カエル大戦 1 ラナ編

1

 銀のサークレットをつけた、鳶色の髪の少年 が大きな蛇に追われて逃げていた。少年の名はエル・セレニタ・デ・サン・アントニオ・ラ・サンタ・クルスといった。彼が十字路を通り過ぎた時、脇の道から、クマ並みに大きいナメクジが現れて、蛇に襲いかかって食べてしまい、そして次にセレニタを追い始めた。セレニタは、それらには全く何も気付かずに逃げ続けた。その時、隕石が大ナメクジの上に落ちた。セレニタは、音に驚いて立ち止まると、不思議そうに振り返った。その時、ペチャンコに潰れた大ナメクジの上に、サッカーボール大の石があった。そして彼は石を拾うと修道院に行った。彼は古い修道院を家にして住んでいた。その修道院は、クリーム色の壁と、黄色い屋根で出来ていて、一つの隅に塔 があった。その塔は、上半分が八角柱で、下半分が四角柱で出来てて、四角柱と八角柱の繋ぎ目に、半分に切られた四角錐の屋根が四つあり、八角柱の上には、一つの八角錐の屋根が乗っていた。そして八角柱の部分には、丸い窓が四つあった。数年前に母親が、セレニタに屋根の掃除を頼んだ時、セレニタは、天辺の屋根と四角柱の一部を赤いペンキで塗ったので、ニワトリそっくりになっていた。セレニタは、敷地内の畑に、石を隠すと、家に入った。

1 解説

 「イノゴ8世」という作品は、ぼくの漫画の中で初めてストーリーらしいストーリーを持った作品です。学校でローマ字を習った時は全く理解出来ませんでしたが、テレビで「伝説巨人イデオン」という番組を見ててCMになった瞬間に読めるようになり、その時たまたまスペイン語の辞書や教科書が、家に有りました。それで登場人物にスペイン語の名前をつけて漫画を描き始めました。セレニタ(Selenita)とはスペイン語で「月の住民」という意味です。「バビル2世」という漫画は割と好きなんですが、ぼくが真似をするには男っぽ過ぎるので、もう少し可愛く描き直そうと思ってました。大抵のヒーロー達は、余りにも男らし過ぎて、とても真似が出来ませんでした。

2

 セレニタは彼の母のマリア に「ママ。ぼく麦の刈り入れをするよ」と言った。するとマリアは「貧しい人が取れるように、隅の麦は残しておきなさい」と言った。セレニタは麦の収穫を始め、隙を見て石を部屋に持ち込んだ。収穫が終わると、セレニタは部屋に戻って来て、金槌で石を叩き壊した。すると、石の中から冬眠しているカエルが出て来た。それはフライシュマンガラスガエルに似ているが、大きさはクツワアメガエル程であった。そして腹部の皮膚が透明であったが、内臓ではなく、機械のような物が透けて見えていた。そして、彼はインスタントラーメンを持って、声を張り上げて「ヌイユ!」と言うと、次に「グルヌイユ!」と言ってカエルをドンブリに入れて、お湯をそのドンブリの中に注いだ。するとカエルは冬眠から覚めて「熱ちちち!」と叫んでドンブリから飛び出した。そしてカエルはセレニタの銀のサークレットを見ると、前腕部の外殻が、肘を軸にして二つに割れて開き、両端にカエルらしい四本指の手と人間のような五本指の手が付いてる棒が、半分程の長さの肘から生えた棒の先端を軸にして回転してから、外郭が元通りに閉じて、人間のような手に変身して、脚も、脛の外殻が膝を軸にして二つに割れて開き、前腕部と同様に、カエルらしい五本指の足と、人間が靴をはいたような形の足が両端についた棒が、半分程の長さの膝から生えた棒の先端を軸にして回転してから、外殻が閉じて、脚の変身が終わると、二本足で立ち上がってお辞儀をして「我らの王子イノゴ・マトゥサレン・ペドロファウノ8世様」と言った。そして更にカエルは言った。「私はあなたの僕のカエサルと申します。あと二人の僕もおります。彼らは蛇のプトレマイオスとナメクジのセレウコスでございます。」

2 解説

 当初はバビル2世の真似をして、喋る黒猫を僕にする予定でしたが、石を叩く絵を描いてる途中で、隕石から冬眠中の宇宙ガエルが出るなんて事を思いついてカエルを描いてしまいました。カエルに名前をつける時、アンティゴノスを忘れていて、カエサルと名付けました。カエサルスペイン語ではCésarと書いてセサルと読むべきですが、カエルのカエサルという言い方が気に入ってましたし、宇宙ガエルですので外人みたいな名前でもいいだろうと思ってカエサルのままにしました。ちなみに日本語の漫画では、単にカエルをドンブリに入れてお湯を入れてるだけでけど、英訳する時に、同級生がフランス語を習っていたので、ウケを狙って、フランス語の駄洒落を書き足しました。ラーメンはフランス語でヌイユ(nouille)であり、カエルはグルヌイユ(grenouille)ですから、英訳する際に、ヌイユとグルヌイユを引っ掛けた駄洒落を言わせました。漫画の絵では、カエサルは、カエルらしい四本足の時と、人間みたいに直立している時があるので、英訳した後、手足がZZガンダムのように変形する場面を書き足しました。セレニタも父親も共に、最初はフライシュマンガラスガエルがモデルのロボットを作ったので、カエサル自身が、フライシュマンガラスガエルに似てないとおかしいと思って、カエサルをデザインし直しました。フライシュマンガエルガエルは、おなかの皮膚が透明で、内臓が透けて見えてて、グロいですから、冗談半分に、中身を機械にしました。

3

 セレニタはその話を信じられないでいた。そしてカエサルは言った。「あなたの本当の名前はイノゴ・マトゥサレン・ペドロファウノ8世で御座います。イノゴ・アダン・エピメテオ1世はイノゴ・セット・フォロネオ2世を産んで、イノゴ2世はイノゴ・エノス・メランポ3世を産んで、イノゴ3世はイノゴ・カイナン・フィレモン4世を産んで、イノゴ4 世はイノゴ・メレレエル・カドモ5世を産んで、イノゴ5世はイノゴ・ハレッド・べレロフォンテ6世を産んで、イノゴ6世はイノゴ・エノック・ガニメデス7世を産みました。そしてイノゴ7世があなたの父で御座います。我々の祖国が滅ぼされる時に、あなたの父は我々を空に逃がしました。」

 セレニタは「お爺ちゃんのホアキンはお婆ちゃんのアナと一緒にママのマリアを産んで、マリアはぼくを産んだ。だけどぼくにはパパがいない・・・」と言うと、マリアの部屋に行った。その時マリアはイチジクの皮を剥いて串に刺していた。彼女は彼に「あなたの好きな干しイチジクになるのよ」と言った。セレニタは「ぼくは本当の子供なの」と言った。するとマリアは「9年前に月から赤ちゃんが落ちて来たのよ。それでエル・セレニタと名前を付けたの。それがあなたよ」と言った。それはスペイン語で、月世界人という意味であった。ホアキン・デ・サン・アントニオ・ハビエルとアナ・ラ・サンタ・クルス・サンチェスには、マリア・デ・サン・アントニオ・ラ・サンタ・クルスという娘がいた。マリアが成人すると、二人は廃屋となった修道院を買い取って、マリアに住処として与えた。マリアが一人暮らしに慣れた頃、6月25日に、月から赤ん坊が、流れ星になって落ちて来た。その赤ん坊は銀のサークレットを着けていた。マリアは赤ん坊に、エル・セレニタと名前を付けた。

3 解説

 これはイノゴ家の系図ですが、セカンドネームは聖書の人物の、アダムからメトセラまでのスペイン語形で、サードネームはギリシア神話で似た伝説のある人達の名前のスペイン語形です。ペドロファウノはピーターパンを無理矢理スペイン語にしました。メトセラというのは、外国の昔話の登場人物で、フルネームをメトセラ・エテ・ハマブル・マイム・アル・ハアレズ・プロス・ヤテ・スメ・カデマイ・ウサプ・ヤテ・ワウ・ベン・メム・ウタウといいます。フロス・ヤテ・スメ・カデマイはアラム語で「最初の名前を分けろ」、ウサフ・ヤテ・ワウ・ベン・メム・ウタウはアラム語で「ワウをメムとタウの間に入れろ」という意味です。その通りにするとモト・サラ・エテ・ハマブル・マイム・ガル・ハアレズ(彼の死が地上に洪水をもたらす)というヘブライ語の文が出来ます。神様は、メトセラに不老を与えたが不死は与えず、人の善行が彼の薬になって人の悪行が彼の病になるようにして、彼が死ぬと洪水が起こるようにしました。結局人々の罪が積み重なって天にまで届いてしまってメトセラは死に、洪水が起こりますが、彼の孫のノアは船に乗って生き残ります。マトゥサレンとはこのメトセラスペイン語形です。

4

 その夜、黒ずくめの男 がセレニタの家の前に来た。外から手が届く範囲内の麦がそのままだったので、男は麦を引き抜いて囓った。そして少し離れた所にある配水管の中に入って寝た。

 セレニタの家の近くの天文台 に、アルベルシアノという名の天文学者がいた。彼がプレイアデス星団を見た時、それは赤くなっていた。彼は言った。「9年前、379.27光年離れた5.13等の原アステローペが分裂して、386.91光年離れた5.76等のアステローペIと、354.14光年離れた6.43等のアステローペIIになった。赤く変わったのはその分裂 と関係あるのか?」

 セレニタはバス停でバスを待っていた。しかしバスがなかなか来ないので、彼はいらいらしていた。その時突然、世界中が赤くなった。そして次の瞬間、彼はベットの中にいた。それは夢であった。それからセレニタは家を出た。その時、昨日の黒服の男が彼の財布をひったくってそれを開けた。すると財布からカエルのカエサルが跳び出して黒服の男に噛み付き、セレニタの所に戻って行った。黒服の男は「おのれカエルに歯は無いはずだ!」と罵った。カエサルが跳ぶ時、目がアンテナの様に飛び出す ので、黒服の男は驚いて思った。あのカエルは見た事がある。そしてあの少年は誰かに似ている。そしてあの銀のサークレットは…。その時彼は驚いて叫んだ。「彼はイノゴ8世だ!」と。そして彼は財布から金を取らずにセレニタの足元に投げて隠れた。セレ二タがその財布を拾うと、黒服の男はセレニタの後を追い始めた。そしてセレニタは学校に行った。

4 解説

 日本語の漫画では、単に明るかった原アステローペが二つの暗い星に分裂しただけという描写です。一つの恒星が二つに分裂する現象は有り得ませんので、英訳する際に、星の材質が光る水銀の様な物と仮定して、物理シミュレーションソフトにアステローペIの等級と距離と、アステローペIIの等級と距離を入力してそれぞれの質量を求め、それらを合計して原アステローペの質量としました。次に、原アステローペがはじけて欠片がそれぞれアステローペIとアステローペIIの位置に来る場所を何度もシミュレートし直して探しました。そして最後にその距離と質量を入力して等級を求めました。また、アルベルシアノとはスペイン語で「小惑星アルベルト人」という意味です。日本語の漫画では特に名前はありません。

