちょっかいを出すと国際問題になるぞ」と耳元で言った。やがて警察が勝って、外が静かになったので、セレニタは外に出てベールを脱いだ。

3 解説

  外国の昔話で、敵の領地に住むハーリドという男が、息子に女の服を着せてハリーマと呼んでいました。そして敵の一人のシャンマールという男にもハリーマという名の娘がいました。どんなストーリーだったかは憶えてませんが、敵の領地を脱出して息子は男に戻って相応しい娘を嫁にしたと思います。英訳する際に、ハリーマとシャマールとハーリドの綴りを調べました。

4 初版(1982)

 ある日、巨大なカマキリ が現れた。セレニタは「アボラース!」と叫んで崖から跳び降りた。するとアボラスが飛んで来て彼を跳ね飛ばした。セレニタはモスクの屋根に当たって跳ね上がると、アボラスの操縦室の中に落ちた。そしてアボラスは飛び立った。到着した時、アボラスはガウォークに変形して降下して滑走しながら減速し始めた。そして止まってからディフダに変形した。そしてカマキリと戦い始めた。セレニタが「サーベル!」と叫ぶと、ディフダの右腿の側面のカバーが開いて、剣の柄が飛び出した。そしてディフダの右手が、その柄を掴んだ。そしてその棒から、ビームが出て、棒の形に固まって、ビーム・サーべルになった。しかしそのカマキリは素早くて、ビーム・サーベルの攻撃を避けて、鎌で切りつけて来た。カマキリが強過ぎたので、ディフダは負けそうになった。その時、アザーンが鳴ってカマキリは礼拝し始めた。するとディフダはビーム・サーベルでカマキリをバラバラに切り裂いた。その時地上では、大勢の人達が土下座をして祈っていたので、セレニタはディフダから降りると「連続尻バットだー! 」と言って、フライパンで彼らの尻を叩きながら歩き始めた。

4 第二版(2006)

 ある日、巨大なカマキリ が現れた。セレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来て彼を跳ね飛ばした。セレニタはモスクの屋根に当たって跳ね上がると、ショルグフの操縦室の中に落ちた。そしてショルグフは飛び立った。到着した時、ショルグフはモスタヒルに変形して降下して滑走しながら減速し始めた。そして止まってからディフダに変形した。そしてカマキリと戦い始めた。セレニタが「ヒート・サーブル!」と叫ぶと、ディフダの右腿の側面のカバーが開いて、ディフダ・エクステンドーという名の、剣の柄が飛び出した。そしてディフダの右手が、その柄を掴んだ。そしてその棒が特殊警棒のように長くなってから、刃の部分が発熱して光って、ヒート・サーブルになった。しかしそのカマキリは素早くて、ヒート・サーブルの攻撃を避けて、鎌で切りつけて来た。カマキリが強過ぎたので、ディフダは負けそうになった。その時、アザーンが鳴ってカマキリは礼拝し始めた。するとディフダはヒート・サーブルでカマキリをバラバラに切り裂いた。するとカエサルが「無防備な敵を倒したな! こいつは礼拝の途中に死んだから天国にいるだろう!」と怒鳴った。

4 第三版(2014)

 ある日、巨大なカマキリ が現れた。セレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来て彼を跳ね飛ばした。セレニタはモスクの屋根に当たって跳ね上がると、ショルグフの操縦室の中に落ちた。そしてショルグフは飛び立った。到着した時、ショルグフはモスタヒルに変形して降下して滑走しながら減速し始めた。そして止まってからラナ・ディフダに変形した。そしてカマキリと戦い始めた。セレニタが「ヒート・サーブル!」と叫ぶと、ディフダの右腿の側面のカバーが開いて、ディフダ・エクステンドーという名の、剣の柄が飛び出した。そしてラナ・ディフダの右手が、その柄を掴んだ。そしてその棒が特殊警棒のように長くなってから、刃の部分が発熱して光って、ヒート・サーブルになった。しかしそのカマキリは素早くて、ヒート・サーブルの攻撃を避けて、鎌で切りつけて来た。カマキリが強過ぎたので、ラナ・ディフダは負けそうになった。その時、カエサルが「シャクジエル・モードになれ」と言った。そこでセレニタは、シャクジエル・モード発動スイッチを押した。すると、ラナ・ディフダの背中から、両生類の幼生の外鰓に似た形の、ジェネレーターが外に出て展開した。それは、普段は背中の溝の左右に収納されていて、熱くならない程度に加減してエネルギーを作っているが、外に出て、放熱板の働きもするようになったら、過熱を気にしないで、大量のエネルギーを作れるようになった。そしてラナ・ディフダは、通常の数倍のパワーとスピードで動き始めて、ヒート・サーブルでカマキリの片方の鎌を切ってから、一旦、遠くに飛んで、ショルグフに変形して、全速力でカマキリに体当たりをして突き飛ばした後、ラナ・ディフダに変形した。そしてセレニタは「ラアァァァァイフル!」と叫んだ。するとラナ・ディフダの、左腿の前面のカバーが開いて、オタマジャクシ型のブロックが飛び出した。オタマジャクシの尾の上下のヒレが起き上がって、ラナ・ディフダから見て左側は照準器になって、右側はグリップになって、十字架のような形になった。そして、ラナ・ディフダの右手がそのグリップを掴んだ。そしてオタマジャクシの外殻が、照準器とグリップとインナー・パーツを残して前進して、インナー・パーツからは、尻尾の先が押し出されて伸びて、銃身と銃口になって、こうして、ビームライフルに変形した。そして、ビーム・ライフルの引き金を引きっ放しにして、銃口から出るビームを、巨大な光の剣のように使って、カマキリを真っ二つに切った。カマキリを倒すと、外鰓型ジェネレーターは、折り畳まれて、ラナ・ディフダの背中に収納された。

第四版(2017)

 ある日、巨大なカマキリ が現れた。そこに、ソルスール・アレイルという、コオロギに似たロボットが来て、カマキリを狙って、九連装ミサイルランチャーを発射した。しかしカマキリが素早かったので、当たらなかった。カマキリは、ソルスール・アレイルを捕まえて食べ始めた。すると、ソルスール・アレイルのハッチが開いて、パイロットが跳び下りて逃げた。セレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来て彼を跳ね飛ばした。セレニタはモスクの屋根に当たって跳ね上がると、ショルグフの操縦室の中に落ちた。そしてショルグフは飛び立った。到着した時、ショルグフはモスタヒルに変形して降下して滑走しながら減速し始めた。そして止まってからラナ・ディフダに変形した。そしてカマキリと戦い始めた。セレニタが「ヒート・サーブル!」と叫ぶと、ディフダの右腿の側面のカバーが開いて、ディフダ・エクステンドーという名の、剣の柄が飛び出した。そしてラナ・ディフダの右手が、その柄を掴んだ。そしてその棒が特殊警棒のように長くなってから、刃の部分が発熱して光って、ヒート・サーブルになった。しかしそのカマキリは素早くて、ヒート・サーブルの攻撃を避けて、鎌で切りつけて来た。カマキリが強過ぎたので、ラナ・ディフダは負けそうになった。その時、カエサルが「シャクジエル・モードになれ」と言った。そこでセレニタは、シャクジエル・モード発動スイッチを押した。すると、ラナ・ディフダの背中から、両生類の幼生の外鰓に似た形の、ジェネレーターが外に出て展開した。それは、普段は背中の溝の左右に収納されていて、熱くならない程度に加減してエネルギーを作っているが、外に出て、放熱板の働きもするようになったら、過熱を気にしないで、大量のエネルギーを作れるようになった。そしてラナ・ディフダは、通常の数倍のパワーとスピードで動き始めて、ヒート・サーブルでカマキリの片方の鎌を切ってから、一旦、遠くに飛んで、ショルグフに変形して、全速力でカマキリに体当たりをして突き飛ばした後、ラナ・ディフダに変形した。そしてセレニタは「ラアァァァァイフル!」と叫んだ。するとラナ・ディフダの、左腿の前面のカバーが開いて、オタマジャクシ型のブロックが飛び出した。オタマジャクシの尾の上下のヒレが起き上がって、ラナ・ディフダから見て左側は照準器になって、右側はグリップになって、十字架のような形になった。そして、ラナ・ディフダの右手がそのグリップを掴んだ。そしてオタマジャクシの外殻が、照準器とグリップとインナー・パーツを残して前進して、インナー・パーツからは、尻尾の先が押し出されて伸びて、銃身と銃口になって、こうして、ビームライフルに変形した。そして、ビーム・ライフルの引き金を引きっ放しにして、銃口から出るビームを、巨大な光の剣のように使って、カマキリを真っ二つに切った。カマキリを倒すと、外鰓型ジェネレーターは、折り畳まれて、ラナ・ディフダの背中に収納された。

4 解説

 作品中ではカマキリが祈り始めると同時にバラバラに切りますが、英訳する際に、イスラムの礼拝の仕方を調べました。なぜなら今ではアラビア文字を自分でも読めるからです。

挿絵の1は、キブラの方を向く。

2、両手を耳の高さに上げて「アッラーフ・アクバル」と言う。

3、両手を体の前で組み、コーランを読む。

4、「アッラーフ・アクバル」と言って腰を曲げて、「偉大なる我が主に称讃あれ」と三回言う。

5、真っ直ぐ立つ。

6、「アッラーフ・アクバル」と言って土下座をして「至高なる我が主に称讃あれ」と三回言う。

7、座ったまま頭を上げる。

8、土下座をする。

9、天を指差して「アッラーの他に神は無し」と言う。

10、右を向いて「アッサラーム」と言う。

11、左を向いて「アライクム」という。

3から8までを何回か繰り返します。

 

日本語の漫画ではカマキリを倒した後、カエサルが怒らないばかりか、その後セレニタがディフダから降りて「連続尻バット!」と言いながら、お辞儀をしている人達の尻をフライパンで叩ききながら歩きます。しかしエジプト人の読者が怒っていたので、第二版では、最後の文章を書き直しました。

 

ちなみにショルグフは、当初はアボラスという名前でした。みなみのうお座のデルタ星がアボラス(Aboras)という名前で、アラビア語で「オタマジャクシ」という意味なので、くじら座のベータ星がディフダで、アラビア語で「カエル」という意味なのと合わせて、ロボットの名前に使ったんですけど、アラビア文字が読めるようになってから、辞書を見たら、オタマジャクシというアラビア語アボラスじゃなくて、شرغوف(shurghūf シュルグーフ)だったので、ショルグフに変えて、星の名前が由来だったという事は、伏せる事にしました。

 

第三版に出るジェネレーターは、プラモデルの作例で、Zガンダムが、ヤザンシロッコを倒す場面をイメージした、クリアーピンクの鎧を真似したくて、デザインをし始めたんですけど、鎧を収納する場所が見つからなくて、結局、体の外に鰓が出ているオタマジャクシをモデルにして、一からデザインし直しました。

第四版では、ソルスール・アレイルというロボットが戦う話を、書き足しました。小学生の時に、太陽の牙ダグラムという番組が放送されてて、友達が、コオロギは英語でソルティックと言うんやと言ってましたけど、中学生になってから、辞書を見たら、cricketでした。コオロギの絵を描けるようになった時に、デザインして、色んな言葉で何と言うかを調べて、アラビア語のソルスール・アレイル(直訳だと「夜のゴキブリ」)が、ソルティックに一番似ていたので、アラビア語の名前にしました。

 