5

 図工の時間に、カエサルが「何か乗り物を作ればいい」と言った。するとセレ二タは「装甲材質はルナ・チタニウムにしよう」と言った。カエサルが「何だそれは」と言うと、セレ二タは「ルナ・チタニウムとは、ガンダムの装甲材質で、チタンとアルミと白金と希土類元素から出来てるんだ」と言った。するとカエサルは「白金・イットリウム含有ハイパーチタン合金・超々ジュラルミン合金クラッド材で作れば良いかな。ハイパーチタン合金はチタン77パーセントと、モリブデン15パーセントと、ジルコニウム5パーセントと、アルミ3パーセントで出来てて、チタン合金の中で一番丈夫なんだ。白金を少し入れると錆びにくくなって、イットリウムを少し入れると熱の変化に強くなるんだ。そして超々ジュラルミン合金は、最強のアルミ合金なんだ」と言った。セレ二タは「それだ!」と言って、工具を持った。カエサルは「700ゼタパスカルの圧力で圧縮して丈夫にしろ。それは最大の白色矮星の中心部と同じ圧力だ」と言った。そこでセレ二タは、白金・イットリウム含有ハイパーチタン合金・超々ジュラルミン合金クラッド材で、全長4.8メートルで、0.8トンのオタマジャクシ型の飛行機を作り始めた。セレニタが「ママは鉛は毒なので使っちゃ駄目と言って、ぼくに無鉛ハンダを買ってくれてたんだよ。無鉛ハンダってどうやって作るの」と言うと、カエサルは、無鉛ハンダの作り方を教えた。セレニタは、椅子を作りながら、カエサルに「ぼくは身長が132センチで体重は31キロだよ」と言った。するとカエサルは、座面の高さは29センチで、肘かけの高さは49センチで、背もたれの高さは110センチで、幅は36センチで、奥行きは30センチが良いだろう」と言った。飛行機が完成すると、レナクァホ と名付けた。セレニタはレナクァホを黒と白で塗ろうとしたが、学校の先生が「ピンクのペンキが沢山余っているからピンクにしなさい」と言ったので、ピンクに塗った。操縦室は、半径62センチ、高さ99センチの円柱形の空間であった。セレニタが、空間拡張機のスイッチを入れたら、操縦室の壁が透明になって、その外に、虚像の空間が広がるように見えた。それは、斜方立方八面体の空間であり、床以外の面は、17枚の正方形のスクリーンと、8枚の正三角形のスクリーンで出来ていた。それらはどちらも一辺が75センチであった。それは、虚構の空間であるので、円柱形の空間の境界は、ガラスの壁のように見えた。椅子の右に箱が設置されていて、その箱には、フロッピードライブと、操縦桿が付いており、更にその操縦桿には4つのスイッチが付いていた。椅子の左にはスロットルが設置されていて、そのスロットルにも4つのスイッチがあった。どちらも取っ手の高さは49センチであった。そして操縦桿とスロットルに付いてる、計8つのスイッチの組み合わせにより、255種類のアクションをさせる事が可能であった。そして椅子の前にはペダルが2つあった。その時カエサルは「こんなのは地球の技術じゃ動かせないから、トランスミューターを作れ」と言った。セレ二タが「何それ」と言うと、カエサルは「トランスミューターには四つの機能があるんだよ。第一の機能は原子を組み替えて、水分子一つとエネルギーと、酸素一つと水素二つの相互変換をしたり、二酸化炭素一つとエネルギーと、酸素二つと炭素一つの相互変換をするんだ。第二の機能は核子を組み替える事によって、ヘリウムと水素とエネルギーと、ヘリウムIIIと重水素の相互変換が出来るんだよ。第三の機能は、陰電子崩壊と電子捕獲を人工的に起こす事によって、陽子一つと電子一つとエネルギーと、中性子の相互変換が出来るんだ。そして第四の機能は、物質とエネルギーの相互変換が出来るんだよ」と言った。その時カエサルは説明をしなかったのだが、中性子を陽子と電子と125.34フェムトジュールのエネルギーに変換する時に、反電子ニュートリノが発生し、陽子と電子と125.34フェムトジュールのエネルギーを中性子に変換する時は、よそからエネルギーを取って反電子ニュートリノに変換するので、余った質量やエネルギーを、ニュートリノに変換して捨てなくてはいけないのであった。更にカエサルは、続けて「インテークは、空気を吸って、トランスミューターで縮退水銀-204に変換してタンクに貯めて、動力炉は、トランスミューターで縮退水銀-204をエネルギーに変換して、ロケットは、トランスミューターで縮退水銀-204を、灼熱の液体水素と液体弗素に変換する。普通の水銀は一立方センチメートルあたり13.534グラムで、普通の水銀-204は一立方センチメートルあたり13.830グラムで、縮退水銀ほ204は一立方センチメートルあたり127.5トンだ。凄く重たいから、タンクは重力遮断材で作らなきゃ駄目だ。それから外に出ると、膨らんで210倍に膨らんで普通の水銀-204になってしまうんだ」と言った。セレ二タは「ママが言ってたけど水銀も毒だったよね」と言った。するとカエサルは「それなら変わりに水を使うと良い。縮退水1-1-16は、一立方センチメートルあたり90トンだ。外に出ると448倍に膨らんで普通の水-1-1-16になるんだ」と言った。それからカエサルは「弗素も毒だから、ロケットの燃料は水素と酸素にした方が良いだろう。ただし推力が三分の一になってしまうんだか」と言った。カエサルは「内部電源は、カドミウム二次電池が使いやすいけど、カドミウムも毒なので、代わりにカルシウム二次電池を使うと良い。現在地球で使われてるリチウム二次電池の二倍の電力を貯められるんだ」と言った。セレニタは、トランスミューターを、インテークと動力炉とロケットに組み込むと、レナクァホに乗り込んだ。その時、椅子の背もたれの両側に付いてる、鏡の付いた棒が横に起き上がって、前方に回って、バックミラーになった。同時に、椅子の右側の箱に付いてた板が上にスライドして内側に倒れて、高さ55センチの所で止まってトレーのような形のスクリーンになり、真下の様子が映し出された。それは一辺が30センチの正方形であった。するとカエサルが「プトレマイオスセレウコスを探しに行こう」と言った。そしてセレニタが操縦し始めると、レナクァホが学校の屋根を突き破って飛び立った。

6

 暫くして、セレニタは空を飛ぶ物体 を見つけて「日本の照る照る坊主ってやつじゃないのか」と言った。その時、その飛行物体がふり向いた。するとセレニタは大笑いして「ぎゃはははユル・ブリナーだ! ママはユル・ブリナーチャールトン・ヘストンのファンなんで十戒という映画がテレビで放送されるたびに見てるんだよ」と言った。その時カエサルが、それを見ながら「あれはヘリオスだ。あれが逆様になったら雨が降るんだ」と言った。その時ヘリオスが傾き始めた。するとセレニタは「レナクァホは濡れちゃ駄目だ!」と言って、レナクァホを操作して、ヘリオスに向けてミサイルを発射させた。そのミサイルの弾頭は、陽電子を封じたカプセルであった。こうしてレナクァホはヘリオスを撃ち落とした。カエサルは「奴らの装甲は、超圧縮ウルトラハイテン鋼・超硬スチレン樹脂合板製だから、地球上の武器では傷一つつけられないのだ。我々だけが戦えるんだ。これからもっと強い敵が現れるかも知れないからもっと強い武器を作っておいた方がいい。まあ、ハイパーチタンならウルトラハイテンには負けないだろう」と言った。セレニタはレナクァホを着陸させると、降りて、21.7トンのブストと、23.7トンのガルバニを作り始めた。

6 解説

 日本語の漫画では、ブストとガルバニがいつ作られて、普段どこにいるかが全く不明ですので、英訳する際にヘリオスとの戦いを書き足しました。ブストとはスペイン語で「胸像」という意味です。そしてガルバニはイタリアの物理学者、生理学者ルイージ・ガルヴァーニが由来で、でカエルの脚に電線を繋いで動かした人です。セレ二タが作った3つのメカの重量が、日本語の漫画と違ってますけど、詳しい説明は、第10話の解説に書いてます。はてなで質問をした後、装甲材質と、エネルギーについての話を書き足しました。白金・イットリウム含有ハイパーチタン合金・超々ジュラルミン合金クラッド材というのは、機動戦士ガンダムの主役メカの、ガンダムの装甲材質がルナ・チタニウムだというのがモデルです。ルナ・チタニウムは、チタンにアルミと白金と希土類元素を混ぜて作るという設定です。日本語の漫画では、ラナの装甲材質は、ポジトロニューム合金化ルナ・チタニウムという設定です。英訳する際に、ルナ・チタニウムの作り方を調べて、実在するチタン合金で、ルナ・チタニウムに似ているのを探しました。そして、ゴルフクラブのカタログで最強と書かれているハイパーチタン合金(成分:Ti-15Mo-5Zr-3Al、引張強度:1470MPa、比重:5.01g/cm3)と、ハイパーチタン合金より軽くて丈夫で安価なLCBチタン合金(Ti-6.8Mo-4.5Fe-1.5Al、引張強度:1546MPa、比重:4.81g/cm3)と、ハイパーチタン合金より安いけど強度が弱いベータCチタン合金(Ti-8V-6Cr-4Mo-4Zr-3Al、引張強度:1440MPa、比重:4.82g/cm3)を見つけました。ベータCチタン合金は14話で使って、LCBチタン合金は24話で使っています。ポジトロニューム合金とは、六神合体ゴッドマーズの主役メカの、ゴッドマーズの装甲材質で、通常の金属に、非常に高い圧力をかける事によって、凄まじく丈夫になって、自己修復機能も備わった金属です。ちなみに、実際のポジトロニュームは、電子と陽電子が互いに回り合って形作る擬似原子で、水素の1837倍軽い気体で、固まらないし空気中には存在出来ません。操縦席は、ゴッドマーズと飛行機を合体させました。操縦桿とスロットルと2つのペダルは飛行機で、スクリーンはゴッドマーズのスクリーンを、ぼくの独断で勝手に拡張しました。ゴッドマーズは、正面と斜め上と斜め右と斜め左の、4枚のスクリーンがありますけど、見える範囲が狭いと思って、前の機械をどけて、スクリーンの数を増やして、スネークキューブみたいにしました。操縦桿とスロットルの、4つずつのボタンと、フロッピードライブは、2012年3月に付け足しました。これらは装甲騎兵ボトムズというアニメに登場するロボットの真似です。敵の装甲材質が、超圧縮ウルトラハイテン鋼・超硬スチレン樹脂合板で出来てるというのは、機動戦士ガンダムに登場する、敵メカのザクの超硬スチール合金がモデルです。縮退水銀-204の密度を求める時は、(原子量÷原子番号)×50=トン数、という式を使いました。この50という数字は、白色矮星の中心部が、一立方センチメートル当たり100トンで、大抵の元素が原子量を原子番号で割ったら2前後の数値になるというのがモデルです。エネルギー源については、これまたゴットマーズの反陽子エネルギーの真似をして、質量をトランスミューターでエネルギーに変換するという設定にしました。水銀-204は、原子量を原子番号で割った答えが、一番大きくて、しかも液体ですから、縮退状態か、一番重い液体になりますけど、水銀は毒なので、代りに水-1-1-16を使いました。縮退水-1-1-16の密度は、分子量を、分子中の陽子の数で割った答えに、50を掛けて求めました。

7

 

 セレニタは、設計図を描き終わると、それをカエサルに見せて、言った。

 「見ろ! ガン・・・」

 「駄目だ! 著作権の問題になるぞ! その白くて角があるロボットのポスターは町中のいたる所に貼ってあるじゃないか!」とカエサルが言った。そしてセレニタは、ロボットの顔をカエルの顔に描き直した。そのロボット駆動系は、弗素9価陰イオンとネオン9価陽イオンを、イオンアクチュエーターの中で反応させて、普通の弗素とネオンに変換して取り出したエネルギーで動いていた。しかし弗素は毒性があるので、セレニタは、酸素8価陰イオンとネオン8価陽イオンを、普通の酸素とネオンに変換して、エネルギーを取り出すようにした。そして、脚を一本だけ作ってテストをしたところ、弗素9価陰イオンとネオン9価陽イオンを使った場合の、半分の出力しか無かった。そこで円柱形のアクチュエーターの直径はそのままで、高さを2.5倍にして、2倍の力が出るようにして、動力パイプの太さを1.4倍にした。すると、パイプを機体の中に内装出来なくなったので、機体の外に出した。イオンアクチュエーターは円柱形であり、片方の側面がガラスのレンズのようであった。弗素9価陰イオンとネオン9価陽イオンを使った時は、レンズが青に近い緑に光って、酸素8価陰イオンとネオン8価陽イオンを使った時は、黄色に近い緑に光った。そのロボットの骨格は、カエルの骨に似た形であったが、手の骨は人間と同じ形の五本指であった。なぜなら自分の手を見ながら、動作プログラミングが出来た方が便利だからであった。脛の骨は、脛腓骨という一本の棒であり、足首は、跗蹠骨球というブロックであった。そして足の骨は、鳥のように四本趾であり、三本の趾が前を向いて、中足ブロックを通って爪先ブロックに届いていて、一本の趾は後ろを向いて、踵ブロックに繋がって、外見は人間の靴のようになっていた。なぜならカエルの足では二本足で立てなかったからである。尤もカエサルは「人間の方が、歩くのも走るのも、鳥より上手じゃないか」と、懐疑的であった。セレニタは、ブストとガルバニを完成させると、レナクァホをウエボに変形させて、それをブストとガルバニと合体させた。するとそれは、一体の、巨大なカエルのロボット になった。背中には、10基のロケットが付いていて、腹部前面のコクピットハッチの右には陽電子砲が付いていて、左にも、同じ形の射出口があって、肘の機械は大きなアクチュエーター一つから出来てて、そのアクチュエーターが大き過ぎたので、脇の下から二本のパイプが出て、肘に行くパイプは上腕部に刺さっていて、手に行くパイプは前腕部に刺さっていた。脇腹には、長方形の大きな穴があって、股間接と膝と足首に行く三本のパイプが、縦に走る様子が見えていた。膝と足首に行く日本のパイプは、腰から出て大腿部に刺さっていたが、分割可動式のスカートに隠れて見えなかった。そして足首に行くハイプは、膝の機械が大き過ぎたので、大腿部から外に出て、下腿部に刺さっていた。そのロボットは白と緑で色分けされてて、背中のロケットは黄色で、コクピット・ハッチは赤で、その左右の射出口はピンクだったので、カエサルはロボットを見て「フライシュマンガラスガエルか」と言った。セレニタは「エル・ラディオ・ガリャルド!」と叫んだ。すると陽電子砲から、ポジトロン・ビームが出た。それからセレニタは「ラ・エスパダ・デ・ルス!」と叫んだ。するとコクピット・ハッチの左の射出口から、粒子を吹き出して、剣の柄が空中に形成された。ロボットがその柄を掴むと、その後も粒子が噴き出され続けて、剣 を形成した。その剣は、大文字のRとNを組み合わせた形であり、Rのカウンター部分はエネルギータンクで、ボウルとレッグとステムが刃であり、使用時には、刃が発熱して光を発するのであった。N部分は柄であり、Rのステムは、Nの右ステムに繋がって、右ステムの下部からストロークが生えていて、ストロークの上の端から、左ステムが下に伸びていて、その左ステムを握るのであった。カエサルが「毎回剣を蒸着して作って捨てるのは無駄じゃないか。それから操縦席の近くに強力なビーム砲があるのは危険だ」と言った。そこでセレニタは、ハッチの左右の射出口を塞いだ。そして右脇腹の中の、陽電子砲を取り出して、手持ちのビームライフルに作り変えた。左の脇腹の中の、物質生成機は、胸の内部に移した。そして脇腹の動力パイプを、奥の方に押し込んで、脇腹の穴を黒い板で塞いだ。胸部の内部には、マジックハンドも設置した。鼻の穴は、吸気口と排気口の働きをしていたが、そこにバルカン砲も設置して、鼻の穴を縁取って、目まで届く、端に穴が開いた黒い板で補強した。それから彼は、10基ものロケットを操作するのも面倒だと思って、ロケットが二つ付いたバックパックに付け替えた。その時、カエサルが「イオンアクチュエーターは、体積が半分になっても、出力は57パーセントにまでしか減らない。昔、グラハム・ベイカーが、イオンアクチュエーターのサイズと出力について実験をして、半径が0.500で高さが0.708の時に出力が4分の1で、半径が0.464で高さが0.495の時に出力が6分の1で、半径が0.414で高さが0.434の時に出力が8分の1で、半径が0.370で高さが0.411の時に出力が10分の1で、半径が0.333で高さが0.333の時に出力が14分の1で、半径が0.261で高さが0.396の時に出力が18分の1になると言ったんだ。半径が0.500の時は元の厚さより大きくなるので駄目で、0.464の時はあまり隙間が開かなくて、0.370の時は円の中に小さい円を五つ配置するのが難しくて、0.261の時は、厚さが再び増え始めるうえに部品が多過ぎるので、整備のし易さを重視した半径0.414と、隙間の広さを重視した半径0.333が、多く使われるようになったんだ」と言った。その時セレニタは、円の中に、半径が0.261倍の円を、無理やり10個描いて「0.261倍の円は10個入るかも知れないよ」と言った。するとカエサルは「君の絵は下手だから、これじゃ分からないな。ちなみにこの半径で、出力を20分の1にするには、高さを0.347にすれば良いけど、もはや小さ過ぎて、起動する時としない時がある」と言った。そしてセレニタは、中空の柱の両側面に、高さと直径が共に3分の1の、体積が27分の1のアクチュエーターを7基ずつ、計14基のアクチュエーターを配置したのは、部品が多くて整備がしにくいので、半径が0.414倍で高さが0.434倍のアクチュエーターを、各側面に四つずつ、計八つ付けて、新しい肩と肘と膝の機械を作った。それは、およそ13分の1の体積だと、出力は8分の1程になるので、大きなアクチュエーター一つと同じくらいの力の強さであった。そしてセレニタは、古い関節の機械を外して、新しく作った関節の機械を代わりに取り付けた。そして動力パイプを、その中空の柱の中を通した。するとそれを気に入った。セレニタは、それを気に入り、こうして、ブストとガルバニが、完全に完成した。そしてコクピット・ハッチを白に塗り替えて、それらがレナクァホと合体して出来るロボットを、ラナと名付けた。カエサルは、完成したロボット を見て「今度はアマガエルだな」と言った。そしてセレニタは、レナクァホ を白と黒に塗り直した。カエサルは、レナクァホやブストやガルバニを見て「こんな大きいものは、使わない時はどこに仕舞えば良いのかな。空に置けば良いかな」と言った。そこでセレ二タは、二つのボタンの付いたペンダント を作った。それは、レナクァホを呼ぶのに使う道具であった。ペンダントが出来上がると、ボタンを一つ押した。すると、レナクァホとブストとガルバニが、無人のまま飛んで行った。

 セレニタは居酒屋に入ると、格好をつけて、コーヒーを注文した。するとウェイターがコーヒーを入れた。セレニタは一口飲むなり「うげっ! まるで焦げた血みたいだ! 何でこんな物を皆旨そうに飲むんだ!?」と叫んだ。ウェイターは「ジュース出そうか」と言った。その時誰かが笑った。セレニタが振り向くと、大きなナメクジ が居たので「 おじさんナメクジみたいだけどセレウコスなの?」と言った。すると大ナメクジは「何だと! おれは人間だ! このガキをブチ殺せ!」と叫んだ。同時に他の客達が一斉に立ち上がった。そして一人の東洋人が、跳び蹴りを仕掛けて来たが、セレニタが避けたので、テーブルに突っ込んで、頭からお茶をかぶって「熱ちゃちゃちゃ!」と叫んだ。そして矢を掴むと「殺してやる」と言って立ち上がった。セレニタが店を飛び出して逃げると、大ナメクジと東洋人と、その他大勢が後に続いた。その時黒服の男が現れた。セレニタは、その脇を通り過ぎて走り続けた。そして黒服の男は大ナメクジ達の前に立ち塞がって戦い始めた。そしてセレニタが逃げてしまうのを見届けてから、彼らをまいた。

7 解説

 この話の冒頭部分に出る、未完成のラナは、日本語の漫画には登場しません。また、日本語の漫画では、レナクァホは、ピンクには塗らずに、最初から白と黒に塗ってます。ラナは、最初に描いた漫画では、ただの緑のカエルというだけで、何の種類かは考えてなかったんですけど、アマガエルとシュレーゲルアオガエルを見分けられるようになってから、未完成のラナはフライシュマンガラスガエルとプロトタイプガンダムザクII、完成したラナはアマガエルとアムロガンダムとドム以降、後に修理したラナはシュレーゲルアオガエルとG-3ガンダムアクトザクをモデルにして、デザインし直しました。イオンガス・アクチュエーターが、電離ガスからエネルギーを取り出して動くというのは、ザクIIのパイプの中を流れる流体パルスが、電離ガスだという説からの盗作です。修理した後のラナは、電磁石アクチュエーターで動きます。フライシュマンガラスガエルは模様が多くて、プロトタイプガンダムはデザインが凝ってて、アマガエルは少し模様が少なくて、アムロガンダムは色が派手だけどデザインはシンプルになってて、シュレーゲルアオガエルは大きくて模様が少なくて、G-3ガンダムアムロガンダムと同じデザインだけど色が地味で、ザクIIはパイプを外に出してて、ドム以降はパイプを中に入れてて、アクトザクはフィールドモーターで動きます。また、最初は、ラナの剣は、ゴッドマーズの剣が、GとMを組み合わせたような形だったのを真似して、RとNを組み合わせたようなデザインをしましたけど、形が複雑なので、ボツにしました。日本語の漫画では、東洋人は「圧跳(あっちょう)」と叫んで跳びかかって来て、テーブルに突っ込んでお茶をかぶって「熱茶茶茶茶(あっちゃちゃちゃちゃ)」と叫び、矢を掴んで「殺刺手矢婁(ころしてやる)」と言います。高校時代に同級生が中国語を習い始めたので、その後はインチキ中国語はあまり書いてません。ペンダントを、遠隔操作に使うという設定は、六神合体ゴッドマーズの真似です。

8

 セレニタは、ペンダントのボタンを一つを押しながら、天に向かって「レナクァホーッ!」と叫んだ。するとレナクァホが空から飛んで来た。それは普段は35786キロ上空にいるが、彼が呼ぶと1秒から1.2秒で飛んで来る。35786キロ上空は、静止衛星軌道であり、宇宙空間である。日向は121度になり、日陰はマイナス121度にもなるので、レナクァホは内部に冷却パイプが張り巡らされている。表面近くでは、熱い部分のパイプの中にはガリンスタンが流れていて、冷たい部分のパイプの中にはエチルペルフルオロブチルエーテルが流れている。そして内部のエンジン部分のパイプの中には液体ガリウムが流れている。セレニタは冷却パイプを作る時、水銀の代りにガリンスタンを使った。そして、ソヴェツキー合金という名前を面白がって、それを使いたがったが、カエサルはエチルペルフルオロブチルエーテルの使用を勧めた。なぜならソヴェツキー合金の融点はマイナス78であって、日陰の温度よりも暖かいうえに、それはセシウムカリウムとナトリウムから出来ているので、非常に燃えやすくて危険だからであった。カエサルは「プレイアデス星団では、沢山の恒星が集まっているから暖かいけど、太陽は単独星なので日陰は冷えるよ」と言った。セレニタはレナクァホに乗ると、北に向かって飛び立った。カエサルが「一々叫ぶ必要があるのか」と言うと、セレニタは「無いよ」と言った。するとカエサルは苦笑して「まあ、君は声が綺麗だけど・・・」と言った。そしてルルドに着くと、セレニタは降りて泉から水を汲んだ。そして彼は更に北へ飛んだ。そしてノストラダムスの墓に来ると、掘り起こして棺を開けた。その時セレニタは手紙を見つけた。それはセレニタ宛で、その日の日付が書いてあった。手紙には「汝は月世界人と呼ばれているが、真実はプレイアデス人なり。そして汝は我の墓を暴くなり。その日に備えて我はこの手紙を書く。故に我を生き返らせる必要は無いなり。汝が死ぬ時、汝の住んでいる星の上に洪水が起こるであろう。そして黒は汝の味方なり」と書いてあった。セレニタは、手紙を読むと「ぼくが死んだらどうやって洪水が起こるんだろう」と言った。するとカエサルは「縮退水はこぼれると448倍に膨れるから、レナクァホが撃墜されると、町中が水浸しになるという事じゃないかな」と言った。縮退水-1-1-16は、1立方センチメートルあたり90トンである。セレニタは「もっと膨れるのは無いのか」と言った。するとカエサルが「縮退水素-1は、1立方センチメートルあたり50トンで、液体になる時は891倍、気体になる時は8224倍に膨れる」と言った。

8 解説

 日本語の漫画を描き始めた頃、六神合体ゴッドマーズという番組が放送されてました。それは主人公が死んだら地球が爆発するという設定だったので、真似をして主人公が死んだら洪水が起こるという設定にしました。セレニタのサークレットも実はマーグやロゼの真似で、当時ぼくが欲しかったカチューシャがモデルです。ぼくは男なので、買って貰えませんでした。冷却パイプの中の液体ですが、ガリンスタンは融点がマイナス19度で沸点は1300度であり、エチルペルフルオロブチルエーテルは融点がマイナス138度で沸点が76度であり、ガリウムは融点が30度で沸点は2403度です。ぼく自身は、最初は冷たい部分でソヴェツキー合金を使いたかったのですが、融点がマイナス78度であって、宇宙の日陰のマイナス121度よりも高いうえに、沸点を知らなかったので、没にしました。ソヴェツキー合金は、セシウムが73パーセント、カリウムが23パーセント、ナトリウムが4パーセントなので、水と激しく反応するので危険です。

9

 その時、黒服の男がそこに来た。その時カエサルがセレニタに「彼は王室近衛兵の息子だ」と言った。それからセレニタは彼に「ぼくは地球ではエル・セレニタと呼ばれているけど本当の名前はイノゴ・マトゥサレン・ペドロファウノ8世だ。父の名はイノゴ・エノック・ガニメデス7世、その父はイノゴ・ハレッド・ベレロフォンテ6世、その父はイノゴ・メレレエル・エネアス5世、その父はイノゴ・カイナン・フィレモン4世、その父はイノゴ・エノス・メランポ3世、その父はイノゴ・セット・フォロネオ2世、そしてその父がイノゴ・アダン・エピメテオ1世なんだ」と言った。その後カエサルが黒服の男の耳元で「地球にはカドモという名の英雄がおります。彼は町を建てました。そして地球にはエネアスという名の英雄もおりました。彼もまた町を建てました。セレニタは二人を混同しておられるようです」と言った。カドモとは、ギリシャ神話の英雄カドモスのスペイン語形であり、エネアスとはギリシャ神話の英雄アイネイアススペイン語形であった。そして黒服の男は、カエサルの言葉に納得すると「俺は地球ではエンディミオン・ミネーロと呼ばれているが、本名はクボ・メトゥサエル・プリンシペ6世だ」と言った。するとセレニタが彼に跪いた。プリンシペとは、スペイン語で王子という意味だからであった。しかしエンディミオンは「待て、地球の言葉でプリンシペは王子という意味だが我々の言葉では強い騎士という意味だ。あなたこそが我々の王子であります!」と叫んでセレニタに跪いた。そしてエンディミオンは続けた。「敵が来た時、あなたの父君は我々を脱出させました。その後我々の星は爆発しました。」

 そしてカエサルエンディミオンに「あなたは一人だけなのか。仲間はいないのか」と言った。エンディミオンは言った。「最初は私と父と、父の仲間達、そして友人達と、その両親達と共に宇宙船に乗っておりました。しかしこの地球に来た時、私は残骸の中に一人でいました」

9 解説

 イノゴ5世のフルネームはイノゴ・メレレエル・カドモ5世とイノゴ・メレレエル・エネアス5世の二種類があり、どちらが正しいかが解りませんでした。それで英訳する際に、カエサルの台詞を書き足しました。プリンシペとはスペイン語で「王子」ですが、単に王子様が家来に頭を下げるなどというギャグを描きたかっただけで、特に意味はありません。