5

 ある日、巨大なラクダが現れた。その名前はガマル・アワルであった。そこでセレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。そしてそのまま地面に落ちてから、ショルグフが飛んで来て、彼の上に着陸した。ショルグフには3つのランディング・ギアがあるが、ディフダの両腿の内部に一つずつと、ディフダの左踵の内部に一つ収納されていて、二つは両腿の背部のカバーと両脛の後部のカバーが同時に開いて出て、一つは左踵の後ろのカバーが開いて出てから、付け根が中央にスライドする。セレニタはショルグフの下から這い出して乗り込んだ。そしてショルグフは飛び立った。到着した時、ショルグフはラナ・ディフダ変形して尻尾から逆噴射して、垂直に着地した。そしてガマル・アワルをバラバラに叩き壊した。その破片は石で出来ていた。そこに一人の男が来た。男の名はナビ・サラであった。彼は「済まない。今のラクダは私が石で作ったロボットなんだが失敗作で、暴走してたんだ。もう一つ完成品を作っている」と言った。そこにもう一体の、巨大な石のラクダが現れた。ナビ・サラは「これがガマル・サニンだ。完成されたモデルだ。背中に乗って良いぞ」と言った。それからラナ・ディフダはガマル・サニンの背に乗ってエジプトに行った。ラナ・ディフダがそこで降りると、ガマル・サニンは帰って行った。セレニタは「そういえば、ディフダの形式番号は何にしたらいいかな」と言った。するとカエサルは「君のお父さんは、オタマジャクシ型の飛行機も作ったんだ。名前はローシャンで、形式番号はGLA-90だ。GLAとはグロウエイブル・リムド・エアロネフの略で、生育可能な手足のある飛行機という意味だ」と言った。するとセレニタは「ディフダはGLA-91だな」と言った。

5 解説

 日本語の漫画では、この回に登場するラクダのロボットはラクダ1号とラクダ2号ですが、英訳する際、アラビア語の名前をつけました。ガマルは「ラクダ」、アワルは「第1番」、サニンは「第2番」という意味です。ナビ・サラは外国の昔話に出て来る聖人で、石をラクダに変えました。今売ってるジムのプラモデルが、Aパーツとコクピット・ブロックとBパーツから出来てる事を知った時に、セレニタの実父が作ったカエルのロボットと、オタマジャクシ型の飛行機を考えて、ラナとラナ・ディフダの形式番号も作りました。日本語の漫画には、最後の会話はありません。

ラナのブストはMB-78で、

ガルバニはMG-93で、

レナクァホはGC-64で、

ラナ・ディフダはGLA-91ですけど、

これらはぼくのスリーサイズが

バストはトップが91センチ、アンダーが78センチで、

エストが64センチ、

ヒップが93センチなのが由来です。

 

6

 その頃、太陽系近傍で、宇宙戦争が起こっていた。二つの艦隊 が戦っていた。一方の艦隊の宇宙戦艦は犬の様であり、もう一方の艦隊の宇宙戦艦はライオンの様であった。ライオンの艦隊は、大型火炎ミサイルを発射した。そのミサイルは戦艦よりも大きかった。犬の艦隊はそのミサイルを攻撃したが、全くびくともしなかった。ミサイルは犬の艦隊を突き抜けて、その背後の惑星に当たった。するとその惑星は炎にすっぽりと包まれた。それから犬の艦隊が、ハイパーブリザードミサイルを発射した。そのミサイルも、宇宙戦艦より大きかった。ライオンの艦隊がミサイルを攻撃したが、全く効果が無かった。ミサイルはライオンの艦隊を突き抜けると、その背後にあった惑星に当たった。するとその惑星は吹雪に覆われて凍った。そして艦隊戦はその後も続いた。

6 解説

 宇宙戦艦ヤマトIIIのパクリです。

7

 セレニタがアレキサンドリアに来た時、犬の様な宇宙戦艦 が、空から落ちて来た。そして犬の頭をした男が、墜落した宇宙戦艦から放り出された。セレニタは、その犬の頭の男の傍に駆け寄ると「おいスヌーピー! 大丈夫か」と言った。その時カエサルが「ここはエジプトだからアヌビスかも知れないぞ」と言った。すると犬の頭の男は「私はスヌーピーでもアヌビスでもない。カルブという者だ。私は大丈夫だ」と言った。そしてカルブは身の上話を始めた。「昔、私達はシリウスを回る惑星に住んでいた。その頃シリウスは赤みがかった星で、今より温度が低かった。ある時、大きなミサイルがシリウスに飛び込んで、シリウスは白くて熱い星になって、シリウス星系は熱くなった。今やそこには住めないんだ。以来、私達は宇宙を彷徨っていた。私達がエバニダ 星系に来た時、そこの住民がそのミサイルを撃った事を知った。それ以来、我々はエバニダ人と戦っているんだ」と。カルブが話り終えると、カエサルは「エバニダという星は、アルマゲストに、獅子の尻の二星の北星と書かれている。明るさは五等で正式名はステラ・エバニダ・プトレマエイだ。現在その星は見えなくなっている」と言った。

7 解説

 カルブとはアラビア語で「犬」という意味です。名前の由来はケフェウス座のロー星、アル・カルブ・アル・ライ(羊飼いの犬)です。エバニダはラテン語で「消えた」という意味です。ステラ・エバニダ・プトレマエイとはラテン語で「プトレマイオスの消えた星」という意味です。しし座デルタ星のゾスマから南西に2度38分、しし座テータ星のコクサから北西に2度54分の位置にあった星ですが、現在、この位置に星は無いです。天王星小惑星ヴェスタは、明るい時で五等になりますが、プラネタリウムソフトで動かしてみたら、どちらもエバニダほど北には来ませんでした。古い時代の本には、「シリウスは赤い」と書いてあります。