10

 ある日、空中に大きな三つ又の鉾 が現れた。それが地面を刺すと地震が起こって地下水が噴き出した。その時、セレニタとカエサルはテレビを見ていた。カエサルが「あの三つ又の鉾はネプチューンだ」と言った。そこでセレニタは「レナクァホー!」と叫んで崖から跳び降りた。するとレナクァホが飛んで来てセレニタを跳ね飛ばした。セレニタは紐をレナクァホに投げて巻き付けると、紐を引っ張ってレナクァホに乗り込んだ。ネプチューンがいる場所に来ると、レナクァホはミサイルを撃った。しかしネプチューンが細いので、ミサイルは狙いを外れた。そこでセレニタは「ラナー!」と叫んだ。するとレナクァホの尾が縮んで、付け根を軸にして底面に回って収納され、ウエボ へと変形した。そしてカエルの顔をした人間の上半身の形をしたブストが降下して来て、下半身の形をしたガルバニ が上昇して来てウエボをはさんだ。ブストは腹部の中に、卵巣クローシュと呼ばれる釣鐘のような形のパーツがあって、その両側を動力パイプが走っていた。そしてガルバニの骨盤は、坐骨と呼ばれる円盤から、尾柱が生えてて、その左右から腸骨が二本生えてて、腸骨の上端から、尾柱の上端を通って、もう片方の腸骨の上端に行く仙椎があった。坐骨の上に腰椎関節あって、その上に卵巣プラターと呼ばれるお碗があって、坐骨の左右に股間接があって、両脚が股間接に付いていた。仙椎はパンツの背中側の、ウエスト部分の裏面に貼り付いていて、尾柱はパンツの、Tバック部分の裏面に貼り付いていて、パンツは、前と横と後ろの三枚の分割可動スカートが、左右合わせて六枚付いていた。ウエボはガルバニの卵巣プラター上面の窪みにはまり、次にブストの卵巣クローシュがウエボに被さって、卵巣プラターと合体した。こうして合体 が完了して、ラナというカエルのロボットになった。合体が完了すると同時に、操縦桿とスロットルは働きを変えた。右ペダルを踏むと右を向き、左ペダルを踏むと左を向くのは、ラナもレナクァホも共通であったが、レナクァホは操縦桿を前に倒すと下を向き、後ろに倒すと上を向き、右に倒すと右に倒れて、左に倒すと左に倒れるが、ラナになると、操縦桿を前に倒すと武器の照準を下に向け、後ろに倒すと上に向け、右に倒すと右に向け、左に倒すと左に向けるようになった。またスロットルを押すと、レナクァホの時は飛行速度が速くなるが、ナラの時は歩行速度が速くなった。その身長は12メートル、体重は46.2トンであった。そしてラナはネプチューンを掴む とへし折った。

10 解説

 ウエボはスペイン語で「卵」、ラナはスペイン語で「カエル」という意味です。ラナのデザインは、ガンダムの顔をカエルに変えて、コア・ファイターを前後逆にして翼を取っただけという、安易なデザインです。 当初は、普段は黒猫と共に歩き、ひよこのロボットに乗って空を飛び、カエルのロボットに乗って海に行き、超能力で戦う話にするつもりでした。しかし、ガンダムのコア・ファイターを前後逆にして羽根を取ったらオタマジャクシみたいになる事に気が付いて、ひよこのロボットを作る場面をレナクァホに変更して、合体してカエルのロボットになるという設定にしました。この変更により、ラナが海から現れる場面は無くなり、超能力で戦う場面も描かずじまいになりました。そどころかラナは水に弱いです。ラナの身長を12メートルにした理由は、1/60スケールのガンダム(実物は18メートル)が30センチであっても、同スケールのアムロが小さくて顔が見えなかったから、ロボットは小さめにして、人とロボットの両方が見えるようにしたいと思いました。12メートルだと、戦車に多い1/35スケールの場合は34.3センチくらいであり、セレニタの身長は132センチなので、同スケールだと3.8センチくらいになって、何とか顔が見えるだろうと思ったからです。ちなみにラナの体重は、学校の先生に、大きさが12メートルだと言ったら、40トンくらいかなと言いました。また、先生が、人間の上半身と下半身の重さの比率は6対4くらいだと言ったので、ガルバニ(下半身)を16トンにして、レナクァホ(操縦席兼脱出ポット)はぼく自身が目分量で5トンにして、ブスト(上半身)は、40-(16+5)=19で、19トンにしました。2012年2月に、はてなで、http://q.hatena.ne.jp/1329628815 の質問をしました。この質問をした後、ロボットの作り方や素材を調べてましたけど、難し過ぎたのでやめてしまいました。それから、操縦室の大きさを計算したら、ラナの身長は、21メートルくらいは無ければいけない事が分かりました。そこで、操縦室のデザインを変えずにラナを大型化した巨大化版と、ラナの身長を12メートルのままにして、操縦室を小さくした狭室化版の二つを作りました。12メートルと21メートルだと、1/36と1/63が同じ大きさになるのですが、どちらのスケールも、商品を見た事が無いので、1/35と1/64が同じ大きさになるように、身長を11.75メートルと21.47メートルにしました。また、質問をした後、第6話に、装甲材質と、動力源について書き足しました。そして最終的には、空間拡張機を組み込んで、身長は12メートルで、操縦席が広くなるように見えるという事にしました。

11

 ある日、巨大なヒョウタン が空中に現れた。それは傾いて、地上に水をこぼした。その様子をテレビで見たセレニタは、崖から跳び降りて「レナクァホー!」と叫んだ。するとレナクァホが飛んで来てハッチを開いた。セレニタはハッチの内側に当たって、操縦席の中をあっちこっちに弾んだ後、座ってハッチを閉じた。そしてレナクァホは現場に行った。現場に着くと、セレニタは「ラナー!」と叫んだ。するとレナクァホはウエボに変形してブストとガルバニと合体してラナになった。その時カエサルが「あのヒョウタンはバッカスだ」と言った。セレニタが「フルーレ!」と叫ぶと、ラナは口から舌を出した。その舌は、マジックハンドとフレキシブルアームで出来ていて、ラナ・エクステンドーという棒を持っていた。そのマジックハンドの親指は、掌底にある溝を動くので、それは必要に応じて右手にも左手にもなった。そしてラナの手がその棒を取ると、舌は引っ込んだ。ラナの胸部内部は、中央に、胃と呼ばれる箱があり、胃の右の巻き取り器に舌が巻き取られていた。胃の左には、蒸着装置があって、必要な道具を口の中に作る仕組みであった。ラナが手に取った棒が特殊警棒のように長くなって、先端から陽電子を噴き出してポジトロン・フルーレ になった。刃の部分は、二硼化チタン・窒化硼素ナノチューブ複合材で出来ていた。そしてラナはジャンプしてポジトロン・フルーレでバッカスを突こうとしたが、バッカスが水平に動いて避けたのでラナは落ちた。ラナが起きあがると、セレニタは「バルカァン!」と叫んだ。するとラナの上顎内部で、吸気口と排気口とバルカン砲をセットしたパーツが角度を変えて、バルカン砲に切り替えた。そしてラナは鼻の穴から36mmバルカン砲 を発射した。砲身は、トランスミューターで縮退水1-1-16を、ビスマス合金製の砲弾に変換して射出していた。そしてバッカスは、バルカン砲の射撃を受けて、砕けて落ちた。その後、ラナはヒート・エクステンドのスイッチを切った。すると刃が冷えて光らなくなった。それからラナは、ヒート・エクステンドを、バリバリと齧って食べ始めた。胃と呼ばれる箱の中は、上半分が破砕機であり、ヒート・エクステンドの破片を細かく砕いて、胃の下半分の、トランスミューターが、その残骸を縮退水1-1-16に変換してタンクに送った。

11 解説

 日本語の漫画では、ビーム・サーベルですけど、Iフィールドも原理が分からないので、英訳した後、ヒート・エクステンドに変えました。弾丸によく使われてる鉛は有害なので、密度や融点が近いビスマス合金に変更しました。ザクIIのヒート・ホークは、窒化チタンコート・二硼化チタン・窒化硼素ナノチューブ複合材で出来てます。二硼化チタンは、ダイヤモンドに近い硬度を持っていて、空気中で高温になっても燃えません。そして融点は摂氏2920度です。窒化硼素ナノチューブの引張強度は33000メガパスカルであり、融点は摂氏2967度です。 最強の鉄合金のアーメット鋼でさえ、引張強度は2172メガパスカル程度ですから、大変な丈夫さで、曲げても壊れない柔軟性もあります。二硼チタンだけでは衝撃に弱いので、 窒化硼素ナノチューブを入れて補強します。窒化チタンは、二硼化チタン程の強度は無いけど、融点が摂氏2950度であり、二硼化チタン以上に酸化しにくいです。そして金色に見えますので、ザクIIのヒート・ホークは、アニメでは黄色に見えます。ぼく自身は、窒化チタンでコーティングしなくても、二硼化チタンだけでも充分燃えにくいだろうと思って、二硼化チタン・窒化硼素ナノチューブ複合材だけにしました。こちらは、暗い銀色に見えます。

12

 ある日、空中に巨大なカカシ が現れた。カカシがダムの前に来た時、その両腕からいきなりハンマーがぶら下がった。そして鎖自体が自在に伸縮して動いてダムにハンマーを叩きつけ始めた。セレニタはテレビのニュースでその様子を見ると、「レナクァホー!」と叫んで崖から跳び降りた。すると彼は谷底に落ちて、その上をレナクァホが通り過ぎた。そしてセレニタはレナクァホに跳びついて乗り込んだ。レナクァホが現場に来て、セレニタがカカシを見つけた時、カエサルが「あれはピグマリオンだ。元々我々が建設工事のために開発したロボットだ」と言った。それからセレニタは「ラナー!」と叫んだ。するとレナクァホはウエボに変形すると、ブストとガルバニと合体してラナになった。セレニタが「エクステンドー」と叫んで、ラナがヒート・エクステンドを取り出してピグマリオンを刺そうとしたが、ピグマリオンはそれを避けてハンマーを飛ばして来た。ラナはそのハンマーを避けた。セレニタは「ラァイフル!」と叫んだ。するとラナは、ヒート・エクステンドを短くして食べると、舌がπの字型の物を掴んで出て来た。舌は、フォアグリップであるπのステムの一本を掴んでいて、他の一本のステムはグリップであった。そしてラナの右手がグリップを握った。そしてフォアグリップに付いていた照準器が、アーム、即ち砲身の先端を軸にして回転して上に行ってアセンダーのようになった。そして折りたたまれて曲がっていた砲身が、照準器の近くを軸にして、真っ直ぐになった。こうして、そのπの字型の物体は、ビーム・ライフル に変形した。ラナが引き金を引くと、ライフルは、トランスミューターで縮退水1-1-16を陽電子に変換して、ポジトロン・ビームとして射出し、そしてラナはピグマリオンを撃ち抜いた。

12 解説

 ラナのビーム・ライフルが、ポジトロン・ビームを出すのは、ゴッドマーズのゴッドファイヤーが、陽電子で出来ているのがモデルです。

13

 ある日、巨大な雪のボール が空中に現れた。それはそのまま全く動かなかった。学者達は「三年ほどで融けるだろう」と言った。そこで消防士達は、消火器の様な形をした火炎放射器 を持ち出して来て、雪のボールに向けて火を放ち始めた。セレニタは、テレビのニュースで、その様子を見ると、「レナクァホー!」と叫んで、崖から跳び降りた。するとレナクァホが飛んで来て、彼の下を通り過ぎて、セレニタは谷底に落ちた。そしてレナクァホは戻って来て彼の上に着陸した。セレニタは、レナクァホの下から這い出して、レナクァホに乗り込み、レナクァホは飛び立った。現場に着いた時、セレニタが「ラナー!」と叫ぶとレナクァホはウエボに変形して、ブストとガルバニと合体してラナになった。カエサルは「あの雪の玉はボレアスだ。今故障しているようだな。攻撃のし放題だ」と言った。セレニタは「ヒート・サーブル!」と叫んだ。すると、ラナの口から、舌がラナ・エクステンドーを持って飛び出して、ラナの手がそのエクステンドーを取ると、舌は口の中に引っ込んで、エクステンドーが延びて剣の形になって、刃の部分が発熱して光り始めて、ヒート・サーブルという武器になった。そしてセレニタは、思わずニヤッと笑って「サムライだ」と言うと、ラナを操作した。するとラナは、ヒート・サーブルを、日本の侍のチャンバラのように、両手で柄を持って、ボレアスを真っ二つに切った。

14

 ある日、大気圏上層部に火が現れて広がった。その火は下にある雲と水蒸気を水に変え始めた。すると火の下の雲は消滅して豪雨に変わった。その様子がテレビのニュースに出た時、カエサルは「あの火はエオスだ。我々が灌漑のために開発したロボットだ。海の水面が15メートル上昇するだろう。そしてエオスは水に弱いんだ」と言った。セレニタは「レナクァホー!」と叫んで崖から跳び降りた。するとレナクァホが飛んで来てセレニタを跳ね飛ばした。セレニタは放物線を描いて吹っ飛ばされて、その間レナクァホは前進し続けていた。そしてセレニタは操縦席の中に落ちた。そしてレナクァホがエオスの上に来た時、セレニタは「ラナー!」と叫んだ。するとレナクァホはウエボに変形してブストとカルバニと合体してラナになった。セレニタは「スーパー・アイフェックス!」と叫んだ。するとラナの口から、舌がπの字型の物体を持って飛び出して、ラナの右手がその物体を持つと、その物体は、ビーム・ライフルに変形した。それから舌が一旦引っ込んでから、円柱形の物体を持って飛び出して、ビーム・ライフルに取り付けた。その円柱は、縮退水のタンクであり、片方の底面の、四つの穴から空気を吸い込んで、縮退水に変換する。ラナが引き金を引くと、ビーム・ライフルの銃口から水が出て、エオスに穴を開けた。その時カエサルが「ラナは飛べないだろ」と言った。するとセレニタが「そんな事は分かっている!」と言った。同時にラナは落ち始め、ウエボとブストとガルバニに分離し、ウエボはレナクァホに変形して上昇し始めて、ブストとガルバニも後に続いて上昇した。そして再びエオスの上に来た時、ウエボに変形してブストとガルバニと合体してラナになった。そしてラナはスーパー・アイフェックスでエオスを撃って落ち始めた。すると円盤形の飛行物体がラナを支えた 。それはエンディミオンの飛行機のネヌファル であり、その形式番号はUF-163であった。UFとは、アンヴァリエイブル・ファイター(変形しない戦闘機)の略であった。そしてラナはネヌファルの上でエオスをスーパー・アイフェックスで撃ち始め、エオスは完全に消滅した。セレニタはエンディミオンに「装甲材質は何だ」と言った。するとエンディミオンは「ベータCチタン合金・サイアロン複合材だ。ベータCチタン合金は、チタン75パーセントとヴァナジウム8パーセントとクロム6パーセントとジルコニウム4パーセントとモリブデン4パーセントとアルミ3パーセントで出来ていて、引張強度は1440メガパスカルで、比重は一立方センチメートルあたり4.82グラムで、値段が安いんだ。そしてサイアロンは、セラミックの一種で、こちらも値段が安いんだ。君の父上は、若い時にこれを作ったんだが、あまりにも旧式なので、後にツァパルディアとローシャンを作ったんだ。こちらも同じ装甲材質だ」と言った。セレニタが「もっと良い素材は使わなかったのか」と言うと、エンディミオンは「量産機だからしょうがない」と言った。

14 解説

 ネヌファルとはスペイン語で「睡蓮」という意味です。そして、ベータCチタン合金・サイアロン複合材は、機動戦士ガンダムというアニメに登場する、ジムというロボットの装甲材質の、チタン合金・セラミック複合材がモデルです。UF-163の、163は、ぼくの身長です。それからスーパー・アイフェックスは、ガンダムの武器の、スーパー・ナパームがモデルです。

15

 ある日、空中に巨大な金魚鉢 が現れた。そしてその中には大きな魚がいた。それはアリオンであった。その時戦車部隊がアリオンを撃ったが、アリオンは全くびくともしなかった。そして、アリオンの中の魚が、目からレーザー光線を発射して、その戦車達を吹き飛ばした。生き残った兵士達が帰って、一部始終を報告すると、大勢の兵士達が来て、上空に向けて、ミサイルを発射した。するとミサイル達は、放物線を描いて、金魚鉢の中に飛び込んで、アリオンの中で爆発して、アリオンは内側から破裂して、吹き飛んだ。

 その頃、セレ二タは、そんな事件を知らずに、食事をしていた。彼の肩にはカエサルが乗っていた。セレ二タはカエサルに「ガンダムって、重水素とヘリウムⅢで動いているんだ。ラナも同じ方法で動いてるのかな」と言った。するとカエサルが、一応同じ事は出来るな。それにはトランスミューターの第二の機能を使うんだ。核子を人工的に組み替えるんだが、重水素一つとヘリウムⅢ一つを、水素一つとヘリウム一つと、2ピコ941・・・、いや、単位を揃えよう。2941.59フェムトジュールのエネルギーに変換するんだ。ラナは普段は、第四の機能で物質をエネルギーに変換してるんだ。陽子一つは150327.75フェムトジュールのエネルギーになって、電子一つは81.89フェムトジュールのエネルギーになって、中性子一つは150534.96フェムトジュールのエネルギーになるんだ。ラナはガンダムと同じ量の燃料から、255倍くらい沢山のエネルギーを取り出せるんだ。ラナには動力パイプが内蔵されていて、その動力パイプの中には、動脈管と静脈管が1本ずつあるんだけど、そのトランスミューターで作られたエネルギーは、動脈管の中にある酸素とネオンに与えられて、その酸素とネオンが、酸素8価陰イオンとネオン8価陽イオンに変わるんだ。出来上がった電離ガスは、動脈官の中を流れて、機体各所の、イオン・アクチュエーターに送られて、そのイオン・アクチュエーターは、電離ガスからエネルギーを取り出して動いて、エネルギーを取られた電離ガスは、普通の酸素とネオンになって、静脈官を通って、トランスミューターに戻るんだ」と言った。セレ二タは「普通の燃料よりどれくらい凄いのかな」と言った。するとカエサルが「ガンダムのエネルギー効率は、薪の1700万倍、石炭の1300万倍、ガソリンの800万倍くらいだ」と言った。セレニタは「ガンダムの形式番号はRX-78-2なんだけど、ラナにもそんな番号無いかな」と言った。するとカエサルが「君が作ったんだから、好きな番号を勝手につければいいだろう」と言った。するとセレニタは「何か参考になる事教えてくれないかな」と言った。するとカエサルは「君のお父さんも、カエルのロボットを作ってたんだ。名前はツァパルディアといって、駆動系は、ラナと同じイオン・アクチュエーター・システムだけど、電離ガスは、弗素9価陰イオンとネオン9価陽イオンが使われてたんだ。酸素を使った場合の、2倍のエネルギーが出るけど、猛毒なんだ。上半身がMB-77、下半身がMG-92、そしてコクピット・ブロックがGC-63なんだ。MBはメカニック・ブラッサートで、機械の籠手という意味で、MGはメカニック・グリーヴで、機械の脛当てという意味で、GCはグレート・キュイラスで、大きな胴鎧と言う意味だ。我々の故郷の星は、錫が豊富で、我々の先祖は、錫にアンチモンと、幾つかの成分を加えて、非常に硬い錫合金を発明したんだ。そして、鉄が作られる前は、その硬い錫で鎧を作っていて、強度が必要な部分には、銅にアンチモンと、幾つかの成分を加えた、硬い銅合金を使っていたんだ。そして鉄が作られるようになった後も、美しくないという理由で、鉄の鎧に、銅色と錫色の塗装がされていて、後には、新米の騎士の鎧は水色とオレンジ、一人前の騎士の鎧は水色と緑、ベテランの機の鎧は紺色と水色で彩色されるようになったんだ。ツァパルディアも、それらの色で塗られていたんだ」と言った。するとセレニタは「ブストはMB-78で、ガルバニはMG-93で、レナクァホはGC-64で決まりだ」と言った。

15 解説

 後半の、エネルギーと、形式番号の話は、日本語の漫画にはありません。エネルギーの話は第六話で、動力源や装甲材質の話を書きたした後で付け足しました。形式番号の話は、今売ってるプラモデルドで、ジムが、ガンダムと同様のAパーツとBパーツと、コア・ブロック型のコクピット・ブロックから出来てる事を知った時に付け足しました。薪は1キログラムが燃えると20.3メガジュールのエネルギーが出て、石炭は1キログラムが燃えると27.6メガジュールのエネルギーが出て、ガソリンは1キログラムが燃えると43.6メガジュールのエネルギーが出ます。そしてガンダムは1キログラムの重水素とヘリウムIIIから352, 038, 601.9メガジュールのエネルギーが出て、ラナは1キログラムの燃料から98, 875, 517, 873.7メガジュールのエネルギーが出ます。ゴッドマーズは反陽子エネルギーで動きますけど、インテークから空気を吸って、反陽子対消滅させる仕組みであれば、1キログラムの燃料から179, 751, 035, 747.4メガジュールのエネルギーが出る事になります。ちなみに反陽子は、1立方センチメートルあたり、309, 432, 826.687トンです。そして液体重水素は、1立方センチメートルあたり0.1415グラムで、液体ヘリウムIIIは、1立方センチメートルあたり0.0940グラムです。ラナの駆動系は、電離ガス・アクチュエーター・システムですけど、これは、機動戦士ガンダムに登場する、ザクというロボットの、動力パイプの中には流体パルスが流れているんですけど、この流体パルスがイオン化ガスであるという説に基づいた設定の盗用です。流体パルスは、液体である説もあります。

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 ある日、セレニタは車に轢かれた消火栓 を見た。カエサルは「犬が怪我をしている。可愛がってやれ」と言ったが、セレニタは「犬は嫌いだ!」と言って通り過ぎた。しばらくしてから辺りを見回したが、周りには誰もいなかった。ガムが顔と前足にくっついてて、取ろうとしている猫 を一匹見つけて「わははは猫がガムで遊んでるぞ」と言ってから引き返した。そして「もう死んじゃってればいいんだが」と不平を言うと、「ま、ぼくのおじいちゃんは牧師だったから、ぼくがてめえの葬式をしてやってもいいんだぜ」と言って消火栓を起こした。すると消火栓は動き始めた。そしてセレニタは思わず「まだ生きてるぞ!」と歓声をあげた。消火栓は彼の周りを跳ね回り始めた。それから彼は歩き始めた。すると消火栓が後について来た。セレニタは「ついて来るな!」と叫んで棒を取って振り上げると消火栓を追い払って走り始めた。彼は走り終ると歩き始めた。しばらくしてから、また消火栓がついて来て彼の回りで跳ね回り始めた。カエサルは「お前に懐いてるな」と言った。セレニタは「犬は嫌いだよ」と言って溜息をついた。しばらくしてから、セレニタとカエサルは食事を摂った。カエサルは、鼻先から尻までの長さが10センチほどのカエルなのだが、手足を人間のように変形させて、首を前方に曲げて、石に座って、両手でサンドイッチを持って食べていた。セレニタが「犬は何を食べるんだ」と言うと、カエサルは「犬は肉食だから、このサンドイッチに挟んでいるハムなら食べるだろう。だけどハム以外の部分は、消化出来ないからあげちゃ駄目だ」と言った。セレニタがサンドイッチからハムを抜いて落とすと、消火栓がハムに飛びついて食べ、セレニタは大笑いした。カエサルが「ハムは嫌いなのか」と言うと、セレニタは「ハムは好きだよ」と言った。そして彼はまたサンドイッチからハムを抜いて落とした。消火栓が、そのハムに飛びついて食べたので、セレニタはまた笑った。カエサルは「好きな食べ物を犬に取られてるんじゃないか」と言うと、セレニタは「ぼくが好きな食べ物を人も食べてたら何だか楽しくなるんだ」と言った。カエサルはそれを聞くと、少し考え込んでから、「私を作った人は、何を考えて私が人間と同じ物を食べるように作ったのか不思議だったんだ。私は水分子二つを、酸素分子一つとヘリウム一つに変換してエネルギーを取り出すので、水を飲んで酸素とヘリウムを吐くだけで良いのに、人間と同じ食べ物を食べなきゃいけないように出来てるんだ。だけど食事が何の役に立つのか、全く分からないんだ」と言った。セレニタは「家族や友達と一緒に食べるのは楽しいから、あんたを作った人も、一緒に食べる仲間が欲しかったんじゃないか」と言った。セレニタは、充分に食べると、チョコレートを出した。その時カエサルが「犬にチョコレートをあげちゃ駄目だ! カカオニ含まれるテオブロミンが犬にとっては毒なんだ!」と言った。するとセレニタは少し悲しそうな顔になって「チョコレートも好きなのに犬にあげちゃ駄目なのか」と言った。それからセレニタはカエサルに「色んな事を知ってるね」と言った。するとカエサルは「いやいや、君の先祖が本物のカエルを飼いたいと言った時に、私はカエルの飼い方や、何を食べるかを知らなかったので、役に立てなかったんだ」と言った。それから消火栓が突然走り始めた。その先に一人の少女がいた。カエサルは「彼女が飼い主らしい」と言った。