8

その時エンディミオンが、ライオンの頭をした男を連れて来て、セレニタに紹介した。「彼の名はアサド。俺がカイロにいた時・・・。」

 その時突然、カルブとアサドが喧嘩を始めた。アサドは石油缶を拾ってカルブに投げつけた。するとカルブは缶の蓋を取るとアサドに投げつけて、ライターの火を点けると、石油まみれになったアサドに火を点けようとした。その時エンディミオンが、カルブを殴って気絶させた。するとアサドは「気絶させてくれるとは有り難い」と言って、カルブの頭に大きな石を叩きつけようとした。その時セレニタが、アサドにしがみつき、エンディミオンは石を取り上げた。するとアサドは「我々はエバニダを回る惑星に住んでいたんだ! そこにこいつらが来て、我々の太陽にハイパーブリザードミサイルを撃ち込んだので、エバニダは凍りついたんだ!」と叫んだ。するとセレニタが「犬達は先に太陽だったシリウスを無くしたんだよ。お前らの大型火炎ミサイルがシリウスに飛び込んだから、白くて熱い星になってシリウス星系は住めなくなったんだ!」と叫んだ。それからエンディミオンが「お互い様という事だ」と言った。

 

8 解説

 アサドとはアラビア語で「ライオン」という意味です。しし座の星名の解説には、しし座ベータ星のデネボラはダナブ・アル・アサド(ライオンの尻尾)が由来であり、しし座エプシロン星ラス・エラセドはラス・アル・アサド・アウストラリスが(ライオンの頭の南星)が由来であり、しし座ミュー星ラサラスはラス・アル・アサド・ボレアリス(ライオンの頭の北星)が名前の由来と書いてありました。

9

 そしてセレニタは、彼らの宇宙戦艦を修理し始めた。しかしどちらもひどくやられていたので、使える部品を使って一つの宇宙戦艦 を作った。犬とライオンの部品が継ぎ接ぎになった、奇妙な宇宙戦艦であった。そしてカルブとアサドは、その宇宙戦艦を見て笑った。カルブがアサドに「貴方達の太陽を凍らせてしまって、すまない」と言った。するとアサドは「いや、その前に我々が貴方達の太陽を加熱させてしまった」と言った。カルブは「共に住める星を捜そう」と言った。そしてアサドが「そして平和な国を作ろう」と言った。そして彼らは握手 をして宇宙戦艦に乗り込んだ。そして宇宙戦艦は飛び立った。

 セレニタは、カエサルに「ぼくの故郷の星はどんな星だったの」と言った。するとカエサルは「我々の故郷の星は、海が無くて、星全体が砂漠で覆われてたんだ」と言った。セレニタが「それじゃあどうやって生活してたの」と言うと、カエサルは「人工の、大きな河を作って、その河の傍に町を作ってたんだ」と言った。

 

 その星では、灌漑工事をするロボットが多数作られていた。それらは、照る照る坊主型で、逆様になって、スカートの中から特殊な音波を出して、上空の雲や水蒸気を雨に変えるロボットであり、風呂桶の形で、水を運んで、シャワーで畑に水を撒くロボットであり、フォークのような形で、地面を突いて、地下水を噴き出させるロボットであった。そして水がある場所に住んでて、人間と同様に尻尾が無くて、脚が長いカエルは、神の使いとされて、神像はカエルの顔をしていたが、カエルの足では二本足で立てないので、無理やりカエルの足で直立させた像と、足が人間の足に似ている像と、足が鳥の足に似ている像が混在していた。そして、最強のロボット兵器も、しばしばカエルの顔に作られて、ラナと呼ばれていた。そして、騎士になりたい者は、自作のラナに乗って、他の騎士志望者のラナと試合をして経験を積んで、王に認められた者が、騎士に任命されて、国から正規品のラナを与えられる。

 カエサルは「一番傑作だったラナは、ペリ・グレーヌ・ド・ビュフォン伯の、クラポー・ドーレだったな。本体は、黄色地に、赤と黒の点が沢山付いてて、甲羅はオレンジ色で、強敵と戦う時は、甲羅が外れて、もう一体の、クラポー・ド・モントヴェルドという、無人で動くラナになって、二体で攻撃をしていた」と話した。それは、地球のオレンジヒキガエルによく似たロボットであった。

 

9 解説

 後半の、セレニタの故郷の星の話は、日本語の漫画にはありません。2016年に、エウロパで間欠泉が見つかった時に、エウロパの表面が、筋だらけだったのを真似して、星全体が砂漠で、人工の大河の傍に人が住んでるという設定を考えました。更に、2018年に、オレンジヒキガエル(学名はブフォ・ペリグレネス)をモデルにしたロボットの話を書き足しました。

10

 セレニタは、海岸に沿って西に向かって歩いていた。ある日、セミの鳴き声が響いていた。ふと太陽を見ると、巨大なセミ が、太陽に貼り付いていた。そこでセレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来て、セレニタと地面の間を通り抜けた。そしてセレニタは、ショルグフのすぐ後ろに落ちて、ショルグフのロケット噴射で吹き飛ばされた。するとショルグフが戻って来て、ハッチを開けて、セレニタの下に来て、セレニタは操縦席の中に落ちた。それからショルグフはラナ・ディフダ・ドダナブに変形して着地して、ラナ・ディフダに変形した。セレニタは「ラアァァァァイフル!」と叫んだ。するとラナ・ディフダの、左腿の前面のカバーが開いて、オタマジャクシ型のブロックが飛び出した。オタマジャクシの尾の上下のヒレが起き上がって、ラナ・ディフダから見て左側は照準器になって、右側はグリップになって、十字架のような形になった。そして、ラナ・ディフダの右手がそのグリップを掴んだ。そしてオタマジャクシの外殻が、照準器とグリップとインナー・パーツを残して前進して、インナー・パーツからは、尻尾の先が押し出されて伸びて、銃身と銃口になって、こうして、ビームライフルに変形した。ラナ・ディフダはビーム・ライフルで太陽を撃ったが、ポジトロン・ビームは太陽まで届かなかった。そこでラナ・ディフダはショルグフに変形して太陽に向かって飛び立った。しかし太陽が余りにも熱かったので、途中で引き返した。カエサルがセレニタに「セミの寿命は20日だから、それまでの辛抱だ」と言った。そして日食が起こった。そしてセミは月に押し潰された。