17

 ある日、石碑 が空中に現われた。それは単独で浮遊していたが、その下に時々水の柱 が現われては崩れ落ちて、下が水浸しになっていた。その時セレニタはテレビでニュースを見ていた。カエサルが「あの石碑はアトラスだ。我々が乾燥地帯の住民達のために開発したロボットだ」と言った。セレニタが「あれ何て書いてあるんだ」と言うと、カエサルが「渇く者は、価無しに飲んでよい、と書いてある」と言った。セレニタは「レナクァホー!」と叫んで崖から跳び降りた。するとレナクァホが飛んで来てハッチを開くと彼の下で減速した。セレニタは操縦席の上に着地した。それと同時にハッチが閉じたので、椅子の上に立っていたセレニタはハッチの裏側に頭をぶつけた。レナクァホが、アトラスがいる場所まで来ると、セレニタが「ラナー!」と叫んで、レナクァホはウエボに変形して、ブストとガルバニと合体してラナになった。セレニタは「ラァーイフル!」と叫んだ。するとラナが口からπの字型の物体を出して、それが変形してライフルになった。ラナはアトラスを撃ったが、アトラスはビームを避けた。カエサルが「距離が遠いんで、ビームの軌跡が読みやすいんだ」と言った。その時ネヌファルが飛んで来て、エンディミオンが「俺に乗れ」と言った。ラナがネヌファルに乗ると、ネヌファルはアトラスに向かって飛び始めた。ラナがアトラスを撃とうとした時、エンディミオンが「待て! アトラスには仲間が乗ってるかも知れない」と言った。それからネヌファルがミサイルでアトラスを撃った。するとアトラスは半壊して操縦席が剥き出しになった。すると河童が操縦席に座っていた。エンディミオンが「奴は仲間ではない」と言った。そしてラナはアトラスを撃った。

 

 セレニタは、ネヌファルの操縦席で、ネヌファルの設計図を見てはしゃいでいた。操縦方法は、二つのペダルで左右を向くのは、レナクァホと同じであったが、操縦桿とスロットルの使い方が違っていた。レナクァホは、操縦桿を前後に倒すと上下を向いて、左右に倒すと左右に傾くが、ネヌファルの操縦桿は、倒した方向に、機体が水平方向に、滑るように移動するようになっていた。その際、機内の重力が床を向くように、機体が自動で傾くようになっていた。そしてスロットルは、レナクァホの場合は、前進しか出来なくて、前に押すと、正面に進むスピードが速くなるようになっていたが、ネヌファルの場合は、前に押すと上昇して、後ろに引くと降下するようになっていた。

 

 その時、外では、エンディミオンカエサルに言った。

 「敵は、俺達や地球人と同じ姿だろう。するとあの河童みたいな奴は、被征服民が、敵に働かされていただけじゃないのか。アトラスは元々我々が灌漑のために作った機体なんだし、ある意味では、我々の仲間だったのではないのか」と。

 するとカエサルは、「倒してしまってから言ってもしょうがないじゃないか。まあ、被征服者が、敵に無理矢理働かされていたのを、君が、本意ではない仕事から解放したのだと思うようにすれば、罪の意識は薄れるだろう」と言った。その時、そこにセレニタが走って来て、カエサルに「飛行機とヘリコプターを合体させた乗り物ってあるの」と言った。するとカエサルは「ティルトローター機だな。飛行機と同じような形で、離着陸時は翼のプロペラを上に向けてて垂直に動いて、飛ぶ時はプロペラを前に向けて普通の飛行機と同じように飛ぶんだ」と言った。セレニタが「どうやって操縦するの」と聞いたら、カエサルは「離着陸時はネヌファルと同じヘリコプター・モードで、飛行時はレナクァホと同じエアプレイン・モードで、スロットルに、エアプレイン・モードとヘリコプター・モードを切り替えるスイッチがあるんだ」と言った。その後、セレニタは、レナクァホのスロットルを改造して、エアプレイン・モードとヘリコプター・モードを切り替えられるようにした。

 

17 解説

 アトラスは日本語版には登場しません。アトラスのモデルはイスラエルにあった石碑で、実際には、アラビア語ヘブライ語と英語で「海抜」と書いてます。2018年の秋に、会社の同僚が、ヘリコプターの操縦の仕方を熱く語っていたので、ネヌファルの操縦の仕方を書き足しました。

 

18

 ある夜、天文学者のアルベルシアノは、プレイアデス星団が赤くなったのではなく、その方向から赤い彗星が接近して来ているという事に気が付いた。そして言った。「あれは火の赤さではない。血の赤さだ。自然では有り得ないスペクトルだ。人工の天体かも知れないが、あれ程巨大な物体は、地球上の技術では到底作る事が出来ない」

 翌朝、セレニタは洗濯をした。それから「レナクァホー!」と叫んで崖から跳び降りた。するとレナクァホが飛んで来てハッチを開いて、彼の下で減速した。そしてセレニタは操縦席の中に着地すると「ラナー!」と叫んだ。するとレナクァホはウエボに変形して、ブストとガルバニと合体してラナになった。セレニタはラナに綾取りをさせた。そしてラナのハッチが開くと、操縦席 が迫り出して吊り下がり始めた。セレニタは椅子から跳び降りて着地すると、吊り下がって来た操縦席の下敷きになった。彼は椅子の下から這い出して、洗濯物を干した。その時空中に巨大な貝 が現れた。貝は空中を浮遊しながら、家や車や、その他の物の上に、水を吹き出し始めた。その時セレニタが操縦席に戻り、操縦室が吊り上がって、ラナの胴の中に引っ込むと、ハッチが閉じた。カエサルが「あの貝はトリトンだ。我々が畑に水を撒くために開発したロボットだ。あの殻は固いので中身を攻撃しないと駄目だ」と言った。セレニタが「バルカァーン!」と叫んで、ラナがバルカン砲を撃つと、同時にトリトンは殻を閉じて、全くびくともしなかった。トリトンは殻を開いてラナに水をかけ始めた。ラナは走って逃げると洗濯物を、離れた場所の岩の上に置いてから振り返った。そしてセレニタが「ヒート・サーブル!」と叫んで、ラナがエクステンドを取り出してそれがヒート・サーブルに変形すると、トリトンに跳びかかって切ろうとしたが、トリトンは殻を閉じた。そしてトリトンは再び殻を開いてラナに水をかけようとした。ラナはまた走って逃げると、ジャンプしてトリトンの上に乗った。そしてセレニタは「フルーレ!」と叫んだ。すると、ヒート・サーブルの刃が冷えて、先端の穴から陽電子を噴き出し始めて、光の塊を形成して、ポジトロン・フルーレになった。それはヒート・サーブルのような、ただの熱い棒とは違って、陽電子が対象物の融点とは無関係に、対消滅を起こしてエネルギーに変わるので、ヒート・サーブル以上の威力があった。ラナはポジトロン・フルーレを槍のようにトリトンに突き刺して穴を開けて、別の場所にも刺して穴を開けた。するとカエサルが「点よりも線だ」と言ったので、ラナはポジトロン・フルーレを突き刺したままで歩いて、トリトンの殻を切り始めた。するとトリトンが宙返りをしたので、ラナは地上に落ちた。その時、ポジトロン・フルーレが無くなったので、セレニタは「レッキング・ガン!」と叫んだ。するとラナが口を開いて、舌がTの字のステムの先端に、棘付き鉄球を付けたような物体を持って出て、ラナがTの字の、片方のアームを掴んだ。ラナが掴んだアームはグリップであり、もう片方のアームは照準器であった。レッキング・ガンのの鉄球は、18個の球面正方形と、8個の球面正三角形から出来ていた。一辺の長さは41度52分55.34秒であり、球面正方形の角は98度25分15.82秒であり、球面正三角形の角は64度44分12.57秒であった。そして、それが斜方立方八面体であった場合に頂点となる部分に23個の棘と、Tの字のステムが付いていた。そして正方形の中心となる部分には18個のロケットが付いていて、正三角形の中心となる部分に8個のカメラが付いていた。それはカメラが敵を見つけた時に、敵と反対側のロケットを噴射させて、敵目掛けて飛ぶ仕組みであった。ラナはトリトンに照準を合わせて、レッキング・ガンを撃った。すると鉄球が、Tの字から外れて、接合部から鎖を出しながら、ロケットを噴射してトリトン目掛けて飛んで全速力で当たった。しかしトリトンにはダメージが無かった。その時ネヌファルが飛んで来て、トリトンに突っ込んだ。トリトンは急いで殻を閉じようとしたが、ネヌファルが殻に挟まった。そしてエンディミオンが「ネヌファルごと撃て! あの赤い彗星は進路上の星をことごとく征服していたんだ! 9年前にも我々の故郷のプレイアデス星団を滅ぼし、そして今も地球を侵略しようとしている!」と叫ぶとネヌファルから跳び降りた。そしてセレニタはラナに、ネヌファルをポジトロン・ビーム・ライフルで撃たせた。するとネヌファルが爆発し、トリトンは燃え上がって地上に落ちた。

 カエサルは「敵が強くなっているようだ。ラナをもっと武装させた方が良い」と言った。そこでセレニタは、ラナ用の鎧の設計図を描いた。するとカエサルが「胴鎧のデザイン が難し過ぎて、強度が心配だ」と言った。そしてセレニタは、胴鎧をデザインし直して、それらを作った。その鎧は、オレンジのパーツと、白いパーツと、白と黒の縞模様のパーツがあったので、カエサルは、完成した鎧を見て「まるでカブトシロアゴガエルみたいだな」と言った。

18 解説

 ポジトロン・フルーレは、ゴッドマーズの、謎の武器がモデルです。放映当時に売ってた本には、7話でコールガッチを倒す時に、光るハンマーで叩き壊したと書いてあったので、ぼく自身は、その武器を見た事が無かったけど、勝手に想像で、真似をして書きました。後に、DVDを買った時は、7話でも、普段通りに、マーズフラッシュという剣を使ってましたけど、剣の先が光を反射して光っている絵でしたので、ファンでもない会社員が、やっつけ仕事でアニメを見て本を書いたという事で、納得しました。日本語の漫画では、この回でエンディミオンが爆死してしまうにも関わらず、なぜかこの後も生きてて登場します。それで英訳する際に、「ネヌファルから跳び降りた」という文を付け加えました。この回の最後の、ラナの鎧は、日本語の漫画には出ません。フルアーマーガンダムの真似をして書き足しました。最初に描いた鎧のデザインは、ゴッドマーズがモデルでしたけど、形が複雑で、部品の数も多過ぎましたので、部品の数を減らしてデザインし直しましたけど、その時、カエルの図鑑で、鎧に似た姿のカエルを探して、カブトシロアゴガエルを見つけて、それをモデルにしました。

19

 ある日、巨大なコモントルペド型の飛行物体が現れた。コモントルペドとは、シビレエイの仲間の生物であるが、その物体は、本物のコモントルペドとは違っていて、丸く膨らんでいた。そしてそれは、額に、カエルの頭蓋骨のようなオーナメントが付いていた。その名はギガントルペドであった。ギガントルペドは、口がビーム砲で、鰓穴がインテークであった。ギガントルペドは、地球の戦車や戦闘機を撃ち落した。そこでセレニタは「レナクァホー!」と叫んで崖から跳び降りた。するとレナクァホが飛んで来てセレニタを跳ね飛ばした。そしてセレニタは紐をレナクァホに向けて投げた。紐はレナクァホに巻き付くと、ピンと貼ってセレニタを引っ張った。セレニタは引っ張られて飛んで、操縦席の中に落ちた。レナクァホはギガントルペドに向けてミサイルを発射したが、ダメージは無かった。ギガントルペドは、口からビームを発射して、レナクァホはそれを避けた。セレニタが「ラナー!」と叫ぶと、レラクァホはウエボに変形して、ブストとガルバニと合体してラナになった。セレニタは「フルーレ!」と叫んだ。するとラナが口を開いて、舌がラナ・エクステンドーを持って口から出て、ラナの手にそのエクステンド棒を手渡して、口の中に引っ込んだ。そしてエクステンドーが延びて、先端の穴から陽電子を噴き出して、光の玉を形成してポジトロン・フルーレになった。カエサルが「あの敵は大きいから切った方が良い」と言った。するとセレニタは「ヒート・サーブル!」と叫んだ。すると先端からの陽電子の噴出が止まって、光の玉が消えると、刃が発熱して光って、ヒート・サーブルになった。そこでラナはヒート・サーブルを両手で持ってジャンプして、ギガントルペドに飛び掛って真っ二つに切った。二つに切られたギガントルペドの中では、一体の、カエルのロボットが座っていた。額の、カエルの頭蓋骨に似たオーナメントは、そのロボットの頭部であった。そのロボットは、ギガントルーパーという名前のラナであり、全身がオレンジで、カエルの骨に似た形のプロテクターを着けていた。目は真っ赤であり、腹部の中央には、赤いコクピットハッチがあって、その両隣りには、ピンク色のビーム発射口があった。ギガントルーパーは立ち上がると、ギガントルペドの外に飛び出した。ギガントルーパーは、手足が同じ形で、肘及び膝から生えた可動する棒に、オタマジャクシ型の推進装置があり、指先からビームを発射した。背中からも、二本の可動する棒が生えていて、オタマジャクシ型の推進装置が付いていた。そして鼻の穴もビーム砲であり、首の切断面の周囲に、六つのロケットがあった。ギガントルーパーは、頭部と胴体と四肢の、六つのパーツに分かれて飛んで、全方向から、ラナに向けてビームを発射した。ラナは空中では動けないので、セレニタは「武装ーっ! カブトシロアゴーーー!」と叫んだ。すると鎧のパーツが飛んで来て、ラナに装着されて、鎧を着たラナ 、即ちラナ・コン・アルマドゥラになった。ラナ・コン・アルマドゥラは、鎧に付いているロケットを噴射して、空中で、六つに分離したギガントルーパーと戦い始めた。カエサルは、ギガントルーパーの頭部が、ビームを四回撃ったら胴体と合体してから再び分離していて、手足はビームを二回撃ったら胴体に合体してから、再び分離している事に気が付いた。そして「あれは我々が開発したスケルピオンを改造した機体だ。頭部が次にビームを発射したら、胴体と合体するはずだ」と言った。その後、カエサルが言った通りに、頭部がビームを発射してから、胴体の所に戻り始めた。そして頭と胴体が合体した瞬間に、ラナ・コン・アルマドゥラは、ギガントルーパーを狙い撃ちにして倒した。当時に、手足もコントロールが無くなって、落ちて行った。

  それから、巨大な風呂桶型ロボット が空中に現れた。それはアフロディーテという名であった。操縦士 は裸であり、操縦席も風呂桶の形をしていた。操縦士は「9年前、我々はプレイアデス星団を征服出来なかった。しかし地球は今我々の支配下になるだろう。我々はプレイアデス人の傭兵とは違う」と言った。アフロディーテはシャワーからお湯を吹き出した。カエサルがセレニタに「あの風呂桶はアフロディーテだ。浴槽を空にしたら炉が過熱して爆発するだろう」と言った。ラナ・コン・アルマドゥラはアフロディーテに近づこうとした。その時アフロディーテがお湯を発射した。ラナ・コン・アルマドゥラはお湯を避けた。アフロディーテパイロットは「海も無く雨も降らない星で産まれたカエルはまだ水が嫌いか。カエルの癖にわははは」と言って笑った。ラナ・コン・アルマドゥラは再びアフロディーテに近づこうとした。アフロディーテはまたお湯を発射した。ラナ・コン・アルマドゥラはそれを避けると、飛んで逃げた。アフロディーテパイロットは「はははこの地球という星は雨が降るらしいぞ。悪い星に来たな」と言った。ラナ・コン・アルマドゥラはアフロディーテに接近しようとしたが、アフロディーテがシャワーをラナ・コン・アルマドゥラにかけた。すると水圧でハッチが開いたが、セレニタは急いでハッチを閉じた。アフロディーテの操縦士はセレニタの銀のサークレットを見ると「奴はプレイアデス星団の王子だ! プレイアデスの王は我々を騙し討ちにした! 王は星を引き渡し、我々が着陸したと同時に星を爆発させた! そして我々は大きな被害を被ったんだ!」と叫んだ。セレニタが「バルカーン!」と叫ぶと、ラナ・コン・アルマドゥラはバルカン砲を発射して、アフロディーテの浴槽に無数の穴を開けた。そしてその穴からお湯がこぼれ始めた。すると炉が過熱して、操縦席では警報音が鳴り始めた。操縦士は「風呂の空焚きはNGだ!」と叫んだ。そしてアフロディーテはラナ・コン・アルマドゥラに体当たりをして転ばすと、その上で弾み始めた。そしてラナ・コン・アルマドゥラの鎧は皆壊れた。アフロディーテの操縦士は「私が爆死するのが先か、奴が圧死するのが先か」と叫んだ。そしてアフロディーテは空中で爆発した。

19 解説

 今回出したギガントルペドとギガントルーパーは、アルヴァトーレとアルヴァアロンがモデルです。ただ、アルヴァアロンは余り個性が無いので、ジオングの真似をしてバラバラにしました。トルペドとは、一人乗りの小型の潜水艦の事だと思っていたけど、辞書で綴りを調べた時に、実は「魚雷」や「エイ」の事だと知って、ギガントルペドは、シビレエイをモデルにしました。ギガントルーパーは、スケルピョンがモデルです。日本語の漫画では、風呂男はどうやってセレニタのサークレットが見えたのかが不明ですので、英訳する際にハッチが水圧で開くという文を書き足しました。日本語の漫画を描いた時、風呂や温泉の神様が見つからなかったので、アフロディーテをもじってオフロディーテにしましたが、英訳する時に、美の女神なら風呂は好きだろうと思ってアフロディーテに変えました。

20

 カエサルは「ラナを武装するよりも、ラナ自体を強くした方が良い」と言った。そして、セレニタは、ラナを修理し始めた。電離ガスアクチュエーターの部品は、地球上では売ってないので、関節駆動系は、電磁石アクチュエーターに替えた。そして動力パイプも全てコードに替えた。コードはパイプより細いので、大きな機械を入れられるようになって、ラナのスピードは三倍にアップした。こうして、ラナ・レパラダ が完成した。ラナ・レパラダは、鼻の穴にバルカン砲を装備する事を、最初から想定して作っていたので、吻がラナよりも前に突き出ていて、ラナのような、黒い板では補強はされていなかった。脇腹は、最初はパイプが外にはみ出してたラナとは違って、最初から表面に穴が無かったので、黒い板で蓋をしてなかった。肘と膝は、ラナのような電離ガスアクチュエーターではなくて電磁石アクチュエーターだったので、光るレンズのような色ではなく、金属の板のような色であった。そして、足首をガードするアンクル・アーマーは、脛の外装に付いた蝶番で動くようになっていた。セレニタは「行け ! ゴキブリ共 !」と叫んだ。すると足元に置いてたドールハウスから、沢山の、ゴキブリのような形の、小さいロボット達がゾロゾロと出て、操縦席のあちこちにある隙間に入って、ラナ・レパラダの機体の中に行って、破損箇所を探して修理し始めた。そのドールハウスは、水平方向は縦横共に、12分の1スケールであったが、垂直方向だけが48分の1スケールであるなど、かなり潰れた形であった。カエサルは「破骨・骨芽細胞などと、御大層な名前を付けたのに、難しいので、結局はゴキブリにしちゃったな」と言った。モニターでは、ラナ・レパラダの破損箇所が光って見えていたが、その光が少しずつ消えていった。

 その時カエサルは、山椒魚戦争について語り始めた。セレニタの祖父が王であった時に、テロリストが、アンドリアスというロボットに乗って反乱を起こした。アンドリアスは、イモリが二本脚で立って直立したような姿であった。地上で走る時は、アルファベットのTのような姿勢であり、ステムは脚部、右のアームは尻尾、左のアームは頭部と胴体であった。地上で歩く時は、胴体を上に起こして、首を曲げて頭部を前方に向けるので、アルファベットのFのステムが胴体と脚部、バーが尻尾、アームが左にずれて逆向きになったのが頭部という姿勢であった。そして水中で移動する時は、首を真っ直ぐにして、胴体と頭部を前方に向けて、脚部を後方に向けるので、ハイフンの右半分が尻尾と脚部、左半分が頭部と胴体という姿勢であった。二足歩行をするロボットは、当時としては画期的であったが、オートバランサーの性能が不十分であったので、長い尻尾でバランスをとっていた。それらは背中に二基のポンプジェットを付けていて、運河の中で潜水して、高速で移動していたので神出鬼没であり、10数メートルの身長しか無かったにもかかわらず、陸上でも、小回りが利くので、王朝の主戦力であった地上戦艦よりも強力であった。王朝は、最初は押されていたが、鹵獲したアンドリアスの頭の上に、高性能のオートバランサーを搭載したオタマジャクシ型のパーツを付けて、必要が無くなった尻尾を取り外して、アニューリー・ディプロセファルスと名付け、それはやがて、単にアニューリーと呼ばれるようになった。それは、頭部がオタマジャクシで、胸がカエルの顔のような姿であった。そしてアニューリーを複製して量産し始め、騎士達はアニューリーに乗ると、アンドリアスと互角に戦って押し返し始めた。そんな時に、まだ少年であったセレニタの父は、独自の設計でラナを完成させると、そのラナに乗って、アンドリアスと戦い始めた。ラナは、カエルの顔をした人間のような姿であった。ラナはアンドリアスよりも強力だったので、騎士達も、アニューリーから、量産されたラナに乗り換えて戦い始めた。ラナは陸戦専門であったので、アニューリー達は、アニューリーIIに改装された。アニューリーIIは、身体各所に、オタマジャクシ型の飛行ユニットが配置されて、空を飛ぶことが可能であったが、潜水が出来なくなったので、王朝製のアンドリアスも作られるようになった。こうして、ラナは地上でアンドリアスと戦い、空中からアニューリーIIが支援し、運河では王朝製アンドリアスが敵のアンドリアスと戦って、テロリストの反乱を、完全に鎮圧した。セレニタが、アンドリアスとアニューリーがどんなロボットだったかを聞くと、カエサルは「アンドリアスはイモリが二本足で立ったような格好で、量産機は黒と赤で塗り分けられていたけど、一機だけ全身がピンクで、左右の頬に三本ずつの、ラジエーターを付けて、体内に三基のジェネレーターを搭載した機体が、凄い速さで走り回っていたんだ。それからアニューリーは、顔がオタマジャクシで胸がカエルの顔で、ラナは君のラナと大体同じ格好だったんだ」と言った。

 全ての破損箇所が修理されてしまうと、セレニタは「ゴキブリ共! 戻れ!」と言った。するとゴキブリ型のロボット達は帰って来て、潰れたドールハウスに入って行った。そしてセレニタとカエサルはラナ・レパラダから降りて、セレニタはペンダントのスイッチを押した。するとラナ・レパラダは上半身と下半身が分離して、中からウエボが出てレナクァホに変形すると、静止衛星軌道へと帰って行き、上半身と下半身もそれに続いて帰って行った。

 

 そんな時、台風が発生した。それは大気の動きを無視して動いていた。その時セレニタとカエサルはビルの屋上にテントを張って中に入ると、テレビを見始めた。テレビでは天気予報が放送されていて、大気の動きを無視して動く台風の話をしていた。カエサルは「あれはジュピターという、人工台風だ。渦の中心部に本体がある」と言った。そこでセレニタは「レナクァホー!」と叫んで窓から跳び降りた。するとレナクァホが飛んで来て彼を跳ね飛ばした。セレニタはビルに叩きつけられて跳ね返って、操縦席に突っ込んだ。そしてレナクァホはジュピターのいる場所へ飛び立った。レナクァホがジュピターの近くに来ると、ジュピターはレナクァホに近づき始めた。セレニタはジュピターの本体を探し始めたが、見つけられなかった。ジュピターは雹を降らせて雷を落とし、嵐を吹かせ始めた。そしてレナクァホは、あちこちの隙間から水が入って来た。その時カエサルが「海に潜れ」と言った。セレニタは「レナクァワは水に入れないよ」と言ったが、カエサルは「10分以内なら大丈夫」だと言った。そしてレナクァホは水の中に入った。なぜなら雹が当たるからである。すると嵐と雹が止んだ。セレニタは水面越しにジュピターの本体を探し始めた。その時レナクァホはあちこちの隙間から浸水していた。カエサルは「急げ! レナクァホが沈むぞ!」と言った。しかしセレニタは本体を見つけられないでいた。カエサルは何かを思い出して「台風は、北半球では反時計回りに回り、南半球では時計回りに回るが、赤道では回転出来ずに消えるんだ。浮上して南に行け」と言った。そしてレナクァホは海面に浮上すると、南に向かって飛び立った。ジュピターは再び嵐と共にレナクァホを追った。そして巨大な氷柱が降り始めた。そしてレナクァホは、当たりそうな氷柱をミサイルで撃ち落とし始めた。セレニタは「巨大氷柱なんて天気があるか!」と罵って、カエサルが「人工の台風だ」と言った。やがてレナクァホは赤道を通り過ぎた。そしてジュピターも赤道に来た。その時、ジュピターを形成していた雲が消えて空が晴れた。セレ二タは、振り返って見上げると「あそこが渦の中心だな」と言って、レナクァホを操作しようとした。するとカエサルが「もはや撃つ必要は無い」と言った。雲はどんどん消えていって、操縦士と操縦席 だけが残ると、落ちて行った。ジュピターが消滅した後、レナクァホは島に着陸して、セレニタは「水にも入れなくっちゃな」と言って、レナクァホを修理し始めた。そしてセレニタは南十字星を見た。それから大マゼラン銀河を見て「イスカンダル星があそこにあるんだな」と言った。カエサルは「そりゃ漫画だろ!」と言った。

20 解説

 山椒魚戦争の件は、2018年の4月に書き足しました。

21

 ある日、赤い彗星が地球の近くで停止した。そして、フローテイター 軍団が、空中に現れた。フローテイターは、アニューリーIIの改良型であり、頭部がオタマジャクシで、胸がカエルの顔のようであり、地球のアカアシコオイガエルが直立したような姿であった。その形式番号は、CW-402(p)であった。CWとは、鹵獲兵器(Captured Weapons)という意味であり、(p)とは、プレイアデス星団製という意味であった。フローテイターは、量産されていて、無人で動いていた。そしてそれらは、大き過ぎる敵や、強過ぎる敵に、特攻して自爆するようにプログラムされていた。フローテイターは、町を襲って、火の海に変えた。その時セレニタは、テレビのニュースを見ると「テート・ド・テタールだ」と言って笑ってから、外に出ると「レナクァホー!」と叫んで崖から跳び降りた。するとレナクァホが飛んで来てセレニタを収容すると、燃える町へ飛び立った。テート・ド・テタールとは、フランス語で、オタマジャクシ頭という意味であった。そこに到着するとセレニタは「ラナー!」と叫んだ。するとレナクァホはウエボに変形して、ブストとガルバニと合体してラナ・レパラダ になった。セレニタは「新しいラナは雨の日でも戦えるぞ」と言って、カエサルが「天気が良いのに何を言ってるか!」と言った。ラナ・レパラダはフローテイター軍団と戦い始めた。敵の数が多いので、セレニタは目に入ったフローテイターを片っ端からロックオンして、ラナ・レパラダは自動で、ロックオンされたフローテイターを撃った。カエサルが「あの敵は元々我々が開発したロボットだ。胸と腹の境目の、中心から少し左が急所だ」と言った。そこでセレニタは、カエサルが言った場所を、手で操作して撃った。するとその後は、ラナ・レパラダが自動でそこを撃つようになった。