11

 ある日、セレニタは、トランスミューターの説明書を読んでいた。その時、カエサルがいなかったので、セレニタは、糊付けされたページを剥がして読んだ。そこにはこう書かれてあった。「陽子は電子1836個分の重さであり、中性子は電子1839個分の重さであるが、陽子と中性子は、更にクォークグルーオンに分割が可能である。陽子はアップクォーク2つとダウンクォーク1つが陽子グルーオンで固められていて、中性子アップクォーク1つとダウンクォーク2つが中性子グルーオンで固められている。アップクォークは電子4個分の重さであって、陽子の3分の2のプラスの電荷を持っていて、ダウンクォークは電子10個分の重さであって、電子の3分の1のマイナスの電荷を持っている。そしてダウンクォークは、アップクォークと電子とニュートリノが、内部グルーオンともいえるバインデロンで固められている。陽子グルーオンは電子1818個分の重さであり、中性子グルーオンは電子1815分の重さであり、バインデロンは電子5個分の重さである。グルーオンとバインデロンは、共に質量を持った力場である。クォーク同士の反発力に逆らって固めるために、大量のエネルギーを力場に変換するので、変換されたエネルギーの分の質量が発生する。」と書いてあった。そこにカエサルが戻って来て、セレニタがそのページを読んでるのを見て驚いた。セレニタも、カエサルが来た事に気付いて慌てて説明書を閉じて置いたが、カエサルは「見てしまったのはしょうがない」と言って、そのページについて、話し始めた。

 セレニタの故郷の星では、ある科学者が、クォークから、より多くのエネルギーを取り出そうとした時に、事故が起こった。その時、王であったイノゴ7世は、クォークに手を出してはならないという命令を出した。しかし、中性子を、陽子と電子とエネルギーと、説明書に書かれてない反電子ニュートリノに変換する祭、内部ではダウンクォークが、アップクォークと電子と反電子ニュートリノとエネルギーに変換されている。それ故、特別に許された学者だけが、王の監視の下で、秘密裏にクォークの研究を続けた。そして外部には、反電子ニュートリノは紹介されず、グルーオンは、質量を持った力場などという、奇妙な説明がなされて、バインデロンという、実在しない質量を持った力場もでっち上げて紹介されて、そして各成分の質量も、実はクォークニュートリノの質量がはっきり判ってないにもかかわらず、トランスミューターの説明書の通りの数値が発表された。しかし内部では、クォークをどんなに重く見積もっても、陽子や中性子の重さにはならず、そしてグルーオンには質量が無いので、残りの質量がどこから発生するのかが不明であった。そしてダウンクォークベータ崩壊を起こす時には、まずウィークボソンを放出して、それからウィークボソンアップクォークと電子と反電子ニュートリノとエネルギーに変わるのだが、そのウィークボソンの質量は陽子の80倍程であるので、そのような大きな質量がどこから発生してどこに消えるのかが不明であった。

 

 話を聞き終わると、セレニタは「人間が神様の仕事をするのは良いのか悪いのか」と言った。

 

 

11 解説

 2013年1月23日に、あるQ&Aサイトで、クォークに関する質問を見たので、クォークについて調べ始めて、2013年1月27日に、この回の後半を書き足しました。ほんの数日間しか調べてないけど、ウィークボゾンが重過ぎますので、訳が判らないです。この作品を書く際には、グルーオンは、「膠」が語源なので、電荷がゼロになる中性子の方が、グルーオンが少なくなるように調整しました。バインデロンは、ぼくが勝手に考えた物で、「接着剤」が語源です。

 

12

  ある日、巨大なモズが現れた。その名前はモズラ であった。モズラは車をクチバシで捕まえて飛び上がり、塔にその車を引っ掛けた。その時セレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来て、セレニタにぶつかった。そしてセレニタはペチャンコに潰れてショルグフに貼り付いたが、すぐに元通りに膨らんで、操縦席まで這って行った。そしてショルグフはラナ・ディフダに変形した。そしてモズラと戦おうとした時、カエサルが「あの鳥車を持ってるぞ!」と叫んだ。そこでラナ・ディフダは幾つかの石を拾って、モズラに投げつけた。するとモズラは車を落としてラナ・ディフダに襲いかかった。セレニタが「ヒート・サーブル!」と叫ぶと、ラナ・ディフダの右腿の側面のカバーが開いて、ディフダ・エクステンドーという棒が飛び出し、ラナ・ディフダの右手がその棒を掴むと、刃が伸びて、発熱して光り始めて、ヒート・サーブルになった。ラナ・ディフダがそのヒート・サーブルで切ろうとしたが、モズラはそれを避けて飛び去った。そしてラナ・ディフダは鼻の孔からバルカン砲を発射したが、モズラが速く飛ぶので当たらなかった。ラナ・ディフダはモスタヒルに変形して滑走して離陸すると、ショルグフに変形した。そしてモズラの前に来るとラナ・ディフダ・ドダナブに変形してモズラをヒート・サーブルで切ろうとした。しかしモズラはそれを避けた。ラナ・ディフダ・ドダナブはそのまま飛んでモズラを追ったが、少し飛んだ所で傾いて、回転しながら落ち始めた。そしてショルグフに変形して姿勢を立て直すと、全速力で飛んでモズラに体当たりをして跳ね飛ばした。それからラナ・ディフダ・ドダナブに変形してヒート・サーブルでモズラを真っ二つに切った。