 

 そして、最後のフローテイターを倒した時、また違う種類の、カエルのロボットが一体立っていた。それはボンビーナという名前のラナで、ヨーロッパスズガエルが直立しような姿であった。その形式番号は、CW-720(p)であった。ラナ・レパラダはボンビーナと戦い始めた。ラナ・レパラダがビームライフルを撃つと、ボンビーナはビームを避けた。ボンビーナがビームライフルでラナ・レパラダを撃つと、スピードが三倍にアップしていたラナ・レパラダはビームを避けた。ラナ・レパラダとボンビーナは、互いにビームライフルで撃ち合っていたが、両者とも、互いの敵のビームを避けていて、ダメージを受けなかった。ボンビーナが後ろを向くと、目が頭の中に引っ込んで、頭部が上を向いて、そのまま後ろに倒れて、新しく頭になった下顎から、新しい目が飛び出して、親指が、掌底のレールの上を動いて反対側に移動して、右手が左手、左手が右手の形になって、両脚は付け根から回転して後ろを向いて、両肩から生えてるロケット・ブロックは、回転して、新しい背中の方に行った。ボンビーナはビームライフルを捨てると、真っ直ぐにラナ・レパラダに向かって来た。ラナ・レパラダがボンビーナを撃つと、ビームがボンビーナの手前で拡散して、後ろに流れて行った。そしてボンビーナの指が発熱して光り始めて、ヒート・ナイフになった。ボンビーナがラナ・レパラダに、空手チョップで襲い掛かった。ラナ・レパラダがそれを避けると、後ろの岩が切れた。するとカエサルが「奴はバトルロイヤルモードからシングルマッチモードに切り替えたぞ! 今、奴の背中は無防備だ!」と言った。セレニタはラナ・レパラダを操作して、逃げ始めた。ラナ・レパラダが山の近くに来ると、ボンビーナも追って来た。ラナ・レパラダは振り向いて、山を撃った。すると山が崩れて、岩がボンビーナの背中に当たった。ラナ・レパラダはその隙を突いて、ボンビーナに飛び掛って殴り始めた。その時ボンビーナが上半身と下半身に分かれて、腹部の中から、オタマジャクシに似た、レウコメラスという飛行機が飛び出して、飛び始めた。カエサルはレウコメラスを見て「あれは我々のバザードだ! 奴らが鹵獲したんだ!」と叫んだ。

 

 レウコメラス即ち鹵獲バザードは、尻尾を縮めて根元から折り畳んで、レナクァホのように変形して、別のロボットの上半身と下半身と合体して、デンドロバテスという、キオビヤドクガエルが直立したような姿のラナになった。その形式番号は、CW-524(p)であった。デンドロバテスのバックパックは、本物のキオビヤドクガエルの後ろ足を切って、代わりにロケットを付けたような形をしていた。バックパックが、口を開いて、ヒート・レイピアを出すと、カエルの手がそれを取って、デンドロバテスの右手に手渡した。そしてヒート・レイピアの刃が発熱して光った。セレニタは「フルーレ!」と叫んだ。するとラナ・レパラダの口から、舌がラナ・エクステンドーという棒を持って出て、その棒をラナ・レパラダの右手に手渡すと、棒が伸びて剣の形になって、先端の穴から陽電子を噴き出して、光の玉を作った。ラナ・レパラダとデンドロバテスは、それぞれの光る剣を持って、フェンシングで戦い始めた。両者はしばらくの間、戦い続けていた。デンドロバテスの剣がラナ・レパラダの左肩の外装を突いて飛ばしたが、ラナ・レパラダの剣が、デンドロバテスの額に当たって、外装を一部壊したので、頭の骨が一部見えるようになった。カエサルが「この敵はオルドアだ。手と足が改造されてるので、すぐに気が付かなかった」と言った。するとセレニタは驚いて「お父さんが最初に作ったラナじゃないか!」と言った。そしてラナ・レパラダは踵を返すと、逃げ始めた。セレニタは、オルドアの設計図を思い出した。オルドアは、前のラナと殆ど同じ作り方で、電離ガスアクチュエーター駆動であり、ラナが酸素八価陰イオンとネオン八価陽イオンを使っていたのに対して、オルドアは弗素九価陰イオンとネオン九価陽イオンを使っていたので、ラナの2倍のパワーがあった。そしてラナ・レパラダは駆動系を、電離ガスアクチュエーターから電磁石アクチュエーターに換えたので、ラナの3倍のスピードがあった。本来のオルドアは、手は本物のカエルと同様に四本指であり、薬指が一番長くて、小指と中指はその次に長くて、人差し指が一番短くて、親指は無く、足も本物のカエルと同様に五本指で、薬指が一番長くて、小指と中指がその次に長くて、人差し指は小指と中指より短くて、親指が一番短かったが、鹵獲オルドアの手は人間の手と同じ形であり、足は、靴の形であった。セレニタは「2倍のパワーと3倍のスピードはどっちが強いんだ」と言うと、ラナ・レパラダが立ち止まって振り向いて、追って来たデンドロバテス即ち鹵獲オルドアとプロレスを始めた。そしてその内、どちらとも無く殴り合いを始めた。鹵獲オルドアのパンチで、ラナ・レパラダが後ろに倒れそうになったが、バックパックのロケットを噴射させて前進して殴り返した。すると鹵獲オルドアが後ろに倒れそうになって、バックパックのロケットを噴射させて前進して殴り返した。そして両者とも宙に浮いたまま、激しく殴り合った。ラナ・レパラダはロケットの燃料に、液体水素と液体酸素を使っていたのに対して、鹵獲オルドアは、液体水素と液体弗素を使っていたので、推力が三倍であった。鹵獲オルドアのパンチで、ラナ・レパラダが飛ばされて、更に鹵獲オルドアが飛んで追い付いて打って叩き飛ばして、建物に当たって落ちた場所に、鹵獲オルドアが船を落とした。弗素と水素が燃焼して出来る弗化水素は、有毒なので、鹵獲オルドアが上空を飛んだ後、地上にいる人達は咳をしていた。ラナ・レパラダは、船の外装をパンチでぶち破ると、船の中を通って、鹵獲オルドアがいる場所の外装をパンチで内側から破って、外に出て不意打ちを食らわせて、何発か殴り合った後、また殴り飛ばされて、落ちた場所で大型戦車を持ち上げて、鹵獲オルドアに投げつけた。鹵獲オルドアは戦車を殴って壊し始めた。ラナ・レパラダが、白金・イットリウム含有ハイパーチタン合金・超々ジュラルミン合金クラッド材で出来ているのに対して、鹵獲オルドアは、旧式のウルトラハイテン鋼・超硬スチレン樹脂合板で出来てたので、鹵獲オルドアの手が砕けて、脱出しようとしたが、間に合わず、戦車に押し潰された。そしてセレニタは「お父さんのラナは、ぼくのラナより強かったよ」と言った。

 

 その時燭台 が空中に現れた。燭台はロウソクの火からレーザー光線を発射して、町を火の海に変えた。カエサルは「あの燭台は赤い彗星の戦闘機だ。あれは手強いぞ」と言った。セレニタは「ラァーイフル!」と叫んだ。するとラナ・レパラダが口からπの字型の物体を出し、それがライフルに変形した。ラナ・レパラダはビーム・ライフルを発射した。同時に燭台がロウソクの火からレーザー光線を発射した。そして二つのビームが互いにぶつかり合ってはじけた。燭台はまた別のロウソクの火からレーザー光線を発射して、ラナ・レパラダの左腕を吹き飛ばした。燭台は続けて別のロウソクの火レーザーを発射してラナ・レパラダの頭部を吹き飛ばした。燭台は二本のロウソクの火から二発のレーザー光線を発射した。その時盾が飛んで来て、ラナ・レパラダの前で地面に刺さって立ち、レーザー光線を防いだ。その時、エンディミオンが乗ったツァパルディアが、ローシャンに乗って飛んで来た。ツァパルディアはカエルが鎧を着たような姿のラナであり、ローシャンは、オタマジャクシに馬の脚が生えたような形であった。ツァパルディアはローシャンから跳び降りると、ラナ・レパラダの前に立った。そしてローシャンは燭台に向かって飛び続けたが、燭台はビームでローシャンを撃ち落した。その時カエサルが「反陽子ハンドキャノンを使え」と言った。するとセレニタは「反陽子ハンドキャノーーーン!」と叫んだ。するとラナ・レパラダの、首の付け根であった穴から、舌と呼ばれるマジックハンドが、赤い筒を持って出た。その筒は、両端の縁と、照準と、弾頭と、安全装置が白であった。ラナ・レパラダが、右手に持ってた陽電子ライフルを落として、ハンドキャノンを取って、安全装置を叩くと、弾頭のような形の栓が取れた。そしてそれを燭台に向けて狙いをつけた。そして反陽子ハンドキャノンは、トランスミューターで、縮退水1-1-16を反陽子に変換し始めた。その間、ツァパルディアは、ラナ・レパラダの前に立ちはだかって、燭台から発射されたビームに耐え続けていた。ツァパルディアの右腕と右足を吹き飛ばし、ツァパルディアは倒れた。それと同時に、反陽子が溜まったので、セレニタは引き金を引いた。すると、反陽子ハンドキャノンは、砲身の電磁石で反陽子を高速で、アンチプロトン・ビームとして銃口から射出した。そしてアンチプロトン・ビームが、燭台を撃ち抜いた。カエサルが「これはツァパルディアだ。父上が最後に作って、正式に量産されたラナだ」と言った。そしてセレニタは空を見上げた。すると赤い彗星が空一杯に広がっていた。

 

21 解説

 この話を描いてる時に、超時空要塞マクロスという番組が始まりました。ゴッドマーズのゴッド・ファイヤーは陽電子で出来ているので、ラナのビーム・ライフルは陽電子を撃ち出す設定にしてましたけど、ゴッドマーズが最強の敵を倒す時に反陽子爆弾を使ったので、今回ラナが燭台を倒す武器もアンチプロトン・ビームにしました。フローテイターとボンビーナとデンドロバテスとレウコメラスとオルドアとツァパルディアは、最初に描いた漫画には出ません。フローテイターは、アカアシコオイガエルの学名の、Silverstoneia flotatorが由来で、CW-402(p)という形式番号は、父の誕生日が由来です。アカアシコオイガエルは、水が汚れたり、少なくなると、親がオタマジャクシを背中に背負って、別の水場に引っ越す習性があります。ボンビーナは、ヨーロッパスズガエルの学名の、Bombina bombinaが由来で、CW-720(p)という形式番号は、学生時代に、ぼくと同じ誕生日の人がいた時にびっくりして、7月20日と言ったのが由来です。ヨーロッパスズガエルは、上が緑と黒の迷彩色で、下がオレンジと黒の迷彩色で、敵に襲われると、裏返しになって、オレンジと黒の模様を見せて威嚇します。デンドロバテスとレウコメラスは、キオビヤドクガエルの学名の、Dendrobates leucomelasが由来です。形式番号のCW-524(p)は、ぼくの本当の誕生日の、5月24日が由来です。オルドアは、アラム語で「カエル」という意味であり、ツァパルディアは、ヘブライ語で「カエル」という意味です。

22

 セレニタは「もしぼくがあの彗星で死んだら洪水は彗星の上で起こるだろう」と言って、ラナを操作した。するとラナの上半身、即ちブストが射出されて落ちた。そしてウエボがガルバニ、即ちラナの下半身から離脱してレナクァホに変形すると、彗星に向かって飛び立った。そして彗星の中に飛び込むと、赤いガスの中に巨大なシャンデリア があった。カエサルが「あのシャンデリアが彗星の本体だ」と言った。そしてレナクァホはミサイルを撃ち始めた。そのミサイルの弾頭は、普段の陽電子カプセルではなく、反陽子カプセルであった。やがてシャンデリアは炎に包まれ、爆発し始めた。同時にレナクァホは逃げ始めた。ガスの外に出ると、幾つかの火柱がガスの外に飛び出した。その時セレニタはフロッピーを取り出すと、別のフロッピーを入れて、スロットルを押した。するとレナクァホは一気に加速した。レナクァホの最大速度は秒速35786キロであるが、そのフロッピーはそれ以上のスピードが出せるように、プログラムを書き直してあった。しかし数秒後に、レナクァホの後ろ半分が爆発して前半分は吹き飛ばされた。その後彗星は消滅した。