13

  ある日、巨大な馬が現れた。その名はウマゴジラ であった。ウマゴジラは激しく暴れた。セレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来て、セレニタを跳ね飛ばした。そしてセレニタはウマゴジラめがけて飛んで行き、ウマゴジラは彼を叩き飛ばした。そしてセレニタはショルグフの操縦席に飛び込んだ。そしてショルグフはラナ・ディフダ・ドダナブに変形して、垂直に降下して着地すると、ラナ・ディフダに変形した。するとウマゴジラはラナ・ディフダに体当たりをして転ばすとその上で踊り始めた。ラナ・ディフダはウマゴジラの足をつかんで転ばすと、モスタヒルに変形して滑走して離陸した。そしてショルグフに変形すると、ミサイルでウマゴジラを一撃で倒した。

14

  ある日、煙の巨人が現れた。その名はジン であった。その時セレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来てセレニタの下を通り過ぎた。そして彼の服がショルグフの尻尾に引っ掛かったので、セレニタは操縦席まで這って行った。そしてショルグフは到着した時、モスタヒルに変形して降下していき、地面の上に止まってからラナ・ディフダに変形した。ラナ・ディフダはジンを攻撃したが、それは煙だったので全くダメージを与えられなかった。カエサルが「あれは煙だ」と言うと、ラナ・ディフダは後ろを向いて、ラナ・ディフダ・ドダナブに変形して飛び立った。すると尾からジェット噴射してジンは吹き飛ばされた。

15

 

 セレニタは食堂に入って食べ始めた。そこに一人の男が入って来た。セレニタは思わず「スナフキンだ!」と言った。すると他の客が彼に「彼はハダラ・ミン・ナイザクだよ」と言った。ハダラは楽器 を取り出して歌い始めた。

  ナイザク、それはおおかみ座ベータ星の近くに在った星。

  それは私の故郷であった。

  星は爆発した。

  その時私は一人で星から逃れた。

  ・・・

カエサルは「彼は故郷の星を無くした難民だ」と言った。やがてハダラはセレニタの、銀のサークレットに気が付くと「君はプレイアデス人かね? 一人だけか」と言った。そしてセレニタは「もう一人のプレイアデス人も地球にいるよ。ぼくはここに来た時赤ちゃんだったから、ぼくにとってはここが故郷だけど、もう一人は星が滅ぼされる様子を見ていた」と言った。そしてハダラは「私は一人だけで逃げて来たから仲間はいない」と言った。

 

15 解説

  ナイザクとは西暦1006年春に、おおかみ座ベータ星の近くに現れた新星の名前です。今回登場するナイザク人は、日本語版では名前がありませんが、英訳する際にハダラ・ミン・ナイザクという名前をつけました。アラビア語で「彼はナイザクから来た」という意味です。

16

 ある日、巨大なホウレンソウ が現れた。そのホウレンソウには、ソーセージで出来た脚があった。その時セレニタは「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来てセレニタを跳ね飛ばした。セレニタは鎖をショルグフに投げると、ショルグフのハッチに引っ掛かった。そしてセレニタは鎖をたぐり寄せてショルグフに乗り込んだ。そしてショルグフはラナ・ディフダに変形して着地した。セレニタが「ヒート・サーブル!」と叫ぶと、ラナ・ディフダはエクステンドーを取り出して、ヒート・サーブルに変形させると、ホウレンソウを真っ二つに切って料理し始めた。ラナ・ディフダが料理し終わると、セレニタはラナ・ディフダから降りて食べ始めた。

16 解説

  日本語版ではホウレンソーセージという名前がありますけど、英訳不可能な名前ですので英訳する際、名前は書きませんでした。

17

 ある日、ネズミが焼いてないパンを食べて膨らみ始めた。そして猫がそのネズミを丸飲みして膨らみ始めた。セレニタは食堂で食事をしていた。その時、食堂のテレビに巨大な猫が出た。するとセレニタは大喜びで「あの猫抱きたい!!!」と言って外に飛び出すと「ショルグーフ!」と叫んで崖から跳び降りた。するとショルグフが飛んで来てハッチを開いた。セレニタが操縦室の中に着地すると、ショルグフはハッチを閉じて飛び立った。しばらくして、ショルグフは猫がいる場所に来た。そしてラナ・ディフダ・ドダナブに変形して垂直に着地してから、ラナ・ディフダに変形した。ラナ・ディフダは猫を抱こうとしたが、その猫は逃げ出した。そこでラナ・ディフダはモスタヒルに変形して、滑走して猫の逃げる方向に先回りしてラナ・ディフダに変形して猫を抱こうとした。すると猫は止まって方向を変えて走り出した。その時、一人の警察官が、猫をピストルで撃った。すると猫は、穴の開いた風船の様に小さくなりながら、空を飛び回って地面に落ちた。そしてセレニタは、ラナ・ディフダから降りると猫を抱いた。すると猫が彼を引っ掻いて逃げテ、セレニタは「猫の皮をかぶったトラめ!」と罵った。

18

 エンディミオンは、ツァパルディアに乗って、ヒート・レイピアを装備させて、剣の突きの稽古をしていた。その時、ヒキガエルが、赤い、日本の鎧を着たような姿のラナが現れた。エンディミオンは、思わず嬉しそうに「ブシトードじゃないか」と言った。しかしブシトードは、ビーム・サーベルを抜いた。それは、赤い彗星で開発された武器であった。それを見たエンディミオンの顔は暗くなり、「やはり鹵獲されて敵になっていたか」と言った。そしてツァパルディアとブシトードは戦い始めた。ツァパルディアは、片手で剣を持って突き、ブシトードは両手で剣を持って斬りかかった。激戦の末に、ツァパルディアは、ブシトードの額を突いた。すると、兜と、頭の装甲が吹き飛んで、真っ黒な素顔が現れた。そして、ツァパルディアはブシトードの胸部を刺し、ブシトードはツァパルディアの胸部を切って、互いに致命傷となった。エンディミオンは、ツァパルディアが爆発すると同時に脱出して、岩の後ろに隠れた。ブシトードは、壊れた鎧と外装を、爆発させて脱ぎ捨てると、痩せた真っ黒なカエルのような姿になった。そして、腰椎骨の芯が、胸側の付け根を軸にして後ろに折れて、腰椎骨の殻が縮んで、胸と腰がくっついて、手足を縮めて、身長が、16メートルから12メートルに縮んで、ベビートード に変形した。ベビートードは飛び立つと、腰の幅が狭くなって、両脚がぴったりと閉じて、爪先立ちになって正座をすると、大きな膝当てがオタマジャクシの口になって、胸が肩を軸にして跳ね上がって、背中と繋がってオタマジャクシの上半分になって、腰パーツが前に折れて、脚がオタマジャクシの下半分になって、腕を畳んで、脚の横にくっつけて、腰椎の芯だった部分が伸びてってオタマジャクシの尻尾になって、タッドポール に変形して、飛び去った。エンディミオンは、「いかん! 中のベビートードが無事だったか!」と叫ぶと、大急ぎで電話をした。

19

 カエサルが、大急ぎでセレニタの所に来ると、「至急、ラナに乗れ!」と言った。そこでセレニタは、「ショルグーフ!」と叫んだ。するとショルグフが飛んで来て、セレニタは、ショルグフに乗った。そして、ショルグフはラナ・ディフダに変形した。カエサルが「エンディミオンから連絡があったんだ。敵は滅んでいないぞ」と言った。セレニタが「隠れていたら大丈夫じゃないのか」と言うと、カエサルは「ラナの動力炉はニュートリノを大量に放出しているから、どこに隠れても丸見えで逃げられないぞ」と言った。その時、タッドポールが飛んで来て、ベビートードに変形した。ベビートードは、ビームサーベルを抜くと、ラナ・ディフダめがけて走って来た。ラナ・ディフダは、鼻の穴からバルカン砲を撃って、ベビートードの頭部を吹き飛ばした。ベビートードはラナ・ディフダの首を切った。セレニタはハッチを開いて、目視でベビートードを見て操作して、ラナ・ディフダは、ベビートードの右腕を、ヒート・サーブルで切った。ベビートードは、左手でビームサーベルを掴むと、ラナ・ディフダめがけて走って来た。ラナ・ディフダは、ヒート・サーブルポジトロン・フルーレに変形させて、ベビートードのコクピットを刺した。

19 解説

 

 2015年の7月に、ヒキガエルを描けるようになったので、ブシトードの話を書き足しました。ヒキガエルのオタマジャクシは、小さくて真っ黒で、真っ黒で小さいカエルになってから、大きくなって、親と同じ色になります。ツァパルディアは、西洋の鎧がモデルで、青系の色ですので、ブシトードは、日本の鎧に似せて、赤系の色にしました。本来は、プレイアデス星団で作られた兵器で、形式番号はGLA-89A(Aは「武装された」の略)ですけど、鹵獲されて、CW-328(p)という形式番号が、新たに与えられています。ぼく自身は、ヒキガエルを見た事が無いですけど、母が幼少時に住んでた場所に、ヒキガエルが生息していたので、母は、ヒキガエルに、少し詳しかったです。ちなみに母の誕生日は3月28日です。

20

 その頃、軍では、フローテイターの部品を集めて、組み立てたロボットの解析と改良が行われていた。彼らは、フローテイターという名前を知らなかったので、カエルレアという名前を付けていた。

 カエルレアIは、フローテイターの残骸を、元通りに組み立てただけであったが、カエルレアIIは、無人機であったのを、頭部に操縦席を設置していた。そしてネオン九価陽イオンと弗素九価陰イオンを、ネオンと弗素に変換して動いていたのを、ネオン八価陽イオンと酸素八価陰イオンを、ネオンと酸素に変換して動くようにしたために、出力が二分の一になったので、腹部の動力パイプを、外付けにしなければならなくなり、推進装置の燃料も、液体水素と液体弗素だったのを、液体水素と液体酸素に替えたので、推力が三分の一に減っていた。そして、地球の技術で複製した質量・エネルギー変換炉は、ガンマ線を放射するので、分厚い殻で覆われていた。

 

 軍の者達は、VTRを見ながら、リトーリア技術大佐の説明を受けていた。そのVTRには、フローテイター、ボンビーナ、鹵獲オルドア、そしてラナ・レパラダの残骸を回収する映像が映し出されていた。 カエルレアの解析と複製の指揮を執るリトーリア技術大佐は、開発者陣と、兵士達に説明をしていた。

 「我々がカエルレアと名付けたロボットは、十数体あったので、部品を回収して組み立て、解析をする事が可能であった。このカエルレアと戦っていた緑のロボットは、一体だけであり、上半身と下半身は大破しており、腹部に収まっていたコクピットブロックは未発見である。不思議な事に、その緑のロボットだけは、地球製の部品を使って作られていた。」

 緑のロボットとは、セレニタが乗ってた、ラナ・レパラダの事であった。リトーリアは、更に説明を続けた。

 「カエルレアの元となった量産機が全滅した後、前面が緑と黒の迷彩色で、背面が赤と黒の迷彩色の、前後逆に変形するロボット(ボンビーナ)が一体現われて、緑のロボットと戦い始めた。その裏返りロボットは、緑のロボットに勝てなかったので、上半身と下半身を切り離して、腹部に納まっていたコクピット・ブロックが、オタマジャクシ型の飛行機に変形して脱出し、新たに、黄色と黒のロボット(鹵獲オルドア)のパーツと合体して、緑のロボットと戦い、その緑のロボットが投げた戦車に押し潰された。その後、燭台のような飛行物体が現われて、緑のロボットと戦って相撃ちになり、緑のロボットは、大破した機体を捨てて、胴体内の、コクピット・ブロックだけが飛び去り、その後の行方は不明である。」

 そして、別の映像が、スクリーンに映し出された。その映像は、望遠カメラで撮影された物であり、ラナの腹部のハッチが開いて、セレニタが跳び降りて着地して、地上にいた猫を抱き上げる様子が映っていた。リトーリアは 「小学生位の女の子なのかな。或いは宇宙人で、成人が地球人の子供に似ているのかも知れない」と言った。実際には、セレニタは、九歳の少年であった。

 

 説明会が終わると、パイロットの一人のインフラ・フレナタ少佐が、カエルレアIIの一機に乗って、テスト飛行に出た。

 その頃、ラナ・ディフダを修理し終わったセレニタは、ラナ・ディフダに乗って、怪獣と戦っていた。怪獣を倒すと、セレニタは、地上にいた猫を見つけて、大急ぎでハッチを開いて、跳び降りると、猫を捕まえて抱き上げた。インフラ少佐は、その様子を見ると「あの猫好きな女の子に間違い無い」と言った。その時、カエサルが、大急ぎでセレニタの所に来て「新たな敵が現われたぞ!」と言った。そこでセレニタは、猫を地面に降ろすと、急いでラナ・ディフダに乗り込み、カエルレアIIを見つけた。カエサルは「フローテイターのようだが、色々な所が違う」と言った。セレニタは、ラナ・ディフダを操作して、カエルレアIIと戦い始めた。インフラ少佐は、カエルレアIIを操作して、応戦はしたものの、ラナ・ディフダにダメージは与えないようにしていた。カエサルは、カエルレアIIの動き方を見て「地球製の部品で作られてるぞ」と言った。セレニタは「それじゃ地球人が乗ってるかも知れないじゃないか。逃げた方が良いか」と言うと、カエサルは「そう簡単には逃がしてくれないだろう」と言った。インフラ少佐は「あの少女は地球人の味方だ。撃墜するわけにはいなかい」と言って、照明弾を撃ち出して光らせると、全速力で離脱した。そして、ラナ・ディフダが追って来ない事を確認すると、通信回線を開いて、本部に向けて「緑のロボットに乗ってた少女は新しいロボットに乗っている模様。映像も録画してある」と言った。

20 解説

 2017年の1月に、小学校の時に、猫を抱いてたら「女か!!」と怒鳴られたのを思い出して、冒頭の、軍がカエルレアIIを作る話を書き足しました。ガンダム00の、ジンクスというロボットの設定がモデルです。ロボットの名前のカエルレアと、開発者のリトーリア技術大佐と、テストパイロットのインフラ・フレナタ少佐の名前は、イエアメガエルの学名のLitoria caeruleaと、クツワアメガエルの学名のLitoria infrafrenataが由来です。

21

 ある日、天文学者のアルベルシアノは、りゅうこつ座エータ星の方向から来る水惑星を発見した。そして「三日後に洪水が起こるだろう」と言った。水の惑星が見え始めて、雨が降り始めた。セレニタはニュースを見ると外に出た。そして空に向かって「ショルグーフ!」と叫んだ。するとショルグフが飛んで来て着陸した。それから彼は、ショルグフから飛行とは関係の無い部品を取り外すと、隙間を皆、重力遮断材製のタンクに作り直して、それらのタンクを最密縮退水-1-1-16で満たした。そして、フロッピー・ディスクをフロッピー・ドライヴから取り出すと、水の星に着くと同時にトランスミューターが、機体全体をエネルギーに変換するようにプログラムを書き直してから、ディスクをドライヴに戻した。その時カエサルが「大体1.66ゼタジュールのエネルギーが発生するな」と言った。そしてセレニタは空を見上げた。すると青い巨星が空一杯に広がっていた。

21 解説

 後半の、水の星が接近する話は、ヤマト完結編が公開された頃、この話を描きました。(またパクリかよ!!!)また、この頃装甲騎兵ボトムズという番組の放送が始まりましたけど、スコープドックの顔をカエルに変えたロボットのデザインがうまくいかなかったので、三番目のロボットは登場しません。日本語の漫画では、飛行とは関係の無い部品を取り外した後、隙間を皆ニトログリセリンで満たしますけど、英訳した後、隙間を皆、重力遮断材製のタンクにするように、書き直しました。1.66ゼタジュールというのは、ディフダの重量が18.5トンなので、十進BASICで、

 

10 PRINT 18.5*1000*89875517873681764

20 END

 

というプログラムを実行したら、

1662697080663112634000

という答えが出ました。

22

 セレニタは「あの星の軌道を変えて、脱出が出来たら洪水は起こらない。軌道を変えても脱出出来なかったら、洪水が一つ起こる。軌道を変えられずに脱出が出来ても洪水が一つ起こる。軌道を変えられずに脱出も出来ないなら、二つの洪水が同時に起こる。洪水が起こらない確率は四分の一、一つの洪水が起こる確率は四分の二、そして二つの洪水が起こる確率は四分の一」と言った。そして彼がショルグフに乗ろうとした時、エンディミオンがセレニタを突き飛ばして「軌道を変えられたら洪水は起こらない。しかし変えられなければ洪水は起こる。二つに一つ。それだけだ」と言って、ショルグフに乗り込んだ。そしてショルグフは水惑星に向かって飛び立った。やがて水惑星の表面が輝いた。そしてそれは小さくなりながら、空を流れて行った。そして雨が止んだ。その時セレニタは流れ星を見た。民間伝承では流れ星が消える前に願い事を言うと、その願いが叶うと言われているので、セレニタは「神様! エンディミオンを返して!」と叫んだ。すると流れ星は隕石になって彼の目の前に落ち、クレーターが出来た。セレニタはクレーターを見た。するとエンディミオンがそこに倒れていた。セレニタは駆け寄って「エンディミオン! 大丈夫か」と叫んだ。すると彼は上体を起こして「水の星はどうなった」と言った。

 

  その翌日、セレニタは筏に乗ってセウタからジブラルタルまで行った後、徒歩で家に帰った。